横になると胃腸や肝臓への血流がよくなる

子どもの頃、食事のすぐ後にゴロリと横になると、お母さんなどから「牛になっちゃうよ」と言われたことはありませんか? そう言われたのにいまだ人間をやっている(?)のですから、「行儀の悪さを直すしつけだったんだなぁ」と今ではほほえましく思い出されることでしょう。
確かに、「おなかいっぱいだぁ〜」とゴロリとなるのは、見た目にもよいものではありません。でも実は、医学的には体にはよい、理にかなったことではあるのです。

口から入った食べ物は胃や腸で消化・吸収されます。その過程で、効率よく働くために胃腸には多くの血液が必要とされます。さらに、消化・吸収された栄養素は血流に乗って肝臓に運ばれ、別の成分に変えられて肝臓内に貯蔵。その後、必要に応じエネルギー源として使われます。つまり、食事の直後に消化器官が効率よく働くためには、それらに血液が十分に流れる必要があるのです。

満腹になると眠くなりますが、これは体内の血液が胃腸の周辺に集中し、頭にはあまり行かなくなるために起こる自然な現象です。それを、食後すぐに仕事や運動で体を動かすと、脳や筋肉には血液が回りますが、胃腸への血流が十分でなくなり、食べ物の消化・吸収に支障が生じることになりかねません。また、体を動かすと交感神経が優位になり、胃の働きや胃液の分泌が低下するので、消化・吸収のためには悪条件が重なります。ですから、食後ゴロリと横になって休むのは、胃腸や肝臓への血流を促す意味でとてもよいことなのです。

胃の形に合わせて体の右側を下に

肝臓に流れ込む血液の量は横になっている場合が最も多く、立っているとその約70%に、歩いたり走ったり運動をすると20〜30%になってしまうといわれます。食後30分から1時間くらいはぜひ、牛になってください。その場合、胃の形に合わせて体の右側を下にするようにしましょう。

食後、気兼ねなく横になれるのは、とても気持ちのよいもの。ついウトウトとして寝入ってしまうことがあるかもしれません。これは要注意です。いくら横になっていても睡眠状態に入ってしまうと、脳からは胃腸や肝臓を休ませる指令が出るので、むしろ消化・吸収には好ましくありません。また、夜遅くに夕食をとり、時間を置かずに寝床に入ってしまうと脂肪がたまりやすく肥満にもつながります。夕食は就寝時間の3時間くらい前までに済ませるのが望ましいでしょう。

逆流性食道炎の人は上半身を起こして休む

食後は牛になれとおススメしてきましたが、逆流性食道炎という持病をかかえている場合は当てはまりません。この病気は、食べ物を消化するための胃酸や十二指腸液が食道に逆流し、食道の粘膜にただれや炎症を起こすもので、食後すぐに横になると、食べた物が逆流して症状を悪化させることがあります。この場合は、横にならず上半身は起こした状態で休むのがよさそう。

食後横になるとはいっても、職場やレストランなどでは現実的にできるものではありません。そんなときは、いすにゆったりと座って静かに休んでいるとよいでしょう。これでも、立って動いているよりは消化器への血流は多くなるはずですから。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2013年11月に配信された記事です