心肺蘇生法、いざという時できますか?(画像はCharlotte Observerの記事ページより)

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米ノースカロライナ州に住む36歳の男性が40分以上心停止していたものの、その間に2人の警察官が必死で心肺蘇生を行い続けた結果、脈動が戻り無事蘇生したと複数の海外メディアが報じている。

後遺症などもなく、安全のため運転などは止められているもののすでに仕事にも復帰しているという。男性が助かったポイントはどこにあったのだろうか。

1分もかからず警察官が到着

2017年7月12日付のBBCによると事件が起きたのは米ノースカロライナ州メクレンバーグ郡にあるシャーロット市。同市にすむジョン・オグバーンさんは、6月26日に事務所でパソコンの前に座って作業をしていたとき、突然心停止を起こし倒れた。

シャーロット市の地元新聞「Charlotte Observer」紙の7月16日付の記事の中で、最初にオグバーンさんを発見した同僚は

「彼の顔は紫色になっていて、呼吸も完全に停止していた」

と答えている。すぐに911(日本での110番や119番に該当)に連絡したところ、偶然近くを巡回していた警察官2人が駆け付けオグバーンさんに心肺蘇生法(CPR)を開始したという。

事務所や周辺にはAED(自動体外式除細動器)は設置されておらず、警察官らは心臓マッサージと人工呼吸を行ったが、20分経過してもオグバーンさんの脈は戻らない。

米国での緊急救命規定では、20分間CPRを実施しても蘇生が確認されない場合、救命措置を停止してもよいことになっているが、警察官らはCPRを続行した。

30分経過したところで現場にAEDを持った消防士や病院から派遣された医師が到着。CPRとAEDを組み合わせた蘇生法を続けたところ、心停止から45分後にオグバーンさんの心臓が再び動き始めたのだ。

すぐに病院へと搬送され検査を行ったところ、オグバーンさんの脳は無傷だったが心臓の鼓動が不規則になっており、鎮静剤を投与して一時的にこん睡状態とし、3日後に健康な状態で眼を覚ましたという。

45分も心停止していたオグバーンさんが助かったのはなぜなのか。J-CASTヘルスケアがシャーロット・メクレンブルク警察(CMPD)にメールで確認したところ、「心停止確認から非常に短時間でCPRを実施し、20分以上あきらめることなく続けたため」との回答があった。

「通報を受けてから現場に警察官たちが駆け付けるまで1分もかかりませんでした。本当にまったくの偶然ですが、現場の目の前で事故の処理を行っていた警察官がおり、およそ20秒で現場に到着し、もうひとりも30秒で到着しました。ふたりが協力して即座にCPRを行ったことで、オグバーン氏のダメージが最小限に留まったようです」

緊急救命ではよく知られている「カーラーの救命曲線」というデータによると、心停止してからCPRを行う時間がわずか数分遅れただけで生存率は10%以上低下することがわかっている。通報から1分もたたずにCPRを受けることができたオグバーンさんは幸運だったと言えるだろう。

心肺蘇生とAEDを組み合わせて

CMPDによると、米国では毎年35万人以上が心停止を起こしており、そのうち90%が死亡。また、救急隊員が到着するまでに周囲に居合わせた人などからCPRを受けている人は46%にとどまっているという。

消防庁の「平成28年版救急・救助の現況」によると、日本で誰かに目撃されている状況で心停止を起こした人は2万5255人、そのうち一般の人からCPRなどを受けている人は54.2%となっており、米国よりは実施率は高い状態だ。

とはいえ、119番通報をしてから救急車が到着するまでの平均時間は8.6分となっており、半数以上にとどまらずより高い蘇生実施率が求められていることには変わりない。CPRと組み合わせることで救命効果が飛躍的に高まるとされるAEDの使用率も4.5%と低値だ。

心肺蘇生法なんてまったく知らないという人は、他人事と考えず一度講習などを受けてみてはどうだろうか。