『東京喰種 トーキョーグール』 (C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社

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…前編「お祭り映画を期待すると痛い目に遭う〜」より続く

【元ネタ比較】『東京喰種 トーキョーグール』中編
人肉しか食べられない苦悩がリアルでゾッとする

人間を喰う怪人“喰種(グール)”となった大学生・金木研の苦悩と闘いを描く、石田スイ原作の人気コミック『東京喰種』が実写映画化された。

主人公のカネキは半分人間で半分喰種だが、喰種自体も獣のようなモンスターというわけでなく、人間と同じ見た目で考えや感情や人間関係も同じだ。ただ、だからこそ、人間を食べることに苦悩する。

喰種は水とコーヒー以外で摂取できるのは人体のみだ。喰種にとって空腹の苦しみは耐え難いものだが、野菜は強烈に青臭かったり肉や魚は異様に生臭かったり、他の食材も粘土のように感じたりして驚くほど不味く、無理に食べても体に合わずに吐いてしまう。ツワリが酷かった身としてはその辛さには共感できる。

その辛さは実写版でも克明に描かれ、食べ物や吐瀉物が散乱した床を苦しみ悶えながら掻きむしるさまはドラマチック過ぎてやや陳腐に見えなくもないが、まざまざと主人公の苦しみを見せつける。そうまでしても人間でいたい、人間を食べるなんて絶対に避けたいというカネキの叫びが聞こえるよう。もし、自分の身に起こったら…とゾッとするような想像を掻き立てられる。

現実離れしたホラーなのに、モンスター側となった主人公の心情をリアルに伝えてくるのだ。ちなみにスプラッタ描写は控えめなので、苦手な人は安心して欲しい。

人間を食べることに苦悩するのは元人間のカネキだけじゃない。トーカたち喰種も人間と同じように悲しみや憎しみ、愛する気持ちをという感情を持ち、守るべき家族や大切な友人を持って生きている。

人間を食べることでしか生きる術がない自分の存在はいったいなんなのか、自分は生きていていいのかと葛藤する。トーカに扮する清水富美加が精神的に辛くなってしまったのも頷ける。

モンスターパニックものというよりは、自分の宿命を呪う王道のヴァンパイアものに近い雰囲気だ。

しかし、 心情が描かれる地味な展開ばかりでなく、ビジュアルにもこだわりを見せている。

後編「原作者じきじきのご指名、窪田正孝はイメージにぴったり」に続く…

『東京喰種 トーキョーグール』は7月29日より全国公開される。