画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●国際線に意欲をみせる

JAL、ANA、JAS(JALに統合)という、かつて“3大航空”といわれていた時代は、はるか昔に過ぎ去り、現在は新興航空と呼ばれる企業やLCCなどが群雄割拠している。ソラシドエアもそうした新興航空のひとつだが、すでに就航から15年となる。

スカイネットアジア航空という商号だった就航当初は、産業再生機構やANAの支援を受けるなど苦しい経営を強いられたが、2015年にはソラシドエアに商号を変更。そして2017年8月、就航から15周年という節目を迎える。

同社が採ってきた戦略は“ローカルエアライン”というもの。宮崎-羽田間を軸に、熊本-羽田、鹿児島-羽田などといった路線を拡大。さらに2009年からは、那覇-鹿児島のように沖縄へのネットワークも広げていった。そして現在、10路線34往復68便の規模となる。徹底的に九州・沖縄にこだわり、地域の経済活性の“一翼”を担ったといってよいだろう。さしずめ、札幌や新千歳を拠点にしたエア・ドゥが“北の翼”なら、ソラシドエアは“南の翼”といえる。

○ローカルからグローバルへの転換

そのソラシドエアが15周年を迎え、中期経営戦略について説明を行った。そのメインとなる経営ビジョンが「地域と世界を繋ぐグローバルエアラインに進化する」というもの。つまりローカルエアラインを標榜していた同社が、グローバルエアラインへと生まれ変わるということだ。

その取り組みの第1歩はすでに始められている。2015年には宮崎-台湾・高雄線でチャーター便を運航し、2017年1月には羽田-仁川線でもチャーター便を飛ばした。宮崎-高雄線は、九州・宮崎県に本社を置くいかにも同社らしい空路設定だが、羽田―仁川線は九州とは関係がない。羽田はソラシドエアの拠点のひとつではあるが、これをみても九州以外の空路に意欲があることが伝わってくる。

ソラシドエア 取締役社長 高橋宏輔氏は、「まずはチャーター便を運航することで、国際線のノウハウを学びたい。そして2020年を目途に、定期便の運航を目指す」と話す。

●九州・沖縄へのこだわりも継続

一方、これまでこだわってきた“九州・沖縄への脚”としての役割も継続していく。その最たる例が「空恋」というプロジェクトだ。これは、同社の機体に九州・沖縄の各自治体の地名を表示し、その地のPRに役立ててもらおうというもの。1年間機体に地名を表示するとともに、機内では各自治体のアイデアでPRするという。現在は、この施策から派生したカタチで、「がんばろう! 九州」というプロジェクトに取り組んでいる。これは、地震により大きな被害を受けた、熊本県や大分県を支援するのが目的だ。

そのほか、機内サービスも徹底的に九州にこだわっている。機内販売商品をみてみると、長崎産アゴ(トビウオ)と大分産ゆずを使用した「ソラシドソラスープ」や、ちゃんぽん風味のスープはるさめ「ソラシドはるさめ」、熊本県キャラクター「くまモン」をデザインした「ドーナツ棒」など、九州で塗り固められている。

機内誌「ソラタネ7月号」を拝読させていただいたが、こちらも九州・沖縄一色。ちなみに特集は「夏の島でアクティブに遊ぶ」というもので、鹿児島県・薩摩川内の魅力を伝えている。

○増え続けるインバンド需要を取り込めるか

さて、国際線に意欲を示していると先述したが、そのねらいのひとつはインバウンド観光客の九州への直接の送客だろう。北海道は日本の観光地ブランドとしてグローバルでの知名度が高い。それに比べると九州の知名度は一段下がり、インバウンドの注目度はまだまだだ。だが、これはチャンスでもある。

2016年に2403万9000人に達したインバウンド観光客は、今後も増える見とおしで、しかも日本への再訪率は高い傾向にある。つまり、東京や大阪、京都といった定番の都市を目指したインバウンド観光客は、知名度がそれほど高くない地方へと視線を移し始めている。その意味で、これまで注目度があまり高くなかった九州に目が向けられる可能性は十分にある。

また、FIT(外国個人旅行者)が増え始めているのもポイント。国際線で九州に直接インバウンドを取り込む以外にも、羽田に到着した観光客が個人で航空機を予約し、九州を目指すということも十分に考えられる。こうした需要が増えた際に、ソラシドエアがどれだけ存在感を示せるかがカギになるだろう。

最後に、高橋社長に「大手航空、中堅の新興航空、LCC、どこを意識しているのか」と聞いてみたところ、「すべて」という答えが返ってきた。一時期は苦戦を強いられたソラシドエアだが、15周年を迎えた自信の表れがこの答えにつながったのかもしれない。