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秋の金融政策にご用心

7月26日、ニューヨークの外国為替市場では、ドルがユーロや円などの主要通貨に対して下落した。その背景には、米連邦準備理事会(FRB)が、インフレ率が低下しているとの認識を示したことがある。それが米金利の低下につながり、ドルが売られた。一方、FRBはバランスシートの縮小を、比較的早期に開始する意向も示した。

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総合的に評価するとFRBが金融政策の引き締めを重視していることに変わりはない。早ければ9月にFRBはバランスシートの縮小を決定するだろう。秋口にはユーロ圏でも金融引き締めが議論され、量的緩和が段階的に縮小される可能性もある。今秋、欧米の金融政策が金融市場にどう影響するか、注意深く見る必要がある。

徐々にピークに向かう米国経済

現在、米国経済は緩やかな回復を維持している。問題は、その回復がいつまで続くかだ。2009年6月に米国経済は底を打ち、それ以降8年を超える景気拡張が続いてきた。第2次世界大戦後の平均的な景気拡張期間が5年程度であったことを考えると、徐々に景気はピークに近づいている可能性があると言えそうだ。

最近の経済指標を見る限り、米国の景気回復ペースは徐々に穏やかなものとなりつつある。一例をあげると新車販売台数の減少や、FRBも関心を高めているインフレ率の低下がある。労働市場は改善しているが、時間当たりの賃金は増えていない。このトレンドが続くと、今すぐではないにせよ、米国経済の減速懸念が高まることは避けられないだろう。

景気回復の持続性を高めるためには、インフラ投資などの経済対策を実行し需要を高めることが必要だ。しかし、米上院ではオバマケアの廃止法案が否決され、トランプ政権の政策運営が行き詰まっている。それが今後の経済対策への不安につながり、米金利の上昇が抑えられている。このため、ドル高は続きづらい。

この中、米国の株式市場は史上最高値圏で推移している。これは、4-6月期の企業業績が良好であることと、低金利環境が続くことへの期待に支えられている。しかし、今後の企業業績に関しては慎重な見方が多い。FRBがバランスシートの縮小を開始した場合、株価の上昇を支えてきたカネ余り(過剰流動性)は吸収され、投資家のリスク許容度が低下する可能性もある。

秋の相場は荒れやすい

注意したいのは、徐々に米国の景気がピークに近づいているとみられる中で、FRBが従来よりも早目にバランスシート縮小を開始しようとしていることだ。FRBは景気が減速した場合に、金融緩和を発動する余地を確保しておきたい。トランプ政権の経済政策運営が不透明であることを考えれば、金融政策の発動余地を確保することは中長期的な米国経済の安定にとって重要だ。

また、ユーロ圏でも金融政策が引き締められる可能性が高まっている。ECBのドラギ総裁は秋に量的緩和の段階的な縮小=テーパリングを議論する方針を示した。ユーロ圏の物価は抑制されているが、それ以上に金融政策が限界に直面することは避けなければならない。米欧ともに、インフレ率の動向は重要だ。同時に、金融政策の持続性を確保することも重視され始めている。

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このように考えると、今秋の金融市場は不安定に推移する可能性がありそうだ。足許、マクロ系のヘッジファンドの成績は芳しくない。彼らが起死回生を狙い米国などの株を買い進めているとの見方は多い。米欧の金融引き締めがトリガーとなって投資家が株を売り、景況感が悪化するシナリオは排除すべきではない。

今後のドルの動向を考えると、当面は夏枯れ相場の影響から動意を欠く展開が続きやすい。9月19、20日のFOMCに向けては米金利に上昇圧力がかかり、ドルが買われやすくなるのではないか。

ただ、米国経済の回復ペースが徐々に鈍化するとの見方から、ドル高の持続性は低いと考えられる。9月のFOMC後、金融市場のボラティリティが上昇し米株に下落圧力がかかる場合には、ドルが売られる可能性がある。