北欧においてはキリスト教以前の信仰が生き残り、口承でのみ伝えられた神話は12世紀に至って文字で書き残された。それこそが北欧神話である。

 

物語は世界に生じた裂け目に水が流れ込むところからはじまる。滴から最初の命である巨人が生まれ、その遺体から森羅万象が生じ、神が流木から人間を生み出す。

 

やがて物語は悲劇的な結末へと進みゆく。さまざまな神の口から「終末予言」がささやかれはじめるのだ。それこそ、最終戦争ラグナロク。「神々の黄昏」の邦訳をご存じの方も多いだろう。

 

かつて巨人の遺体から万物を生み出した主神・オーディンは最終戦争回避の策を練るが、オーディンの息子・バルドルがいたずら好きな神・ロキの奸計で、バルドルの異母弟ヘズに殺されると、ロキは神々に強く非難される。ロキの苦悶に地は揺れ動き、酷寒の冬が3年も続いた。人間は猜疑の赴くまま殺し合うなか、最終戦争ラグナロクが幕を開ける。

北欧神話の戦争と死を司る神、オーディン。

 

壮絶な一騎打ちが繰り返されるうちに、神も巨人も、ロキもオーディンも斃(たお)れ伏す。最後に生き残った巨人・スルトが剣を放つや、世界は焼き滅ぼされて海底に没してしまう。

 

幾星霜を経て海底からまた大地が浮かび上がり、生き残りの神が天地を作り直し、焼け残りの世界樹に隠れていた一組の男女から、新たな社会が創造される。

 

一応、「めでたしめでたし」で終わる北欧神話。しかし震災と酷寒の冬の描写そのままの光景が、現代に再現される可能性があるのをご存じだろうか。

 

西暦1783年、アイスランドで大規模な火山噴火が発生した。創造神話そのままに地の割れ目から吹き出す溶岩は大地を焼きつくし、火山灰による日照不足と毒ガスにより人口の2割が死亡したという。

 

さらに天候不順は欧米一帯を覆い尽くした。当時の年代記によれば、太陽は血の色になり、屋外労働者は毒気に倒れ、温暖なメキシコ湾にすら氷が浮かんだという。

 

現在、大噴火寸前だと予測される火山は各国に存在する。山に火柱が上がるとき、新たな「神々の黄昏」が到来するのかもしれない。

1783 年に大噴火を起こしたアイスランドのラキ火山。

 

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