【SUBARU WRX試乗】走りが格段に進化!過激なのに乗りやすい新感覚スポーツセダン

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SUBARUの「WRX」シリーズといえば、ニュルブルクリンク24時間耐久レースや全日本ラリー選手権で活躍する、国産屈指のパフォーマンスを誇るスポーツセダン。

WRXには「S4」と「STI」というふたつのラインが用意されていますが、今回、その走りをさらに進化させるべく、マイナーチェンジが実施されました。

2014年の現行型デビューから3年。これまでもインテリアや装備の見直しなど、小改良は行われてきましたが、今回はエクステリアやメカニズムにも改良の手が加えられたとのこと。先日、クローズドコースで試乗会が開催されましたので、新型WRXシリーズの印象をお伝えしたいと思います。

SUBARUのスポーツモデルを代表するWRXシリーズのマイナーチェンジと聞けば、「さらなるパワーアップか!?」と思う方も少なくないはず。しかし、今回の変更において、エンジンは従来モデルを踏襲しています。つまり、STIは最高出力308馬力の2リッター水平対向4気筒ツインスクロールターボ、S4は最高出力300馬力の2リッター水平対向4気筒直噴エンジン+ターボを引き続き搭載します。

しかし、小手先だけの小変更かといえば、さにあらず。現行モデルがデビューした時に掲げられたコンセプトは「Pure power in your control」であり、パワーとコントロールの究極バランスを目指したと、開発陣は語りました。その目標は従来モデルでも十分に達成されていましたが、いかに高い完成度を実現したとしても、開発チームがそこで満足しないことは、熱心なSUBARUファンならご存知でしょう。

結論からいってしまうと、多くのファンが気にする“走り”については、今回、WRXシリーズの開発コンセプトにおける大きなテーマである“コントロール性の向上”が図られたのです。

まずは、S4のドライバーズシートに収まり、1週5kmのコースへと走り出します。S4のトランスミッションは“スポーツリニアトロニック”と呼ばれるSUBARU独自のCVT。とはいえ、いわゆる無段変速だけでなく、設定によって一般的なAT車のように変速するステップ変速制御を採用しており、リズミカルな走りを楽しめます。スポーツカーを走らせるには、やっぱりテンポやリズムが大事だよね、という方も、これなら納得いただけるのではないでしょうか。

さて試乗コースには、スラロームから中速コーナーまで設定されていましたが、その進化をすぐに理解できるのはハンドリングでしょう。電動パワーステアリングはシステムが見直されたことで、感触はしっとりとしながらも、ダイレクト感が向上しています。

また、ダンパーやスプリング、スタビライザーのセッティングも改められており、しなやかでフラットな乗り心地が実現されています。もちろん、スポーツセダンらしく、絶対的には硬めで引き締まった足まわりですが、コーナリング中に大きめの段差などに遭遇しても、足回りがしっかりと衝撃を吸収し、ステアリングやフロアなどに不快な振動などが伝わることはありません。

WRXというと、続いてご紹介するSTIのイメージが強く、S4はグランドツアラーと思われている方も少なくないかと思います。確かにロングドライブも楽しめる快適性を実現していますが、ワインディングロードに連れ出してもドライバーをしっかりと楽しませてくれる、懐の深さも備えているのです。

続いては、SUBARUスポーツモデルの象徴でもあるWRX STIに乗り込み、同じコースへと走り出しますが、その前に、今回のマイナーチェンジにおけるSTIの改良点をご紹介しましょう。

メカニズムにおいて従来モデルと異なるのは、センターデフ“DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)”のメカニズムが、変更を受けたことでしょう。従来は電子制御だけでなく、機械締結を使った差動制御を行っていましたが、新型では完全な電子制御式へと改められました。これにより、コーナーの曲がり始めでの回頭性向上を実現しておる、日常ドライブに限らず、雪道でも安心してクルマを操ることができるようになったといいます。

また、足まわりはサスペンションのセッティングが改められただけでなく、ブレーキやタイヤ・ホイールも強化されています。ブレーキは、従来が17インチ+2ピース式キャリパーであったのに対し、18インチのドリルドローター+ブレンボ製モノブロックの6ポットキャリパーへと変更されるなど、大幅にグレードアップされました。さらに、SUBARUとしては初となる19インチタイヤ(245/35R19)も採用しており、まさに足腰を徹底的に鍛えたことが、お分かりいただけると思います。

こうした改良点を復唱しつつ、緊張しながらコースへと走り出します。従来モデルと変わらず、第一印象は「頭を後ろに持っていかれる」ような圧倒的なパワーではありますが、最初のコーナーからその違いは明確でした。

まず、減速のためのブレーキングですが、そのコントロール性と強力な制動力は、やはりブレンボ…と思わず膝を打ちたくなります。ただし、ブレンボ製システムらしく、しっかりとした踏力も必要となりますので、メリハリのある運転操作も欠かせません。

そして何より感銘を受けたのは、やはり新しい電子制御式DCCD。ステアリング操作に対し、ノーズは極めてリニア、そしてスムーズに反応します。特に切り始めのノーズの入り方、軽快な動きは、クルマがひと回り軽くなったかのような印象。また、筆者のように腕に覚えがあるとはいいがたいドライバーの場合、恥ずかしながらコーナリング中にハンドルを切り増して…なんてことが多くありますが、そうした操作にもしっかり反応してくれるのは、新型DCCDに加え、S4同様、強化されつつも懐の深い足回りあってのことでしょう。

試乗コースは1週5kmとはいえ、結構なアップダウンやタイトコーナーが連続し、濃密なドライブが楽しめる設定でしたが、クルマによっては思わず冷や汗とはいわずとも、緊張から手に汗を握るようなこともあります。しかし新型STIは「もう1周走りたい!」、「もっと走りたい!」と思わせるほどの楽しさと寛容さも備えていました。クルマを降りた後の背中のしっとりとした感じは、同じ汗でもまさに、スポーツした後の爽快な汗なのでした。

スポーツカーは好きだけど、その凛々しい出で立ちやスペックを見ると、思わず腰が引けてしまうという方もいるかもしれませんが、百聞は一見にしかず。SUBARUファンならずとも、WRXシリーズの進化は、クルマ好きならぜひとも体験すべき価値ありです!

<SPECIFICATIONS>
☆S4 2.0GT-S アイサイト
ボディサイズ:L4595×W1795×H1475mm
車重:1540kg
駆動方式:4WD
エンジン:1998cc 水平対向4気筒 DOHC 直噴ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:300馬力/5600回転
最大トルク:40.8kg-m/2000〜4800回転
価格:346万円

<SPECIFICATIONS>
☆STI Type S
ボディサイズ:L4595×W1795×H1475mm
車重:1490kg
駆動方式:4WD
エンジン:1994cc 水平対向4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速MT
最高出力:308馬力/6400回転
最大トルク:43.0kg-m/4400回転
価格:376万円

(文/村田尚之 写真/村田尚之、SUBARU)