――天皇陛下の『生前退位』を一代限りで認める特例法が成立しました。どのように評価しますか?

 倉山 本質的には100点満点以上といっていいでしょう。評価できる部分は、特例法により速やかに実現した点、皇室典範に「特例法は本典範と一体となす」と挿入したことで、違憲の疑いを避けた点、何より天皇陛下のご意志で動いたことで、戦後憲法学と内閣法制局が守ってきた「天皇=ロボット説」を打破できたことです。本音を言うと「退位」ではなく「譲位」がよろしかったが、これは妥協の範囲とします。

 ――眞子内親王殿下の御婚約が発表されました。女性宮家を創設すべきとの声もありますが?

 倉山 お相手の小室圭さんが皇族に、その子どもが天皇になって果たしていいのか? あるいは、佳子内親王殿下や愛子内親王殿下を口説こうとする輩が出てきてよいのか? で、終了です。
 もう少し丁寧に言うと、女性宮家そのものは先例があるので可(唯一の先例は、江戸時代の桂宮家)。女性宮の配偶者を殿下と呼ぶのも可。陛下と違い殿下は庶民でもなれるので、その方を准皇族とするのも可です。
 しかし、女性宮家を創設しても皇族の方と結婚するならいざ知らず、小室さんのような民間人と結婚するのなら、皇統保持には何の関係もありません。かつてマッカーサーに無理やり臣籍降下させられた旧皇族の男性とご結婚されるなら構いませんが、その場合、旧宮家を復活させて現在の内親王の方々が嫁いでも同じことになるでしょうね。

 ――戦後、国民の天皇に対する意識も変化しました。日本人にとって「天皇」とはどのような存在なのでしょうか?

 倉山 敗戦時、マッカーサーは皇室の廃止を目論みましたが、日本国民の圧倒的不支持の前に諦めました。当時は「日本人で皇室廃止を言うなど、共産主義者かよほどの変わり者」と言われていました。あれから70年が経ちますが、教育とマスコミから「皇室尊崇」が排除され、一方的に皇室は貶められてきました。しかし、今回の「譲位」には共産党も含めて、国民の90%以上が賛成しました。反対など超少数派だったのです。皇室とは日本そのものであり、もし国民が「皇室などいらない」と言ったら、皇室を守ることはできなくなります。まさにその瞬間、日本は日本でなくなるのです。
 今回の賛同は“日本人は昨日と同じ今日が明日も続くことを願っている”ことが確認できる出来事だったといえるでしょうね。
(聞き手/程原ケン)

倉山満(くらやま・みつる)
1973年香川県生まれ。憲政史研究者。'96年、中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。ベストセラー著書に三部作『嘘だらけの日米近現代史』『嘘だらけの日中近現代史』『嘘だらけの日韓近現代史』(扶桑社)など。