「山のグレーディング」で技量・体力に見合った山へ

縦軸で「体力度」、横軸で「技術的難易度」。日帰り可能なやさしい山から最上級者向きの山まで一覧表に

長野など4県が主な登山ルートをランク付け

ますます盛んになる登山ブーム。登山客には、ブームを支える中高年ばかりでなく若い人たちの姿も目立ちます。そして、ブームの高まりとともに気になるのは山岳遭難。遭難事故を防ぐには、自分の技量や体力に見合った登山ルートを選ぶべきことはいうまでもありません。

そんなとき、長野、静岡、山梨、新潟の4県から公表されている「山のグレーディング」というデータがとても参考になります。人気のある主な登山ルートの難易度をランク付けして一覧表にしてあるので、自分の行きたい登山ルートがどれくらいのレベルなのか、インターネットなどから知ることができます。

「体力度」は10段階、「技術的難易度」は5段階で

「山のグレーディング」は、すでに2014年公表していた長野県の提案で、ほかの3県も統一基準でランク付けを行い、2015年の夏山シーズンを前に公表されました。
一目で分かる表形式になっていて、縦軸は目的地までの時間や標高差などで評価される「体力度」が1〜10の10段階で示され、横軸は登山道の危険性を表した「技術的難易度」がA〜Eの5段階で示されています。

体力度の評価は、1〜3が日帰り可能、4以上は宿泊が必要で、8〜10は2〜3泊以上が目安。

技術的難易度は、Aが転落・滑落の可能性が低い初心者向き、Cは中級者向きで、ハシゴ、クサリ場、雪渓などがあり、そこを通過できる身体能力と地図読み能力が必要とされます。最も難しいEは、厳しい岩稜の上り下りが続き、転落・滑落の危険個所が連続するので最上級者向きとされています。

*雪のない時期で天気が良いという条件での登山が想定され、活火山などに関する注意書きもあります。

一覧表から目指す登山ルートの難易度が分かる

自分の行きたい登山ルートが一覧表で見つかれば、縦軸と横軸をたどってどれくらい難しいルートなのかが分かります。

たとえば、静岡県の天城山や長野県の蓼科山はどちらも体力度が2、技術的難易度がBのランクです。急な上り下りや分かりにくい道があるので、登山経験があり地図読みもできれば望ましく、日帰りが可能とされています。

技術的難易度は同じBランクでも、富士山は、静岡県側、山梨県側どちらから登るにしても体力度はかなり高め。日本一の高山のため高山病や天候の急変の可能性などが考慮され、1泊以上または1〜2泊以上が適当な5〜7ランクとなっています。

ちなみに、長野県と新潟県の表にはいま大人気の高尾山(東京都)も紹介されていて、ケーブルカーを使わないルート(表参道コース、琵琶滝コース)の体力度は2、技術的難易度は最もやさしいAとなっています。

とはいえ、Aであっても「登山の装備は必要」とされていますから、浮かれ気分の軽装で行っては危険ということでしょう。

山の怖さを知らない初心者が危ない

山岳遭難で多いのは、「道迷い」や「滑落」「転倒」など。こうした遭難事故を防ぐには、行きたい登山ルートを「山のグレーディング」でチェックして、自分や同伴者の経験や力量、体力などに見合っているかどうかをまず確認するとよいでしょう。

警察庁のまとめによると、2014年の山岳遭難件数は全国で2293件、遭難者は2794人でどちらも統計が残る1961年以降最多でした。さらに今春の大型連休中(4月25日〜5月6日)の遭難者208人も、統計が残る1994年以降最多となりました。遭難事故増加の一因として、「山の怖さを知らない初心者」や「体力低下を意識しない中高年者」が険しい山に挑んでしまうことが指摘されています。

華やかな山登りファッションを大いに楽しむとともに、安全登山にも心をくだいてください。そんなとき、「山のグレーディング」は貴重な情報源になるでしょう。

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(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2015年7月に配信された記事です