ブラジル人記者が、海外日本人選手の「活躍度」を査定してみた

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各国で続々と新シーズンが開幕しているところだが、ブラジル人記者チアゴ・ボンテンポ氏に、2016-17シーズンの欧州海外組の「活躍度」を査定してもらった。

日本サッカーをこよなく愛するチアゴ・ボンテンポ氏。Jリーグの情報を網羅しているのはもちろん、海外でプレーする日本人選手の全出場データも管理しているんだそう。ただ、近年は海外組が増加していることもあり、「大変だ」と嬉しい悲鳴をあげていた。

今回は日本語で書きたいとの本人の希望もあり、ちょっと時期が遅くなってしまったが、そのぶん日本サッカーへの愛情にあふれる彼のコラムを是非、楽しんでいただきたい。

10位 酒井弘樹(オリンピック・マルセイユ)

ドイツでの目立たない4年間の後、フランスに移籍し、マルセイユ歴代2人目の日本人選手(1人目は2005年に在籍した中田浩二)となった酒井宏樹。

マルセイユでは一通りスタメンで、一貫性のあるパフォーマンスを見せ、欧州でのキャリアでベストの1年を過ごした。試合に出なかったのは怪我の1試合と出場停止の2試合のみ。3年ぶりのアシストも記録し、リーグ・アンでの出場時間はチーム2位の3014分だった。

優勝したモナコとは勝点33の差を付けられ、タイトル争いには加われなかったが、5位でヨーロッパリーグ予選の出場権を得ている。

リーグ 35出場 34先発 2アシスト
リーグ杯 2出場 1先発
カップ 3出場 3先発 1アシスト
通算 40出場 38先発 3アシスト

9位 瀬戸貴幸(アストラ)

ルーマニア1部外国人選手の歴代最多出場記録(237試合)を持つ男が、アストラの選手として10シーズン目を果たした。

2015-16はクラブ史上初となるリーガ1のタイトルを獲得したが、2016-17はスロースタート。12月から調子が良くなり、レギュラーシーズンを8連勝で終えたものの、プレーオフで1勝しか挙げられず、残念ながら6位で終わった。

決勝まで進んだ国内杯も、FCヴォルンタリにPK戦で負けてしまった。一方、ヨーロッパリーグでは予選でウェストハムを撃破し、グループステージではローマに次いで2位で、ベスト32まで進出した。

その中で瀬戸はしっかりスタメンに定着し、チーム全体で最も出場数の多い選手となった。

リーグ(レギュラーシーズン) 23出場 22先発 1得点 2アシスト
リーグ(プレーオフ) 10出場 9先発 1アシスト
スーパーカップ 欠場
リーグ杯 1出場 1先発
カップ 5出場 5先発 1得点 1アシスト
CL予選 2出場 1先発
EL 10出場 9先発 1得点
通算 51出場 47先発 3得点 4アシスト

8位 柴崎岳(テネリフェ)

昨年暮れのクラブワールドカップ決勝でレアル・マドリー相手に2ゴールを記録し、スペイン行きが急浮上した柴崎。

その後、1部に所属するラス・パルマスへの移籍が決定したかと思われたが、結局2部のテネリフェへ加入。欧州でプレーする夢を叶えるために鹿島より“弱い”チームに入ってしまった為、彼のファンは正直失望した。

さらに最初は適応するまで時間がかかり、移籍後1か月半の間デビュー出来なかった。しかし、少しずつ印象を残し、ボランチではなくプレーメーカーとしてポジションを獲得。25歳の誕生日にスペインでの初ゴールを決めると、昇格プレーオフの準決勝2ndレグでは、決勝進出に導くゴールを奪った。

決勝では両方の試合でアシストをしたものの、2戦合計3-2で負けてしまい、昇格するという1番大事な目標を達成できなかった。それでも、1部に値する選手の活躍を見せたことで、その対戦相手であるヘタフェに移籍が決まっている。

リーグ2部(レギュラーシーズン) 12出場 8先発 1得点
リーグ2部(プレーオフ) 4出場 4先発 1得点 2アシスト
通算 16出場 12先発 2得点 2アシスト

7位 乾貴士(エイバル)

スペインでの2年目もポジティブだった。スロースタートだったが、10月からスタメンとして定着し、そのままシーズン終わりまで進んだ。

存在感を感じないパフォーマンスをしたり、後半でよくベンチに下げられたりと、4月まで初得点を決められなかったが、鋭いドリブルで大活躍した試合もあった。

そして、最終節のバルセロナ戦で2得点を奪って、日本人として初めてバルセロナから得点を決めた。間違いなくシーズンのピークだった。

また、リーガ通算55試合出場は、大久保嘉人(39)、家長昭博(18)城彰二(15)を超え、日本人最多出場記録を更新した。その上2年ぶりに日本代表に復帰している。

リーグ 28出場 26先発 3得点 4アシスト
カップ 2出場 1先発
通算 30出場 27先発 3得点 4アシスト

6位 大迫勇也(1.FCケルン)

ケルンの3シーズン目でようやく実力を見せた。本職のセンターフォワードの代わりに、ペナルティーエリアから離れた位置で起用され、セカンドトップやミッドフィールダーとしてプレーし続けた。

それでもチームの戦術を完璧にこなし、攻撃でいろんな役割ができる事を示した。リーグで25得点を挙げたフランス人アントニー・モデストとのパートナシップがブンデスリーガで抜群で、大迫はチームの得点王2位とアシスト1位に輝いた。ファン投票による9月のクラブ月間最優秀選手に選ばれている。

大迫の活躍もあり、ケルンは1991-92シーズンから最高成績となる5位に入り、ヨーロッパリーグの出場権を25年ぶりに獲得した。

リーグ 30出場 27先発 7得点 6アシスト
カップ 2出場 1先発 2得点
通算 32出場 28先発 9得点 6アシスト

5位 森岡亮太(シュロンスク・ヴロツワフ)

ポーランドで素晴らしい活躍を見せたデビューシーズンの半年後、ドイツ2部ディナモ・ドレスデンからのオファーを受けた森岡。しかし、残る決意をし、シュロンスクで初のフルシーズンを過ごした。

チームは成長できず残留争いの状況が続いたが、森岡はトップ下としての才能を見せつけ、チームのアシスト1位とゴール2位、リーグのアシスト4位に輝き、シュロンスクのサバイバルに大きく貢献した。

その活躍もあり、今季からはベルギー1部のワースラント=ベフェレンでプレーする。

リーグ 36出場 32先発 8得点 9アシスト
カップ 2出場 1先発
通算 38出場 33先発 8得点 9アシスト

4位 田中亜土夢(HJKヘルシンキ)

【*フィンランドではシーズンは2月から10月まで。2016シーズンについてレポートしている】

彼はフィンランドのサッカーにしっかり適応した。伝統的な背番号10のプレーメーカーの役割で1シーズン目の好調が続き、チームのエースとして輝いていた。

ただ、6月下旬に腓骨を骨折し、田中不在のチームは苦しい状況に。リーグで6試合連続未勝利となり、最後には勝ち点2の差で2年連続でタイトルを逃した。また、ヨーロッパリーグの予選2ndレグホームでスウェーデンのIFKヨーテボリに敗れて敗退となった(1stレグでは田中のゴールで勝っていたにもかかわらず)。国内杯の決勝戦もPK戦で負けてしまい、悔しい思いをした。

それでも、ピッチにいた田中の前半戦だけ考慮すれば、完璧なシーズンだった。最後の3か月欠場してもチームのアシスト1位、ヴェイッカウスリーガのアシスト1位と2年連続でリーグのベストイレブンに選ばれている。

2017年のHJKは現在リーグ1位で、田中も変わらず主力としてプレーしている。

リーグ[2016] 17出場 16先発 5得点 6アシスト
リーグ杯[2016] 5出場 5先発 2得点 1アシスト
カップ[2016] 3出場 3先発 1得点
EL[2016-17] 4出場 4先発 2得点 1アシスト
通算 29出場 28先発 10得点 8アシスト

3位 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)

既にベテランとなったが、33歳という年齢を感じさせず、キャリアのピークを迎えているようなシーズンを送った。

リベロとして起用されると、その役割に応え、新しい才能を見つけた。3バックのディフェンスの中盤でプレーした9試合のうち、4回無失点を記録している。地元紙フランクフルター・アルゲマイネは、「ここ数年間でもっとも信頼できる選手の1人」と称賛した。一度右WBとしてもプレーした。

非常に一貫性のあるパフォーマンスによって、チームは一時ブンデスリーガの3位まで浮上。ただその後、5連敗を喫し、順位を下げた。長谷部も3月に右ひざを負傷して手術を行い、シーズン終わりまで離脱した。

その中でも、ブンデスリーガで149試合出場で奥寺康彦が保持していた日本人最多出場記録を破り、2018年の夏まで契約を更新している。

リーグ 22出場 21先発 1得点 1アシスト
カップ 3出場 2先発
通算 25出場 23先発 1得点 1アシスト

2位 吉田麻也(サウサンプトン)

セインツCBのサードオプションという状況が2016-17シーズンの前半戦まで続き、名古屋に復帰する噂もあった。

プレミアリーグでポルトガル人ジョゼ・フォンテとオランダ人ファン・ダイクがスタメンに定着し、吉田はずっとベンチを温めていた。しかし、リーグカップとヨーロッパリーグでは常に先発でプレーし、リーグカップではアーセナルやリヴァプールなどを倒し、無失点で決勝へ。最後はマンチェスター・ユナイテッドに敗れてしまったが、吉田は大会のベストイレブンに選ばれた。

そうした活躍は、吉田の状況を一変させる。1月にフォンテがウェストハムに移籍し、ファン・ダイクが負傷した影響で、ようやくスタメンに復活、チームの守備の大黒柱という存在になった。4月には日本人として初のプレミアリーグ100試合出場を果たした。

全てのカテゴリーで、吉田がピッチにいる42試合で37失点。サポーターから4月のクラブ月間最優秀選手に選ばれ、地元紙デイリー・エコーの年間最優秀選手投票ではスペイン人オリオール・ロメウに次いで2位となった。

リーグ 23出場 23先発 1得点
リーグ杯 6出場 6先発
FA杯 2出場 2先発 1得点
EL 6出場 6先発
通算 37出場 37先発 2得点

1位 久保裕也(ヤングボーイズ / ゲント)

シーズンは劇的な形で始まった。リオ五輪代表に招集されたものの、ブラジル出発直前にチームメイトのFWが怪我をし、クラブが久保のオリンピック出場を拒否したのだ。

悔しい思いをしたが、欧州CLの予選、シャフタール・ドネツク戦2ndレグで2得点を奪い、PK戦も決め、チームの進出に大きく貢献。グループステージまでは進めなかったが、個人的には追い風が止まらなかった。前半戦で12得点を記録し、日本代表で本田圭佑をベンチに追いやった。

1月、ゲントに加入した際の移籍金は、クラブ史上最高額となる350万ユーロ(およそ4.5億円)だった。デビュー戦でリーグ1位の相手に直接FKでゴールをゲット。シーズン終わりまで一貫性してネットを揺らした。相手4人を突破し、スーパーゴールも決めた。

足りなかったのはリーグ優勝とCLの出場権だけ。ゲントはリーグ4位で、2017-18のヨーロッパリーグ予選への出場が決定した。

ヤングボーイズ
リーグ 14出場 10先発 5得点 1アシスト
カップ 3出場 2先発 5得点
CL予選 4出場 2先発 2得点
EL 4出場 4先発
ゲント
リーグ(レギュラーシーズン) 7出場 7先発 5得点
リーグ(プレーオフ) 10出場 10先発 6得点 1アシスト
通算 42出場 35先発 23得点 2アシスト