ドイツ北部ハンブルクで、刃物を持った男に襲われ1人が死亡したスーパーマーケット前に手向けられた花(2017年7月29日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ドイツ北部ハンブルク(Hamburg)のスーパーマーケットで刃物を持った男が買い物客を襲った殺傷事件で、地元当局は29日、容疑者の男は精神面で問題を抱えたイスラム主義者として当局が把握していた人物だと公表した。犯行の動機は不明。28日に起きた事件では男性1人が死亡し、6人が負傷した。

 当局発表によると、男は26歳のパレスチナ人。2015年にドイツに入国し難民認定を申請していたが却下され強制送還される予定だったが、身元を確認できる書類を所持していなかったため退去手続きが延期されていた。

 殺傷事件を受けて、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は犠牲者を哀悼し被害者とその家族を気遣うコメントを発表。「暴力的な事件の真相は必ず解明する」と明言した。

 だが、ドイツは9月に総選挙を控えており、事件を機に難民・移民問題をめぐる激しい論争が再燃する可能性がある。2015年に国境開放を決断し100万人を超える難民申請希望者を入国させたメルケル首相へのプレッシャーも高まりそうだ。

■スーパー襲撃事件の概要

 事件を捜査中の警察によると、容疑者の男はスーパーマーケットに入ると売り場の棚から刃渡り約20センチのナイフをつかみ包装を破ってナイフを取り出すと、いきなり50歳の男性を襲った。男性はナイフで激しく刺され、後に死亡した。男は店内でさらに男性2人を襲って負傷させて店外に逃亡。逃げながらさらに4人を襲って負傷させたが、居合わせた人々に取り押さえられた。

 目撃者らはAFPの取材に、男は逃亡しながら「アラーアクバル(アラビア語で「神は偉大なり」の意)」と叫び、血まみれの包丁を振り回していたが、現場に居合わせた人々が男を追いかけイスを放り投げるなどして行く手を阻んで男を取り押さえたと語っている。

■精神面が動機の可能性も

 一方、1人が死亡、6人が負傷した刃物襲撃事件の動機の特定は難航している。

 ハンブルク州政府のアンディ・グローテ(Andy Grote)内相は容疑者の男について「イスラム主義者であることは把握していたが、ジハーディスト(聖戦主義者)ではなかった」と述べたうえで「過激化の兆候はあった」と付け加えた。

 動機については、イスラム主義に起因したものである可能性がある一方、男はかねて「精神的に不安定」な症状を抱えていたことから「どちらの要素が犯行の主な動機となったのか、現段階では不明だ」と語った。

 ドイツ連邦政府のトマス・デメジエール(Thomas de Maiziere)内相も「犯行を正当化するために『聖戦思想』を持ち出すことが多いが、真の動機は他の理由ということもある」と述べ、一足飛びで結論を出さないよう警鐘を鳴らし、今回の事件では「容疑者の人格的要素が動機という可能性もあるのではないか」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News