夏場に気をつけたい食中毒。高温多湿となり、細菌やウイルスが繁殖しやすい時期です。食中毒対策ならとりあえず加熱しておけば大丈夫、と安心していませんか。しかしぜひ知っておきたいのは、加熱だけでは不十分だということ。食中毒の原因となる毒素には、加熱をしても死なずに残ってしまうことがあるのです。

夏の食中毒は細菌によるものが多い

食中毒とは、食品を介して下痢や嘔吐、発熱や腹痛などの症状が起こることです。一般に食中毒の原因となるものに、微生物や科学物質、フグやキノコなど自然界の毒があります。しかし食中毒の9割近くは、ウイルスや細菌によるものなんです。ウイルスと細菌(間違えやすい細菌とウイルス、その違いはなあに?)による食中毒の違いは、ウイルス性食中毒は冬に発生することが多いこと。

夏に多いのは細菌性食中毒です。細菌は高温多湿を好むため、6月から9月にかけて増殖しやすく食中毒が起こりやすくなります。そのうえ夏は暑さで食欲が落ち体力が低下しやすいとき。普段なら細菌が体内に入っても、体の自己防衛力により細菌を殺すことができますが、体力が低下していると、細菌の力に負けて食中毒となってしまいやすいのです。

加熱をしても安心できない食中毒

ほとんどの細菌は加熱により殺菌できます。しかし注意したいのは、一部の細菌が出す毒素や芽胞は、通常の加熱では殺菌できないこと。毒素を出す菌として知られているものに黄色ブドウ球菌があります。平成12年には黄色ブドウ球菌による、加工乳を介した集団食中毒が起こりました。加工の過程に起こった停電により黄色ブドウ球菌の毒素が発生し、その後加熱処理によって菌自体は殺菌できたものの、毒素が残ったことが原因とされています。

また芽胞を形成する菌として知られているのは、ボツリヌス菌やウエルシュ菌、セレウス菌などです。芽胞とは細菌が生き延びるため知恵であり、過酷な状況に置かれた時に熱や乾燥、薬剤などに耐えることのできる芽胞を作り出します。そして過酷な環境が解かれた時、発芽してまた元の状態に戻ります。食品の中に芽胞が作り出されてしまうと、加熱したくらいでは芽胞を取り除くことができません。カレーなどの煮込み料理を室内に放置すると芽胞が作られやすい状況となり、加熱しても芽胞が残ってしまうことがあります。

過信せず早めに食べきるのがベスト

食中毒は加熱によって100%防げるわけではないことを覚えておきましょう。食中毒は食品の見た目や臭いでは判断できないものです。細菌による毒素や芽胞が作られないように、冷蔵保存が必要な食品や作った料理は冷蔵庫に保存し、早めに食べきるようにしましょう。農林水産省による食中毒予防の3原則とは、「食中毒菌を食品につけない」「食中毒菌を増やさない」「食中毒菌を殺すこと」です。夏場は特にこの3つに気をつけ、細菌が体内に入っても負けないくらいの体力をつけておきましょう。


writer:Akina