写真撮影/嘉屋恭子

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いよいよ小中学校が夏休みに突入し、「今週はどこに出かけよう」なんて頭を悩ませている人も多いはず。そんな人にオススメなのが、東京国立近代美術館で開催されている「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」だ。夏休み期間中から秋まで開催されているこの企画展、日本を代表する建築家の建築模型や映像、実物大模型まであり、大人も子どもも存分に楽しめる内容だ。大人はもちろんのこと、ぜひ親子で訪れてみてはいかがだろうか。

ローマとロンドンで大好評の展覧会が、ついに日本で開催!

7月19日から開催されている「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展は、1945年以降に日本で建てられた一戸建ての住宅をテーマに沿って紹介する展覧会だ。2016年にローマとロンドンで開催され、この度日本に「里帰り」することになったという。展示内容は建築図面などだけでなく、映像や模型、なんと実物大模型(つまり家そのもの)が全400点以上あり、国内では最大規模ともいう充実した内容だ。

今回の展示では、50組を超える建築家たちの75の建築を13のテーマにわけて紹介しているが、そのなかには黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」、安藤忠雄の「住吉の長屋」などもあり、特に建築に詳しくなくとも、「ああ、あの家か……」などと感心することうけあいだ。

【画像1】安藤忠雄の「住吉の長屋」の模型。名前は聞いたことがある、写真などで見たことはあるが、模型の断面図で見ると「なかはこんな感じなんだ…」と改めて見入ってしまう(撮影/嘉屋恭子)

そもそも、どうして日本の住宅・建築がここまで海外から注目されるのかというと、海外では建築家が個人の家を設計するケースは非常に珍しいことなのだとか。もちろん資産家であれば話は別であろうが、欧米では建築家は公共的な建築にできるだけかかわるべきだ、という認識が一般的だそう。とはいえ、建築のノーベル賞ともいえる「プリツカー賞」の受賞者を、日本から多数排出しているように、日本の建築は、世界的に高い評価を得ている。つまり、誰もがなじみのある「家」をきっかけに、日本の建築の秘密を探っていこうという意味合いがあるようだ。

【画像2】今回の展示のメイン作品でもある、清家清作の「斎藤助教授の家」。実物大模型、つまり家そのものが再現されている。圧巻!(撮影/嘉屋恭子)

大人はそうした背景を知っていると楽しいが、一方で子どもが楽しめる工夫もされている。例えば、子ども向けの鑑賞シートは年齢別(4歳〜8歳まではセルフガイドプチ/小中学生はセルフガイド)に用意してあるので、理解の一助になるはず。ただ、小学生以上であれば、ずらりと並んだ模型や映像でも楽しめるはず。「こんな家がほしい」「こんな家に暮らしたら、どんな風になるだろう」と親子の会話も弾みそうだ。

【画像3】建築模型も多数展示。まるでミニチュアのようで、精巧なつくりに子どもにはこうした展示が分かりやすいはず(撮影/嘉屋恭子)

親の目線でいうと、今年の夏は猛烈に暑いが美術館のなかは涼しい、というのがうれしいところ。また、ある一定のエリアでは写真撮影が可能なので、親子で力をあわせて記録し、自由研究の題材にしてもいいかもしれない。

夏は夜間特別開館、イベントも実施。大人も訪れたくなる仕掛けがいっぱい

今回ユニークなのが、日本の家にまつわるイベントなどが多数開催される点だ。例えば、衝撃を吸収する緩衝材を使った遊べるコーナー「プチプチ・ガーデン」は8月末まで設置されていて、毎週、水曜日にはワークショップも開催される。見学したあとは、実際に手を動かして「家」や「インテリア」を自作してみるのも面白いだろう。

さらに、8月には「夏の小屋をつくろう」というプログラムも用意されている。小学生1〜4年生を対象にしたプログラムは8月10日、11日に実施。事前申し込みが必要だが、小屋をかざるアイテムを制作するという。もちろん、大人が参加可能なイベントもあり、こちらは8月9日〜11日に実施予定だが、事前予約が不要。制作した作品は展覧会終了まで展示されるそうだという。これだと自分のつくった作品が、名作建築のなかに並ぶのという、貴重な経験ができるかもしれない。

【画像4】柔らかくて扱いやすい緩衝材を使ってのワークショップスペース。大人よりも、ブロック遊びが得意な子どものほうが、ユニークな作品をつくれそう(撮影/嘉屋恭子)

また、大人にお勧めしたいのは夜間開館。会期中の金曜日・土曜日は夜9時まで開館し、割引料金(一般200円引き、大学生100円引き)で観覧できる。混雑を避けて仕事帰りにゆっくり見るのもよさそうだ。

「美術館」「建築」というと、何かと難しいイメージがあるかもしれないが、今回の展示は日本を代表する建築家の作品が一堂に集まる貴重な機会。「家ってなんだろう」「日本らしい家ってどんな住まいかな」「これから先、家はどのように変化していくのかな」……そんなことを考えるきっかけになりそうだ。

●取材協力
東京国立近代美術館
(嘉屋 恭子)