発禁本10万冊を使って神殿が建てられる
世界各国の政府などが何らかの理由によって発禁処分にした書籍10万冊を使ってパルテノン神殿のレプリカが作られました。ソ連の未来が描かれたとしてスターリンによって発禁処分にされたジョージ・オーウェルの「1984年」から、少女とヴァンパイアの少年の許されない恋を描く「トワイライト」まで、さまざまな本が神殿の建築材として使われています。
Call for Book Donations for The Parthenon of Books - documenta 14
Marta Minujín’s The Parthenon of Books is taking shape in Kassel - documenta 14
http://www.documenta14.de/en/news/21124/marta-minujin-s-the-parthenon-of-books-is-taking-shape-in-kassel
Marta Minujín Replicates the Parthenon Using Banned Books
http://mymodernmet.com/marta-minujin-parthenon-books-documenta/
Parthenon replica built out of 100,000 banned books in Germany - Curbed
https://www.curbed.com/2017/7/12/15957952/parthenon-replica-banned-books-marta-minuji
かつて発禁処分された、もしくは発禁処分されている最中の本10万冊を使った「発禁本の神殿」が最初に建てられたのは1983年。パフォーマンス・アーティストのMarta Minujínさんが、発禁本の寄付をつのり、1933年5月19日にナチス・ドイツや右翼の学生が「反ドイツ的精神に抗する行動」として約2000冊の本を燃やした、ドイツの学園都市カッセルの州立公園「フリードリッヒスプラッツ」に神殿を建設しました。なぜパルテノン神殿を模した形なのか？というと、パルテノン神殿は民主主義の象徴であるためだとのこと。
当時の様子は以下の記事から見ることができます。
発禁本で神殿を建造 - GIGAZINE
1983年の神殿は、アルゼンチン軍事独裁政権の終焉を歴史に刻む象徴として建てられましたが、Minujínさんは2016年から新たな「神殿」を建てるプロジェクトを開始。世界中から10万冊の発禁本を集めると共に、ドイツ・カッセル大学の学生たちと過去に発禁処分になっていた、あるいは特定の国でだけ発禁処分になっている本170冊のリストを作成し、一般の人々からの寄付を募りました。
神殿は2017年7月16日からドイツで行われているイベント「documenta 14」の展示品の1つで、2016年10月から建設が進められていました。
以下が建設の最中の様子。骨組みだけの神殿に、本が巻き付けられます。
横から見た時の柱。
屋外に建てられるということで、発禁本が傷まないように1冊1冊パッケージングされています。
作業員の様子。遠くからみると、本がカラフルなモザイクにも見えて美しいです。
今回のパルテノン神殿で使われたのはアルベルト・アインシュタインの「一般相対性理論」から、ステファニー・メイヤーの「トワイライト」シリーズまで、多岐にわたります。写真からは絵本の姿も見て取れます。
完成図がこれ。
夜になるとライトアップされました。
天井はオープンになっています。
人の姿があると、その巨大さがよくわかります。
ジョージ・オーウェルの「1984年」、ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」、ミッキーマウス、フランツ・カフカの作品集「Das Werk」などが巻き付けられています。
なお、これらの書籍は展示の最終日には来訪者が自由に持ち帰ることが可能。
建設中の神殿の様子は以下のムービーからも見ることができます。
Marta Minujin: The Parthenon of Books / Documenta 14 Kassel - YouTube
