インディカー参戦8年目、インディ500挑戦8回目にして掴んだ栄光。日本製(ホンダ)エンジンでの日本人初優勝でもある

写真拡大

清水草一×渡辺敏史両氏による恒例の自動車放談は、今回が15回記念大会! 愛すべきクルマバカの2人が選ぶ、2017年上半期自動車業界の刮目ニュースをお届けします!

<クルマバカ放談 2017年上半期編>
自動車ライター・清水草一 × 自動車ライター・渡辺敏史

――上半期を振り返ると。

渡辺:タカタの経営破綻ですか?

清水:いや、佐藤琢磨のインディ500優勝だよ! 夢のまた夢みたいなことが起きたんだよ!

渡辺:歴史的快挙ですよね。でも事前情報はトヨタのル・マンの盛り上がりとは正反対で、琢磨への期待値って、なかったじゃないですか。

清水:正直、もう誰も琢磨には期待してなかったんじゃないかな……。それがまさかの優勝! でも、大偉業にしては報道が少なかったね。

渡辺:ホンダの優勝リリースが出るのもずいぶんと遅かったですし。

――確か翌日の午後でした。

渡辺:その代わり、琢磨が凱旋帰国したときには、ホンダのウエルカムプラザでわりと派手にイベントやって、NSXをプレゼントしてました。

清水:NSXなんかいらないよ。カーマニアを含め日本人の脳内からNSXはすでに消えたでしょ。

渡辺:こないだホンダのメディア向け技術発表会が栃木研究所であって、そのとき研究所の人が、やらなきゃいけないことはだいたい把握したから、アメリカから日本に開発比重を移して、今から頑張るとは言ってましたけど。

清水:マイナーチェンジ? そんなもんやったってしょうがないよ!

◆インディ500制覇の価値とは

渡辺:まあ、てんでいい話がないホンダに今年唯一、吉報を届けてくれたのが琢磨だったということですね。今回の優勝のすごさを野球でいえば、ヤンキース時代の松井秀喜がワールドシリーズMVPを獲ったようなものですか?

清水:インディカーシリーズのなかでもインディ500は超別格だから、もっとデカいことのような気がするけどね。

――琢磨のインディ500制覇は、テニスでたとえるなら、錦織圭がウィンブルドンで優勝するくらい、ゴルフでたとえるなら、松山英樹がマスターズで優勝するくらい、すごいことだといわれてます!

清水:大英雄だよ!

渡辺:トランプ政権になって、また隷属国家に逆戻りだってとこに、NOと言える日本を突き付けたんですよ、琢磨が(笑)。

清水:俺がF1見始めたころから、日本人ドライバーの優勝を見たいとずっと長いこと思ってたんだよね。

渡辺:井上隆智穂とか?(笑)

清水:隆智穂はペースカーにはねられて歴史に名を残したけど、片山右京、高木虎之介、佐藤琢磨、そして小林可夢偉。ことごとくダメだった。あまりに待ちすぎて、期待する気持ちはもう完全に消えてた。ところが琢磨40歳でまさかの大どんでん返し! F1じゃないけどさ。

渡辺:トヨタは今年もル・マンに勝てなかったけど、予選での可夢偉のタイムはすごかったじゃないですか。ぶっちぎり!

清水:そういう話はもういいよ!

渡辺:レイテ沖で日本海軍大活躍みたいな。

清水:駆逐艦1隻沈めただけで、大勝利って言うのはやめようよ。トヨタにはル・マンに勝つまでやってもらうしかないけど、とにかく琢磨の優勝は今年の自動車業界最大のニュース! でも、我々はなにかにつけて日本人にこだわるよね。

渡辺:やっぱり70年前に民族全体でどん底を見たからじゃないですか。

清水:クルマ好きからしたら「日本人は運転がヘタ」と言われるのがコンプレックスなわけ。でもさ、最近しみじみ思うけど、日本人全般かなり運転がうまくなったと思うんだ。首都高走ってると、コーナリング速度がすごく上がってる気がする。

渡辺:それはクルマとタイヤがよくなったからじゃないですか。