我が家は今年の4月、初めて保護犬の里親になりました。
これまでも犬を飼った経験から、保護犬の里親になるという方法があることは知っていましたが、実際里親になってみて初めてわかったこともたくさんありました。これから犬をお迎えしようとする方へ、また保護犬の里親という制度に不安があり今一歩踏み出せないでいる方へ。私の経験を少しでも参考にしていただき、また一人でも多くの方に里親になることを考えていただければと思い文章を綴りたいと思います。

突然のお別れ...14歳を目前にして

寒い冬も過ぎ去り、これからお散歩も楽しくなるかなという気配も漂ってきた3月下旬の早朝。14歳を目前に控えた愛犬(ミニチュアダックス)が、突然この世を去りました。持病の療養中ではありましたがかかりつけの獣医さんから命に関わるものではないといわれており、ただ食欲が落ちていましたので強制給餌で少しずつご飯をあげているような状況でした。
私がご飯を与え、残りを主人に任せようと愛犬を抱き渡したほんの数分後...いや、もしかしたら私の腕の中ですでに意識を失いかけていたのかもしれません。異変に気付いた主人と私は、何度も呼びかけましたが、愛犬はそのまま虹の橋へと旅立ってしまいました。

その時の状況から、強制給餌でご飯を喉の詰まらせたのではないか?と激しく自分を責めたりもしましたが、後に遺体を綺麗にしてもらうためかかりつけの獣医さんに行きお話をうかがったところ、遺体の状況からして、ご飯を喉に詰まらせたわけではないとのこと。
同時に「強制給餌中にペットが亡くなると、飼い主さんがご自身のせいじゃないかって自分自身を責められる方が多いんです。でも、よほど弱っていない限り動物はご飯が詰まる前に吐き出そうとするので、亡くなった原因は別にあるんです」とおっしゃっていました。

この言葉にとても救われました。そして愛犬の亡くなり方が突然すぎたため詳しい原因はわかりませんが、おそらく何らかの原因で心臓に発作が起きたのではないかとのことでした。

空のサークルを前にして

我が家ではお世話しやすいように、キッチン・リビングのどこからでも見られる場所にサークルを置いていました。そのため、食事をしていてもお料理をしていても、自然とサークルに目を向けるクセがついていたようです。愛犬が亡くなってすぐ、そのことに気づきました。
ふと目を向けるサークルにはもちろん、いつも座っていた座椅子にも、寄り添っていた足元にも、どこにも愛犬がいない。無意識に目を向けた先に愛犬がいないということに、どうしようもない違和感を抱いていたことをよく覚えています。

以前ご縁があってペットロスについて少し勉強したことのある私は、もしかしたらペットロスというのは「亡くなった」という事実はもちろんだけど、その事実をしっかりと受け入れる前にこの違和感に耐えられなくなることも指すのかもしれない、そんなことを考えたりもしました。

新しい子をお迎えしようか、どうしようか...

私はこの違和感に耐えられる自信がありませんでした。
事前にペットロスについて多少勉強していたおかげで比較的冷静ではあったので、自分なりに考えぬいた挙句、愛犬の死をきちんと受け入れて消化するためにゆっくり時間をかけることにしよう。その間に新しい子をお迎えしても良いんじゃないか?世の中には飼い主を探し求めている保護犬がたくさんいて、我が家にはいま1匹受け入れられるスペースがある。だったらずっと悲しんでいるよりも新しい子を1匹お迎えして、その子と過ごしながら徐々に死を受け入れる方法があっても良いはず、と考えました。

ペットを亡くした時の悲しい気持ちと自責の念は、必ず悪循環を起こします。その子を愛していれば愛しているほど飼い主さんの自責の念は強く、どんどん苦しんでしまいます。
そんな時に思い出してください。亡くなったペットたちは、そんなことを望んでいるでしょうか?自分が旅立つことで飼い主さんが苦しむなんて...きっとそんなことは望んでいませんし、できれば飼い主さんには笑顔で過ごしていてほしいと願っているのではないでしょうか。
そのために無理する必要はありませんが、飼い主さんが少しでも元気で過ごせるのならば、その人それぞれの様々な方法があっても良いのではないかと私は思っています。

そして保護犬「まろ」との出会い

検索すると、私たちと保護犬たちとを繋いでくれる施設や団体がたくさん出てきます。
先述のような考えに至ったものの、具体的に新しい子との出会いを探すというよりは何となくウェブ上での検索をしていたところ、ふと1匹のミニチュアダックスの画像が目に留まりました。
我が家にはすでに先住猫(元保護猫)がいるため、お迎えするなら子犬ではなく成犬。それもできるだけ協調性に富んだ子を...とボンヤリ思っていたところ、なんとその子はその条件にピッタリの子でした。名前は「まろ(保護当時は違う名前でしたが、現在の名前で記載します)」現在7歳の女の子。主人に連絡して相談し、OKをもらったところで早速保護主さんに問い合わせました。

飼い主さんが大病して入院

保護主さんに聞いたところ、まろの元飼い主さんは身寄りのない高齢の方で、1ケ月ほどまえに長期入院が決まり泣く泣くまろを手放したとのこと。まろは元飼い主さんに非常に溺愛されていたそうで、そのぶん新しい飼い主と新しい環境に慣れてくれるのかどうか?そこが少し不安でした。
親切な保護主さんとはトントン拍子に話が進み、数日後に実際に対面することに。対面場所は保護主さんのお宅ではなく近隣の駅前ではありましたが、お散歩などしながら現在のまろの様子などいろいろお聞きすることができました。ほとんどの場合、最初のお見合いは団体の施設や保護主さんのお宅に訪問するパターンが多いイメージでしたので少しびっくりしましたが、こちらがきちんとお話を聞いて、犬自身の様子を見ることができれば大丈夫なのかな、と思いました。

そして我が家にやってきたまろ

保護主さんは終始とても親切な方で、引き取り時期などもほぼこちらに合わせてくれました。
我が家にやってきたまろは最初の数日間、さすがに落ち着かない様子ではありましたが、しっかりとご飯を食べて排泄もしてくれていたので、健康面の不安はありませんでした。
ですがやはり獣医さんには知っておいていただいたほうが良いと思い、(引き取ってから数日後だったと思います)少し落ち着いた頃にはかかりつけの獣医さんに連れて行って事情を話し、カルテを作りがてら健康診断をしていただきました。また今年分のワクチンが未接種とのことだったので、ワクチンの接種と同時に畜犬登録を済ませたのもこの頃でした。

「躾ける」よりも「慣れる」「知る」ことを!

保護犬をお迎えしてまず思ったことは、自分のこれまでのしつけはほぼ通用しないということ。
保護犬には保護犬の、それまでの生活や習慣があります。食生活から怒られ方、褒められ方、声のかけられ方から遊び方まで、何もかも違う環境からやってきた子ですので、当然こちらのしつけ方はほとんど通用しないと思って良いと思います。ダメ!と言ったところで、そのダメ!の意味がわからない場合もあるんです。それを痛感した私は途方に暮れるよりも言うだけ言ってみて、もし通じたらラッキー!くらいな気持ちで過ごすことにしました。

まろは幸いトイレのしつけはしっかりされていたのでほぼ心配ありませんでしたが、それでも新しい場所を教えること自体に多少の工夫が必要でした。先代の愛犬に「新しく教えて覚えたこと」ではなく「犬本来の習性はどうだったか」という部分を思い出しながら教えていくと、徐々に成功するようになりました。
また「叱る」ということは通用しない部分も多々ありましたが、そのぶん「褒める」「喜ぶ」といったプラスの感情については通用しやすいように感じましたので、(もともとしつけで叱る方ではないですが)できるだけ叱る部分を減らし、褒める・喜ぶ要素を多くするように工夫して物事を覚えていってもらうようにしました。
同時に、これまで私が知らない生活を送ってきた分、思いも寄らないクセを持っていることも幾つかわかりました。こういった部分を積極的に知るようにして、可能な部分についてはこちらも受け入れることが大切なのではないかなと思います。

同じミニチュアダックスでも個々は個々。性格も個性も本当にいろいろなんだなぁと思いつつまろとの日々を楽しむうちに、先代の愛犬との生活が良い経験・良い思い出として自然に思い出せるようになっていきました。

現在のまろとの生活と思うこと

親バカかもしれませんが、幸いにもまろは非常に賢い子でしたので、自分自身の置かれた環境を受け入れるのがとても早いように感じました。いまでは私や主人のことを飼い主としてきちんと認識してくれているように感じますし、先住猫とも仲良くやってくれています。
短い間に住む場所を転々としたせいか、我が家にきた当初はお留守番が少し苦手でしたが、これも先代の愛犬に教えていったことを思い出しながら徐々に慣らしていくことで、今は十分にお留守番できるようになりました。キミの側には私がいるんだよ、ということを肌と環境で覚えてもらい、犬との生活の中で最も大事なことのひとつ「信頼関係を築いていくこと」が何より重要なのかもしれないと、今またあらためて思います。

まとめ

お散歩をしている時など、他の犬の飼い主さんとお話しすることがあります。
そんな時にまろが保護犬であること、もう7歳だけど我が家にきたのがつい最近であることをお話すると、ほとんどの方がびっくりされます。そしてみなさんおっしゃるのが「保護犬ってどこでお迎えするの?」「大人の犬でも慣れるの?」ということ。
飼い主を探している保護犬がたくさんいるのは知っているけれど、実際にはどこでお迎えしたら良いのかわからない。そんなこんなで犬をお迎する時には、ペットショップやブリーダーさんのところへ行ってしまう...そんな方が多いように感じました。

みなさんがお持ちのスマホやPCで検索すれば、新しい飼い主さんとの出会いを求めている保護犬たちの情報はわんさか出てきます。もし少しでも気になる子がいたら、勇気を出して保護主さんに一通メールを送ってみてください。もしかしたらその一通が、その子の命を救うことになるかもしれません。また以前実際に保護活動をされている方に聞いた話しですが、連絡をくださった方と里親が成立しなかったとしても、その子に関心を持ってもらったという事実が嬉しい。今後の励みになる、と仰っている方がいました。
まずは何かしらのアクションを起こすこと。たった一通の問い合わせにもこれだけ大切な意味があるんだということを、ぜひみなさんに知ってもらいたいなと思います。

また、保護犬には子犬もいればまろのような成犬もいます。
可愛らしい子犬に目がいくのはよくわかりますが、成犬には成犬の良さがあるということもぜひ知っていただきたいと思っています。成犬は既にたくさんの経験を積んでいるため、状況や環境の変化を理解し受け入れることがしやすいといわれており、私も知識として知ってはいましたが、実際にまろと暮らしてみて実感したことのひとつでした。問題行動といわれている行動をしてしまう子も、生活が落ち着けばなくなる場合も多々あります。みなさんがもし保護犬たちと何らかの機会に出会うことがあったら、ぜひ成犬たちにも目を向けてあげてくださいね。