臨床心理カウンセラー/パーソナルコーチ松山真己さんが、女子のメンタル相談に答えてくれる本連載。今回は女友達との付き合い方についてのお悩みです。仲良し3人組だと、どうしても2対1になってしまう瞬間ってあるもの。また、長い付き合いの友達との間に感じる疎外感も、時にもやもやしてしまいますよね。

<悩み>
私には、いつも3人で会う女友達がいます。年に3回、各々の誕生日付近に食事会をしています。発起人は私で、友達とは小学校時代からの長い付き合い、でも気になることがあるんです。友達2人は、この誕生日食事会以外にもちょくちょく会って遊んでいるようなのです……私はこの年3回しか彼女たちには会っていません。誕生日食事会の会話の端々に、2人で会ってる様子を散りばめられるのです。私は友達の職場が変わったことも、4年間知りませんでした。「私も呼んでよ〜!」と以前言ったことがあるのですが、呼ばれることが1度もありません。だんだん誕生日食事会の空間が苦痛になってきて、上辺だけの付き合いなのかな、と本心から楽しめなくなってきました。私が発起人で、もうかれこれ10年近く続いてるし、止めるとも言い難いです。この友達と、もっと深く仲良くなるにはどうしたらいいのでしょうか? (37歳・アルバイト・由美子さん)

友達付き合いは時間の経過と共に変わっていくことがあるとはいえ、自分が楽しめないお付き合いは嫌なものですよね。松山先生のアドバイスは……!?

小学生からの友達と今も続いている、という人は意外と少ない。地元や環境が似ている場合は、付き合いが続けやすいよう。

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小学校時代からずっと続いている友人がいるというのは、素敵なことですね。

年に3回、其々の誕生日付近で食事会を開くというのが10年近く続いていることにも、絆の深さを感じます。きっと学生の頃から、いつも一緒で、泣いたり笑ったり、沢山の感情をシェアして過ごして来られたのでしょうね。

大人になっても、その頃の友人と会うと時間が戻ったかのように思い出とともに、当時の自分達へと戻り、話が弾むものです。

ただ、過去と現在を混同してしまい

「この子は昔からこういうタイプだ」「この子のことは良く知っている」

と信じて疑わない自分自身の感覚には要注意です。この感覚には、幻想と現実が混在しています。そして相手への過度な期待を生んでしまうことがあるのです。例えば「この子は、私のことを本当に理解してくれる人」というような……。

この場合、少しの感覚のズレや共感できないことに対し敏感に反応してしまい、落胆や不信感、裏切られたような気持ちや孤独感まで抱きやすくなります。

大人になると、割と多くの人がある時期、昔から親しかった友人と疎遠になったり、たまに会っても話が弾まないということがあるようです。それは、どうしてだと思いますか?

子供の頃、学生の頃からの友人というのは、感覚的に家族や身内みたいなものだと思います。お互いのことをよく知っていて、どんな時でも味方になってくれるような存在なのかもしれません。多くの時間を共有している分、双方が同じように感じ、分かり合えたり共感しあえたりするのです。

ところが、大人になり社会人ともなるとそうはいきません。

多くの時間を過ごすのは、其々が別の環境なのです。そこでは、新たな知識や技術力を身に付けたり、それまでとは違った人間関係を築くこともあるでしょう。様々な経験は、価値観や思考、行動、外見なども変化させます。そして、こういった変化を人は「成長」と呼ぶのです。

つまり、違う環境であってもお互いに、同じレベルで成長していれば時が経過しても、しっくりとくる関係でいられることも多いのですが、成長のレベルや方向性に大きなズレが生じていると、以前とは違った居心地の悪さを感じることになるというわけです。

子供や学生の頃は、体験や感覚を共有して盛り上がれることが親友の条件みたいなところがあります。しかし、大人になると、お互いを認め合えるか、相手のことが好きかどうか、が親友であり続けるポイントとなってくるのです。

では実際に、昔からの友人との間に違和感を感じてしまったら……?その対処法は後編でお話します。後編に続く。

■プロフィール

女子メンタルの賢人 松山真己

臨床心理カウンセラー/パーソナルコーチ
個人や企業へのカウンセリング、コミュニケーション教育、各種セミナーなど。
心の多面性を見つめながら「心の健康と美」を育んでいくカウンセリングには、経営者や専門家、アーティストなどのクライエントも多い。
また、TV雑誌等でのコメントや心理テストの作成分析などにも多く携わっている。
http://www.calix.jp ( 心の健康と美の研究所Calix/株式会社CIELO )