ここ数年、夏になると経口補水液のCMで、タレントの所ジョージが水分補給の大切さを説いている。これは、2010(平成22)年に所が熱中症で倒れたことを踏まえての起用だ。深刻にならず、あくまで軽いノリでメッセージを伝えているのが、いかにも彼らしい。

 その所ジョージはちょうど今年、芸能生活40周年を迎えた。シンガーソングライターとしてシングルレコード「ギャンブル狂想曲/組曲 冬の情景」でデビューしたのは、1977(昭和52)年7月のことである。当時22歳。同年10月には、ラジオの深夜番組『所ジョージのオールナイトニッポン』も始まり、若い世代のあいだで人気が沸騰するのに時間はかからなかった。1979年には、その人気に目をつけたマンガ家・赤塚不二夫の企画によるコメディ映画『下落合焼とりムービー』(山本晋也監督)に主演、俳優デビューもはたしている。

 シンガーソングライターとして大ヒットはないものの、その詞はときに哲学を感じさせる。「笑顔ひとつで 世の中わたる」とは、1981年に発表した「まったくやる気がございません」の一節だが、これは所の生きる姿勢そのものだ。90年代初めにも、「損だよね、怒っちゃったらね。朝起きてから寝るまでにどんだけ笑えたかが幸せのような気がするね」と語っていた(『マルコポーロ』1992年8月号)。この発言は、多くのレギュラー番組を抱え、黒澤明監督の映画『まあだだよ』にも出演するなど多忙をきわめた時期のものだ。それにもかかわらず所は、家にいる時間も大切にし、好きな車・バイクの改造や、新たなグッズを考えることに熱中する。


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 多彩な趣味は、いつしか仕事の一部となった。「世田谷ベース」と名づけた仕事場兼遊び場では、テレビ番組の収録や雑誌の編集も行なっている。数年前には娘に子供が生まれ、おじいちゃんになった。最近では、孫が発する言葉をサンプリングし、リズムトラックやギター演奏をつけて、ラップに仕上げるのに凝っているという(山本晋也『カントク記 焼とりと映画と寿司屋の二階の青春』双葉社)。やはり、所さんはただものではない。

(近藤 正高)