焦点:米FRB、早期の追加利上げは可能か

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[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は物価低迷によって早期追加利上げを阻まれるだろうとアナリストは騒いでいる。しかし、金融市場ではバラ色の光景が広がっており、FRBは結局年内の追加利上げが可能になるかもしれない。

株式市場ではダウ工業株30種平均、S&P総合500種、ナスダック総合指数の主要指数がこの数週間で何度も過去最高値を更新。ドルは主要通貨で構成されるバスケットに対して年初来で8%強と、2002年以来の速いペースで下落した。一方、10年物米国債利回りは今年に入ってわずかに低下し、FRBが今回の金融引き締め局面で最初に利上げした2015年12月とほぼ変わらない水準にある。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジム・キャロン氏は「FRBは今年に入って2度利上げしたが、金融環境は緩和的なままだ」とみる。

事実、金融環境はかつてないほど緩和している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの債券指数データによると、15年12月の米利上げ以降、22%近かった最低格付けの米企業の社債利回りは10.6%まで下がった。過去20年間平均の14.7%を大きく下回る水準だ。

また、セントルイス地区連銀が算出している金融市場のストレス度合を示す指数も約3年ぶりの低水準を付け、過去最低に近い。

FRBが量的緩和縮小の意向を示したり利上げを実施しても、低コストの資金へのアクセスには何の支障も生じていないようだ。

つまり、インフレ率がFRBの目標とする2%を下回り続けていても、追加利上げ余地は十分あるということだ。

マクロ・インサイト・グループの創設者のシェリヤール・アンティア氏は「利上げ開始から18カ月間に金融市場はどんどん緩和が進み、特に信用スプレッドが縮小した。FRBにとっては新たな『謎(コナンドラム)』だろう」と述べた。連邦公開市場委員会(FOMC)主要メンバーの念頭にはこの謎があり、最近の物価上昇率の低下とある程度綱引きしているのは間違いないという。

<金融環境の緩み>

FRBは過去に何度も市場の動揺により政策判断を先送りしている。2013年と15年には、市場の混乱で金融環境が引き締まったため、金融政策の正常化に向けた取り組みを棚上げした。

現在は金融環境が緩んでいる。米企業は低いコストで資金を借り入れることが可能で、輸出競争力は高い。一方、消費者からすれば保有資産が値上がりし、値上がり分を買い物に充てることができる。

ザ・ルースホールド・グループの最高投資責任者、ジム・ポールセン氏は「FRBには徐々に金利の正常化を進めるゆとりがたっぷりとある」と話す。

<物価低迷と資産バブル>

確かにFRBのイエレン議長らは最近のインフレ圧力低下に警戒感を示しており、内部にはインフレの上昇を見極めてから再利上げする方がう良いとの見方がある。ただニューヨーク連銀のダドリー総裁など、今利上げを逃すと金融緩和が行き過ぎ、資産バブルが生まれるリスクがあると懸念するメンバーもいる。

こうした対立を反映し、金融市場でも金利先物が見込む年内再利上げの確率はほぼ50%となっている。一方、エコノミストはFRBが年内に量的緩和の縮小に着手すると見込む。

アマースト・ピアポントのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「FRBは米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の償還分を再投資せず、バランスシートを縮小することで、金融環境に直接影響を与える措置を取る一方、米経済には大きな差異をもたらさずにすむだろう」と述べた。

(Richard Leong記者)