『3週間で身体と心が劇的に変わる 最強「ボーンブロス(骨スープ)」食事術』(ケリアン・ペトルッチ:著、福井久美子:訳/集英社)

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 骨をコトコト煮出したスープは美味しい。水炊きのスープに魚のあら汁。ポトフだっておでんだって骨付き肉を入れて作った方が断然うまい。

 しかもこうした動物の骨から取ったスープは味が優れているだけではない。現代人の身体を癒やす美容・健康効果もあるらしいのだ。身体の炎症を抑える、関節や肌の健康に役立つなどその効能は多岐にわたる。

 もっとも骨から取ったスープが「食べるクスリ」として人々に愛用されてきたのは今に始まったことではない。薬膳では滋養強壮に鳥手羽などから取ったスープがよく飲まれているし(韓国料理の参鶏湯もそうだ)、欧米の古典小説にも病人に骨付きの牛肉を煮込んで作ったスープを食べさせるシーンがある。私たちの先人たちはなんとなくスープが持つ優れた薬効に気がついていた。

 いわば伝統的な健康食品ともいえる骨から取ったお出汁だが、ここにきて海の向こうのアメリカで大いにもてはやされているらしい。「ボーンブロス」という名で呼ばれるようになったこのスープは、コーヒーに取って代わるまでの人気を獲得した。NYにはコーヒースタンドならぬ、ボーンブロスを提供する専門店があちこちにでき、人々がボーンブロスのカップ片手に通勤する姿が見られるまでになっている。

 ボーンブロスの持つパワーに早くから注目し、ダイエットやアンチエイジング目的の食事療法に応用を試みたのが本書『3週間で身体と心が劇的に変わる 最強「ボーンブロス(骨スープ)」食事術』(ケリアン・ペトルッチ:著、福井久美子:訳/集英社)の著者ケリアン・ペトルッチ医師である。自然療法医として活躍するペトルッチは、食事指導を始めとする生活指導によって数多くの患者の悩みを解決に導いてきた。

 本書の中で著者はボーンブロスの基本的な効能について栄養学・医学的な見地から解説を加えつつ、彼女が実際患者たちに指導してきた効率的な減量・体質改善方法を紹介している。

 彼女のプログラム(ボーンブロスダイエット)では週に2日ボーンブロスのみを飲むプチ断食日を設け、残りの5日間はでんぷん質の野菜や穀類、糖類、乳製品、大豆製品などを避けた食事を取る。これを3週間続ける。

 著者によると定期的な断食には摂取カロリー減少による減量効果はもちろん、成長ホルモンの増加やアンチエイジング効果など数々の健康効果が期待できるという。唯一の欠点は空腹感との戦いになることだが、それを抑えてくれるのがボーンブロスだ。

 アミノ酸やミネラルなどの栄養素を含むボーンブロスには断食中の空腹感を抑える効果があるだけでなく、その豊富な栄養成分によって身体の代謝をサポートしてくれる。それによって効率よく減量を進めることができるのだ。

 厳密なボーンブロスダイエットには週2回のプチ断食日があるうえに、でんぷん質の食べ物は禁止などかなり厳しい食事制限がある。糖質制限系のダイエットに近い食事内容になるため、体質によっては合わない人もいるかもしれない。また断食を取り入れることから、妊婦や摂食障害などこのダイエットが禁止されている人もいる。そういった人はできる範囲で本書に書かれた内容に従ってみるのもよいだろう。良質のタンパク質や脂質を取り入れる重要性、ストレスマネジメントなどダイエット法紹介以外のパートにも見るべき点は多い。もちろんボーンブロスを飲む習慣も。

 ボーンブロスそのものはジャンクフードよりはるかに健康的な食べ物だし、何より美味しい。鶏ガラや白身魚のアラというお手頃価格の食材を使っているのも魅力だ。市販の高価なコラーゲンパウダーを飲むより経済的に、美肌成分をゲットできる。材料を鍋やスロークッカーに放り込み、煮込むだけなので作るのも意外に簡単だ。

 食事は天然のサプリメントであり、最高の良薬である。ついでにマトモな食事は心も癒してくれる。家でゆっくりと過ごす休日にガス火で、あるいは寝ている間にスロークッカーで、美味しいスープを煮込むのも悪くはない。

文=遠野莉子