渦中の船越も京都を案内する(『船越栄一郎 京都の極み』より)

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 BS、CS放送に多い「旅番組」。移動手段は徒歩から車、電車にバス、さらには船とさまざま。見せ方も、ドローンを飛ばしたり、ワンカットで撮影したり、各地に暮らす猫を求めて旅したりと趣向を凝らしている。だが、「行き先」に関してはある特定の場所に集中している。それが京都だ。

 そもそもどんな番組があるのだろうか。主流はやはりというべきか、タレントが旅人となって京都をめぐるオーソドックスなスタイル。
 
 京都在住の女優・本上まなみが案内する『京都浪漫〜美と伝統を訪ねる〜』(BS11・毎週月曜午後8時/KBS京都では日曜午後9時)、歌舞伎役者・中村芝翫が旅する 『京都ぶらり歴史探訪』(BS朝日・毎週火曜午後10時)。

 また、『高島礼子・日本の古都〜その絶景に歴史あり』(BS-TBS・毎週金曜午後10時)、『船越栄一郎 京都の極み』(BS日テレ・毎週日曜午後9時)はタイトルの通り、それぞれ高島礼子、船越英一郎が古都を旅していく。

 京都出身のAKB48 メンバー横山由依が、ふるさとの伝統文化を紹介する月1度の番組、『横山由依(AKB48)がはんなり巡る 京都いろどり日記』は、もともとカンテレで放送されているものだが、3か月遅れで「BSフジ」でも日曜午後に放送されている。

 ほかに、着目するテーマを毎週絞り、京都の魅力を映し出すパターンも。

 毎週日曜午後2時15分からの15分番組『京の菓子ごよみ』(BS12)は「京菓子」にスポットをあてた番組。そのおいしさはもちろん、意匠や職人の技を紹介している。

 NHK-BSプレミアムでは、京の食文化をひも解く『京都の食 8つの秘密』や、守り継がれる伝統の音を探しに行く『京都 音めぐり』といったミニ番組が頻繁に再放送されている。
 
 続いて、「目線」を変えたものも。NHK-BS1の『京、ぶらり。』(放送は随時)は、カメラが旅人目線で、京都をぶらりと旅する番組。本当に旅している感覚に襲われる。

 KBS京都が制作・放送し、CS「ホームドラマチャンネル」でも流れている『JEFF@KYOTO 』(放送随時)では外国人目線の京都の魅力を発信している。

『京都暮らし』(旅チャンネル)は、京都の伝統家屋「町家」に実際に一定期間滞在しながら、“いちげんさん”では味わえない普段着の京都を、生活者目線で“体験”“体感”していく番組だ。

 このように多種多様な京都の旅番組。だがどうしてここまで京都の番組がBS、CSに多いのだろうか。まず大前提として、京都が国内でも有数の人気観光地であることが挙げられるだろう。
 
 京都市が今年6月に発表した「平成28年 京都観光総合調査」によると、昨年1年間の日本人の京都の宿泊客数は1097万人と過去最高を記録。修学旅行生も、全国の対象生徒数が6万8千人減少する中、京都は対前年比1万2千人、1.1%増の110万5千人を記録している。
 
 北海道や福岡、沖縄など、旅行者はさまざまな観光地に分散しているが、日本人が旅する場所として真っ先に思い浮かぶ京都の旅番組が企画されるのはごく自然なことであろう。
 
 また第二の理由として、京都とBS視聴者の相性の良さが挙げられる。

 平成25年 京都観光総合調査」によると、京都を訪れる観光客は「女性が約6割」、そして「50代以上の方が約6割」という結果が出ている。

 そして「BSデジタル放送メディアパワーガイド2016」によれば、BS放送の中心視聴者層は50代以上の男女が合計84.2%占めることがわかっている。
 
 つまり、京都の観光客とBSユーザーは非常に親和性が高いのである。

 第三に、京都にある社寺仏閣、さらには四季折々の自然が、BSが求める「映像美」を十二分に満たしていることも重要だ。
 
 釘を一本も使わない「懸(がけ)造り」という構造で造られた清水寺本堂、赤い鳥居が連なる伏見稲荷大社、池の向こうに浮かぶ平等院鳳凰堂、秋の季節、境内の3000本余りに及ぶカエデの紅葉が見事な「永観堂」…。そんな圧巻のビジュアルは、よりプレミアム感を求めるBSの番組にマッチしているのである。

 第四に、これはBSに限らない話ではあるが、寺や仏像に隠れた秘話をひも解くことで、高い教養を得られるだけではなく、幕末を生き抜いた坂本龍馬や新撰組といったロマン、本能寺で最後を遂げた信長の死にまつわるミステリーなど、テレビ番組を作るうえでは事欠かない要素が、京都には満載である点も付け加えておきたい。
 
 最後に、京都には何回訪れても新鮮な発見があるように、同じ場所をいくら見ても飽きない、尽きせぬ醍醐味がある。ぜひテレビの前で、京都観光を楽しんでみてはいかがだろうか。 (芸能ライター・飯山みつる)