金正恩氏

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北朝鮮が、この7月だけで2回も大陸間弾道ミサイルを発射した。しかも、いずれも成功したと見られ、2回目には米本土を射程に収めた可能性を示して見せた。

北朝鮮の弾道ミサイルは、少し前までは着弾前の空中爆発が目立ち、技術が完成するまで時間的余裕があると見られていたが、北朝鮮はごくわずかな期間で大きな進展を成し遂げてしまった。しかも、国際社会による経済制裁と米国の軍事圧力下においてだ。

軍隊が虐殺

どうして、そんなことができるのか。最大の理由は、金正恩党委員長が独裁体制を敷いていることにある。

かつて中曽根康弘元首相は防衛庁長官在任時、日本の核武装の可能性について極秘裏に調べさせた。その結論は、「技術的には可能だが、国土の狭い日本には核実験場がないのでムリ」というものだったという。

それでも核開発を強行するようなら、巨大なデモを呼び起こし、政権はすぐに倒されてしまうだろう。

一方、日本が狭いというなら北朝鮮はもっと狭いが、言論の自由がないので、住民の反対運動など起きようもない。デモなどをすれば、軍隊に虐殺されるか、政治犯収容所で拷問され処刑されてしまう。

「血の粛清」が待っている

弾道ミサイルの場合も同じだ。

専門家によれば、空中爆発などの根本的な欠陥が認められた場合、数カ月から1年を経て再実験を行うのが「常識」だそうだ。ところが北朝鮮は、マシンガンでも打つように次から次へと発射している。

上述の「常識」と言われるものは、費用対効果を考え、国民の血税や投資家のおカネを大事に使わねばならない民主主義国家における「常識」である。正恩氏が恐怖政治で支配する独裁体制においては、彼が「急げ」と言ったら開発部門は何が何でも急がねばならない。従わなければ「血の粛清」が待っている。

つまり、北朝鮮問題の本質は、核・ミサイル開発それ自体よりも独裁体制であること、つまりは民主主義が無いことにあるわけだ。

言い方を変えれば、北朝鮮で民主化が達成されない以上、核とミサイルの暴走は止まらないということだ。

もちろん、北朝鮮の民主化を達成するためには、途方もないコストと時間を要するであろう。しかし今後、金正恩体制と軍事的に対峙していく上でのコストも、天文学的に膨れ上がっていく可能性がある。

北朝鮮は、ICBMより実用的な中距離弾道ミサイルと隠密性の高い弾道ミサイル潜水艦の開発も進めている。もちろん、核弾頭を搭載することが前提だ。

これらが実戦配備されることになれば、日本の安保環境は激変する。いくらコストをかけても、「北の核」に狙われているという不安を除去することはできないかもしれない。

だから今こそ、日本国民は、北朝鮮の民主化と自国の安全保障を結び付けて考えて見るべきなのだ。そうすれば、圧政に虐げられている北朝鮮国民の現状に関心を持ち、ともに平和を構築する可能性を模索することが、いかに重要かつ合理的であるかがわかると思う。

(参考記事:「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝鮮庶民のキツい本音