中国の丹東と北朝鮮の新義州(シニジュ)を結ぶ新鴨緑江大橋。総工費22億2000万元を中国政府が負担し、2014年10月に完成した。老朽化した従来の鴨緑江大橋に取って代わるはずだったが、今に至るまで開通していない。橋と北朝鮮本土を結ぶ道路や、北朝鮮税関の施設が未整備のままだからだ。

北朝鮮事情に精通したデイリーNKの中国情報筋によると、ある中国人が3億元(約49億4200万円)を投資して、この連絡道路を建設することになったと、北朝鮮の貿易関係者が噂しているという。

しかし、今のところ工事が始まる様子はない。

中国は、国際社会の対北朝鮮制裁に同調する姿勢を示しているが、その本気度を疑う声が後を絶たない。そんな中で工事を再開すれば中国に対する視線がさらに厳しくなることが予想されるため、しばらくは様子見するだろうと情報筋は見ている。

また、中国のビジネスマンたちはこの話に期待感を示しつつも、半信半疑の様子だ。それは北朝鮮が今まで無理な要求を突きつけてきたり、約束を平気で裏切ったりしてきたからだ。

北朝鮮は中国に対して、橋と北朝鮮本土を結ぶ道路の建設費を出してほしいと求めるにとどまらず、平壌までの高速道路を建設してほしいという要求まで突きつけた。

高速道路の建設については、2015年10月の朝鮮労働党創建70周年記念行事に参加した中国共産党の劉雲山中央政治局常務委員と、金正恩党委員長の間で合意したものと伝えられている。北朝鮮当局は合意に基づき、今年4月に着工式を開くことを中国に提案したが、受け入れられなかった模様で、その後の動きはない。

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工事がいつ再開されるかわからない新鴨緑江大橋だが、地元の期待は大きい。北朝鮮との交易で潤ってきた丹東は、北朝鮮の相次ぐ核実験、ミサイル発射実験による経済制裁で、深刻な不況に陥っているからだ。

その影響で様々なプロジェクトが凍結の憂き目にあっている。

国境付近に済む両国の国民が品物を売り買いする中朝辺民互市貿易区は、完成したものの閑古鳥が鳴いている。北朝鮮企業が参加する見本市の中で最大の規模を誇る中朝博覧会も2016年から開催されなくなった。

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北朝鮮ツアーの最大手と言われる中国の旅行会社の代表が、中国当局に逮捕され、丹東銀行は北朝鮮と違法な取引をしたとして米国政府の制裁対象となるなど、丹東の冬の時代はしばらく続きそうだ。

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