長崎市の世界文化遺産の軍艦島を舞台に、徴用された朝鮮半島出身者らの炭鉱脱出劇を描いた韓国映画「軍艦島」。韓国内で徴用工問題への関心が高まるのは必至で、慰安婦に続き、日韓の新たな火ダネになりそうだ。写真は軍艦島。

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2017年7月29日、長崎市の世界文化遺産の軍艦島(端島)を舞台にした韓国映画「軍艦島」が26日、公開された。太平洋戦争末期、端島炭坑に徴用された朝鮮半島出身者らの脱出劇を描いたフィクションだが、韓国国内で徴用工をめぐる問題への関心が高まるのは必至。慰安婦に続き、新たな日韓の火ダネになりそうだ。

この映画は終戦間際、端島炭坑で旧日本軍が過酷な労働を強いていた朝鮮半島出身の徴用工ら400人の存在を隠すため、坑内に閉じ込めて爆殺する計画を立案し、これを察知した徴用工たちが脱出を試みるというストーリー。炭坑で多くの朝鮮半島出身者が働いた史実を基にする一方、爆殺計画や集団脱出の部分は創作だ。

日本でも知られる俳優ファン・ジョンミン、ソ・ジソプ、ソン・ジュンギ、歌手で女優のイ・ジョンヒョンら豪華メンバーが出演。韓国メディアによると、純粋な製作費だけで約220億ウォン(約22億円)という超大作で、封切り前からメディアがこぞって取り上げていた。

聯合ニュースによると、韓国映画振興委員会の集計で26日には97万352人の観客を動員。公開初日の観客数最多記録を打ち立てた。観客動員数は2000万人以上を目指しているという。

徴用工をめぐって、韓国側は戦時総動員体制下で日本の植民地だった朝鮮半島からも多くの労働者が日本国内などの兵器工場や炭鉱、造船所、製鉄所などに強制的に連れて行かれたと主張。労働組合の二大全国組織である全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)がソウルや仁川などで徴用工像の設置を進めている。済州島の日本総領事館前の公園にも市民団体が像を建てる計画を明らかにしている。

26日の記者会見で映画「軍艦島」について問われた菅義偉官房長官は「徴用工問題を含め、日韓間の財産請求権の問題は1965年の日韓請求権協定により完全に、そして最終的に解決済み」と強調。「史実を反映した記録映画ではないと思っている。政府としては映画の内容にコメントすることは控えるべきだと思う」と述べた。

これに対し、韓国外務省の報道官は翌27日の記者会見で「かつて数多くの韓国人らが本人の意思に反し、過酷な条件の下、軍艦島で強制労働させられたことは周知の事実だ」と指摘。「この映画は史実にインスピレーションを得て製作されたものと承知している」などと反論した。

さらに、日本が15年に端島炭坑を含む「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録した際、情報センターを設置するなど強制徴用犠牲者を記憶する措置を取ると約束したが、まだ実行していないとも批判。「日本政府が措置を誠実に、速やかに履行するよう促す」と注文した。(編集/日向)