ポーランドの修道院で起きた衝撃の実話。『夜明けの祈り』監督インタビュー

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実在のフランス人女医の勇気ある行動を翻案・映画化した『夜明けの祈り』。作品の舞台は第二次世界大戦後のポーランド。赤十字の医療施設で働くフランス人医師・マチルド(ルー・ドゥ・ラージュ)は、地元のカトリック系修道院にソ連兵の蛮行によって妊娠をしたシスターたちがいることを知ります。
『夜明けの祈り』より © 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES
心身ともに傷つき、現実と信仰のはざまで揺れる彼女たち。マチルドは危険を冒しながらもシスターたちを支え、彼女たちとその子どもが幸せに暮らせるよう導くのです。
『夜明けの祈り』より © 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES
この作品でメガホンをとったアンヌ・フォンテーヌ監督に、大変なことも多かったというポーランド・ロケの話や、気分転換として実践していることなどを聞きました。
作品の主人公のような挑戦を経て完成した映画
――主人公のマチルドは、強い女性という印象を受けました。フォンテーヌ監督は、ファッションデザイナー、ココ・シャネルの半生を描いた作品『ココ・アヴァン・シャネル』でも監督をされていますが、シャネルも新たな世界を切り開き、強い意志を持った女性で、マチルドと共通点があるように思いました。
保守的な考えに流されるのはつまらないと思っています。ですから、シャネルやマチルドのように、自分の意思を持って生きる女性に魅力を感じます。シャネルは革新的で、洋服にそれまでにはないアイディアを取り入れました。
そして今回の『夜明けの祈り』のマチルドは、当時としてはまだ数少ない女性の医師で、しかも仕事の場所は戦場という、普通に考えればありえない状況の中で働くことを選んだわけです。でも、彼女は常識や先入観にとらわれることのない、自由で豊かな発想力を持っていたので、こうした仕事をこなし、苦しむシスターたちを救うこともできました。
――今作はポーランドで撮影をし、出演者やクルーにも地元の人たちが多かったと聞いていますが、ご苦労もあったのではないでしょうか?
ロケの前に、映画のもとになった話を調べるために現地に行きましたが、それまではポーランドという国は全く知らない場所で言葉も知りませんでした。
作品に登場するシスターたちの中心的な役割を果たす、アガタ・ブゼク、アガタ・クレシャの2人はポーランドでとても有名な女優で、ポーランドでの映画作りは彼女たちと会うところから始まりました。そして最初の台本の読み合わせの時点で、さすが素晴らしいと感じ、それが彼女たちへの信頼の気持ちにもなったんです。
撮影のほうは、やはり難しいところもありました。現地のスタッフはフランス人監督との仕事が初めてで、お互いの気持ちを理解し合うという点でもすんなりとはいきませんでした。そんなわけで大変なこともありましたが、終わったときには、その分、達成感を味わえました。
『夜明けの祈り』より © 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES
――なるほど。そういう挑戦をする監督は、マチルドやシャネルと重なるところがあるような気がします。それから、実際に修道院でも生活されたそうですね?
さほど長い期間ではありませんでしたが、シスターたちと一緒に生活することでいろいろなことが分かりました。まず、修道院の中の暮らしは、普段の私たちの生活とはリズムが全く違いました。静寂に包まれていて、自然の音の中で毎日を過ごしているという印象を受けました。そして、シスターたちは信仰によって結ばれているわけですが、信仰のあり方はそれぞれに異なるということも知りました。