夏休みが「うれしくない」子どもたちがいるってホント?

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子どもの頃、夏休みは海やプールに行ったり夏祭りに出かけたりと、楽しいイベントが盛りだくさんで、ワクワクな日々を送った人は多いと思います。しかし今、「夏休みはあまり好きじゃない」という子どももいることをご存じでしょうか。

2017年6月、厚生労働省は子どもの貧困率が2012年には16.3%だったところ、2015年には13.9%に減少したと発表しました。しかし、割合としては減ったものの、いまだに7人に1人の子どもが「貧困」というのが日本の現状です。こうした状況に置かれている子どもたちにとっては、夏休みがつらい日々になってしまうこともあるそうなのです。

東京都内で子ども食堂を開催している団体によれば、「たとえば、母子家庭の親子で、母親が非正規雇用という家庭。生活費を稼ぐために複数の仕事をかけもちしている人も多く、夏休みなどを取るような状況にはないようで、子どもをどこにも連れて行ってあげられないのが心苦しいという声はよく聞きます。それだけでなく、学校の給食がないために、夏休み中は昼食をあまり食べていない子どももいる」のだとか。

このように、満足に食事を取れなくなる子どもがいるだけでなく、夏休み中は子どもたちの間で「経験」に大きな差がついてしまい、それが子どもの気持ちに影を落とすこともあるのだといいます。

「お盆休みに家族旅行に行ったという友達の話を聞いて、自分もどこか行きたいと思ったけど、お母さんには言えなかったと話す小学生もいました」

また、夏休みにはたくさんの宿題が出されるものですが、そこでも家庭の事情によりさまざまな差が出てきます。都内で子どもたちに学習支援を行う団体のスタッフがこう話します。

「学校の宿題の中には、家で1日3食の食事をつくってレポートにしたり、美術館に行ってレポートを書いたりというものもあります。すると、親が働きづめで家に誰もいない子や、美術館に行くお金がほしいと言えない子も出てきて、宿題をやらずに夏休みを終えてしまうということも。たくさんのワークをこなす中で、わからない問題があっても忙しいお母さんには聞けない子がいたり、兄弟が多いと下の子たちを1日中見ていなくてはならずに勉強どころではなくなってしまう子がいたりします。また、受験を控えた子どもの場合、周りの子がみんな夏期講習に通う中、自分は経済的な理由で通えずに焦りを覚えたり悲観的になったりしてしまう子もいます」

このように、夏休みは家庭の経済的事情による差がハッキリ出てしまう時期なのだそうです。こうした子どもたちに何ができるか、政府や自治体にも考えていってもらいたいですが、私たち一般市民も、気になる子がいたら声をかけてあげるなど、少し目を配ることが必要ですね。