ヨーロッパ最古の王室をもつデンマーク。首都のコペンハーゲンやその近郊には数々の城や宮殿があり、王家の華やかな歴史を物語っています。

そのなかでも、王家の豪華な宝物が見られることで知られるのが、ローゼンボー離宮。

クリスチャン4世が夏の離宮として造営した宮殿で、コペンハーゲン中心部にある広大なローゼンボー公園のなかにたたずんでいます。

まさに「都会のオアシス」といった趣の公園に、堂々とした姿を見せているローゼンボー離宮。高い尖塔をもつ複合的な建物は、見る角度によってまったく異なる表情を見せてくれます。

ローゼンボー離宮は、1605年に建設が始められ、完成したのは1634年のこと。当時のデンマークの建造物としては典型的なオランダ・ルネッサンス様式で建てられています。

1615年、38歳のクリスチャン4世は、絶世の美女と呼ばれたキアステン・ムンクと熱烈な恋に落ち、ローゼンボー離宮はふたりの愛の巣となったのです。

1700年代以降、ローゼンボー離宮は居城として使用されることはなくなりました。かわりに、王家の貴重なコレクションが展示され、王の賓客たちがデンマーク・ノルウェー王国の威光を目の当たりにする場へと役割を変えたのです。

現在、城内はクリスチャン4世の時代の豪華な居間をはじめ、贅を尽くした部屋の数々や、フレデリク2世の時代から19世紀までの王室コレクションを展示する博物館として公開されています。

デンマーク王室の華やかな歴史をたどる、タイムトラベルのはじまりです。

公開されている居室部分は、地上階と1階(日本式2階)、2階(日本式3階)の3つのフロアに分かれています。

地上階で注目したいのが、1668年にイタリアの人造大理石で造られた「大理石の部屋」。

天井から壁、床にいたるまで華やかな装飾で覆われた空間は圧巻の華やかさです。

壁にはスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの紋章が配置され、当時の絶対君主制をたたえる役割を果たしていました。

1階には「フレデリク4世の広間」や「クリスチャン6世の広間」をはじめ、比較的小ぶりな部屋の数々が並んでいます。

ここで興味深いのが、「鏡の小部屋」。フランスのヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」に影響を受けたクリスチャン5世が、1686年に造らせたものです。

今となっては何の変哲もない部屋のように見えますが、当時鏡は大変な高級品でした。そんな時代背景を踏まえて見ると、ますます面白く感じられます。

2階の大部分を占めるのが、ローゼンボー離宮最大の広さを誇る「大広間」。

イッカクの牙と銀で作られた玉座を3頭の銀製のライオンが守り、巨大なタペストリーが壁を覆う壮麗な空間が、当時の王の権威を物語っています。

ここに展示されている品物のなかには、現在も特別な機会に王家の人々によって使われているものがあります。王家の子どもたちは、1671年から現在にいたるまで、玉座の右側に配置されている洗礼盤のなかで洗礼を受けてきました。

また、王の崩御の際には、王の遺体が一般公開されるあいだ、ここにある3頭のライオンが王の棺を守ります。

王家に代々受け継がれてきたこれらの品は、王家の過去と今、そして未来をつなぐ役割を果たしているのです。

ローゼンボー離宮最大の見どころのひとつが、地下に設けられている宝物庫。

一般に公開されているデンマーク王室のコレクションとしては随一の充実度を誇り、金製品や象牙細工、ガラス細工、琥珀製品、宝石など、まばゆいばかりの宝物の数々が並んでいます。

なかでも必見なのが、王の戴冠式に用いられた王冠。さまざまな宝石で飾られ、黄金色に輝く王冠は圧倒的な存在感です。

王家に伝わる宝物とともに、デンマーク王室が歩んできた歴史をたどる。そんな非日常体験がここにあります。

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