思えば、JR八戸線のレストラン列車「TOHOKU EMOTION」もそうだし、カンヌライオンズ2015で金賞をとった「行くぜ、東北。」のプロモーションを見ていても思う。鉄道に乗ることはもはや、ただの交通手段ではない。それが旅のメイン、あるいは行程の一部として十分な魅力を発揮している時代だ。

観光列車、という旅の選択

今は全国各地、さまざまなタイプの観光列車が走っている。アートがテーマの列車、スイーツを堪能できる列車、とにかくラグジュアリーな列車など多種多様だが、私はまず、京都丹後鉄道をおすすめしたいと思う。なぜなら、観光列車の基本も醍醐味もすべて詰め込まれているし、いろんな旅行客のニーズに応えてくれるからだ。

観光列車の基本は
「デザイン」

内容もさることながら、まず注目すべきは車両デザインだと思う。普段乗っている電車とは全然違う、一歩足を踏み入れた時の「うわぁ!」という、あの感じ。

京都丹後鉄道の観光列車をデザインしているのは、新幹線「つばめ」や特急「かもめ」、そして、日本初のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」などのデザインで知られる水戸岡鋭治。

車内は、日本海の白砂青松を象徴する「松」をテーマにデザインされていて、明るい天然木と丹後の素材がふんだんに使われている。このきちんと作り込まれている感。観光列車には欠かせない感動だ。

観光列車の醍醐味は
「食」

やはりこれ、と思う人も多いだろう。

京都丹後鉄道の観光列車は、3パターンに分かれている。そのうちのひとつ、レストラン列車「丹後くろまつ号」は、歴史と食を楽しめる列車だ。

宮津の料亭「ふみや」が手掛ける「ランチコース〜雅(みやび)〜」では、明智光秀の三女、細川ガラシャが食べていた料理を現代風にアレンジした「細川御膳」が出てくる。食器も細川家の家紋を入れたものを使っていて、その抜かりなさが素晴らしいと思う。

天橋立宮津ロイヤルホテルの日本料理レストラン「松橋」が手掛ける「ランチコース〜楽〜」では、丹後産赤米などを使った本格ホテルランチ食べることができる。また、観光スポット「豪商稲葉本家」に立ち寄り、名物のぼたもちのお土産も。

おいしいだけじゃなく、そこに現地の歴史や風土が織り込まれている。それが観光列車の食の魅力だ。

コースやメニューは季節によって変わる場合もあるので、まずはホームページで確認を。

そして(個人的に)
何より素晴らしいのは

私が京都丹後鉄道で押したいポイントは、実はここだ。

旅のスタイルは多様化してきている、という所感を最初に書いた。京都丹後鉄道は、さまざまな観光客を受け入れてくれる、という点で、私はより多くの人に勧めたいと思う。

観光列車といえば、豪華な車両に豪華な食事、というイメージもあるだろう。それが前述の「丹後くろまつ号」だが、京都丹後鉄道には、自由席で利用できる「丹後あかまつ号」、通常運賃&予約なしで乗れる「丹後あおまつ号」という選択もある。車両デザインはどれも水戸岡鋭治によるものだし、景色を見やすいように席が配置されていたりとおもしろいから、お得だからといって感動の度合いが下がるようなことはない。

ゆったりと列車に揺られながらビューポイントを巡りたい人、すでに「丹後くろまつ号」に乗ったことがあって今度はカジュアルに丹後を楽しみたい人、そしてふらりと立ち寄った人にも、丹後の魅力をたっぷり伝えてくれる。それが京都丹後鉄道の観光列車だ。すべての旅人に選択肢があるということは、重要なポイントだと私は思う。

価値の多様化は、私たちの旅の目的も変えた。この夏、これまでとひと味違った旅を求めているなら、これはひとつの手かもしれない。

Licensed material used with permission by WILLER TRAINS株式会社(京都丹後鉄道)