こんにちは。この前スナックのカラオケで、
「ささやかなこの人生」を歌ったらポカンとされた、コラムニストの中丸謙一朗です。

さて、この企画もとうとう8回目。

こりずに、本日も「全国スナック名称研究会」(全ス研)提供、「スナック珍名さん」をお送りいたします! (パチパチパチパチ)

今回もえっと驚くようなスナックが全国からラブリーに登場。

看板チェックは煩悩チェック、入店ないので、チャージフリー。

コスパ最強、誰でも楽しめる、スナック「哀愁」物語。

では、今週もじっくりとお楽しみください。

【第1発目】「ママは川に洗濯に、の、ほのぼの系」(採取地・都内)



スナックってさ、たしかにお色気だけが売りじゃないんだよね。最初はお色気で売っていた店もママが腰抜けちゃって、すっかり「ほのぼの系」になってしまうなんてのもよくあるもんね。で、「たぬき御殿」。これはどう考えても色気ない。日本昔ばなし的やすらぎを感じるというかさ、「おむすびころりん」とか「さるかに合戦」の世界だよ、まったく。あ、ママはたぶん途中で、川に洗濯に行くよ。オーナーは山で芝刈りが忙しいしね。でも、絶対にここおむすびとかコロッケとかうまいよ。

【第2発目】「えっちゃんちに行きたい」(採取地・不明)



えっ? 看板がそういいながら隠れているのがかわいい。「スナック悦子」じゃなくて「えっちゃん」。悦子ママ(たぶん)のなんとも言えないセンスを感じる看板の佇まい。昔、「さるとびエッちゃん」っていう漫画(石森章太郎作)があったけど(まあ、そのたとえも古いけど)、ママの心はさ、たぶん、おかっぱ頭の小学生時代で止まっているね。元気でこまっしゃくれて、子どもなのに人情家な女の子。いや、もちろん、ママの年齢なんか知らないさ。勝手なこと言ってるけど、とにかく行ってみたい店なんだよ。でも、ママじゃなくて、マスターだったら、うーん、たぶん、おねえだね。

【第3発目】「堂々と名乗ればそれは童話」(採取地・熱海)



うんまあ、いまやあまり使ってはいけない言葉なんだけど、店名自体に罪はないよね。小さい頃、だれもが読んだ「ちびくろ・さんぼ」なんて、すごくよかったよ。アフリカ系の人たちへの偏見が助長される的なクレームで、規制がかけられてた時代もあるけど、そういう意味では、この店はイラストもアウト(笑) でも、かわいいじゃん。きっとみんな許してくれるよ。だって、この店ずいぶん前からあるし、この店のロゴでTシャツつくったりして、ある意味有名店だもん。スナックと童話の世界って、けっこう相性いいんだね。

【第4発目】「アマゾンのキビキビ問題」(採取地・一関)



たぶん、この店を始めた頃は、アマゾンの密林をイメージして、冒険心や好奇心、それに男の遊び心なんかを込めて付けた名前なんだろうけど、いまやすっかり配達人不足のプライム会員の世界だよね。ここも、いろいろと注文するとものすごくサーブされるの早いんだけど、店の奥ではいろいろと苦労しているらしいよ。まあ、それは冗談だけどね。このロゴの感じだと、店主はママじゃなく、クールで男気のありそうなマスターだね。白いポロシャツにキャップかぶってたりしてさ。キビキビ動いて、ナポリタンとかうまいよ、きっと。でも、よくよく考えると、アマゾンって名前もふつうに考えると、じゅうぶんにほのぼのとした童話系だね。

【第5発目】「スナックで無我というプレイ」(採取地・島根)



無我。我は無しと書いて無我。隠岐の娘がガヤガヤと集まるスナックで、無我の境地になる。って、なれんだろ、ふつうは(笑) 「坊主バー 無我」とか「一刀流創作和食 無我」とかならわかるが、うん、やっぱりスナックと無我は食い合せ悪い。でも、スナックで、しかも女性がわんさかついて、それでいて無我の境地になるって、ある意味、宇宙のファンタジー。けっこうハードなプレイと言うか、ほとんど童話の世界だよ。

【第6発目】「牛と書いてビーフと読む」(採取地・都内)



スナックの名前の王道中の王道。愛と書いてラブと読む、ですよ。最近の名前業界は、海と書いてマリンと読むとか、騎士と書いてナイト、牛と書いてビーフとか(笑)いろいろあるけど、この「愛(ラブ)」は、元祖中の元祖。ほとんど、日本昔ばなしの世界だね。この店はいい店だよきっと。ちゃんと新聞取ってるし。

ということで、今週の「スナック珍名さん」、いかがでしたか?

みなさんも、この企画が続くように、ぜひ街の珍名スナックを投稿してください。

それでは、ハバ・ナイススナック!

*注 この企画はあくまでも公に公開されている風景としてのスナックの看板および名前を味わうための企画です。採取した時期もさまざまですので、現在も存在しているかどうかは不明です。また、実際のお店の状況には責任を負いませんので、個人の責任にてお楽しみください。。

全国スナック名称研究会では、読者のみなさんが発見した「珍名スナック」の看板画像を募集しています。寄稿フォームかメール(toko@j-town.net)で、ペンネームと発見場所、あなたの年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。ツイッターのハッシュタグ「#全ス研」でも受け付けます。なお、いただいた投稿の一部を改変・編集する場合があります。あらかじめご了承ください

今回の筆者:中丸謙一朗(なかまる・けんいちろう)コラムニスト。1963年生。横浜市出身。『POPEYE』『BRUTUS』誌でエディターを務めた後、独立。フリー編集者として、雑誌の創刊や書籍の編集に関わる。現在は、新聞、雑誌等に、昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿している。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社、扶桑社文庫)、『車輪の上』(耷出版)、『大物講座』(講談社)など。好きなアーティストはジム・モリスンと宮史郎。座右の銘は「物見遊山」。全国スナック名称研究会代表。日本民俗学会会員。