【コラム】今夏は“エル・クラシコ”が3度開催…移籍市場での動きにも影響か

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 プレシーズンの結果は、スペインのほとんどの人が気にもかけていない。人々が今、最も気にしているのは、どこで何をしてバカンスを過ごすか。一足先にバカンスを満喫して日焼けした選手たちが北米で、もしくはアジアで試合をしていても、結果は知っているが、それを90分注視し、シーズン中のようにパフォーマンスについてコーヒー片手に話し合うなんてことはない。時差もあるし、距離もある。また夏が終われば、そのピッチにいた選手の内何人かはいない。むしろパフォーマンスよりも、この時期は試合前、もしくは試合後の監督や選手たちの言動に注目が集まっている。

 インターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)2017のアメリカラウンドに、スペインの2大クラブが参加しており、バルセロナはユヴェントス、マンチェスター・Uに連勝し、レアル・マドリードはマンチェスターの2チームに連敗した。そんな戦績とは対照的に今、スペイン国内にいるクレ(バルセロナファン)はチームに対して少なからず不満を抱き、マドリディスタ(レアル・マドリードファン)は心穏やかに過ごしているのではないだろうか。

 バルセロナは、ネイマールの移籍騒動が収まらない。パリ・サンジェルマンは選手個人とすでに合意に達しており、あとはバルセロナと違約金2億2200万ユーロ(約290億円)の値下げ交渉をするだけだと27日に報じられた。ジェラール・ピケが自身のインスタグラムで「彼は残留する」とネイマールとのツーショットをアップしたが、後日行われた記者会見で「個人的な意見だ」と語り、騒動の決定打とはならなかった。

 ネイマール説得のために、同胞のリヴァプールMFフィリペ・コウチーニョや広州恒大のMFパウリーニョにアプローチをかけているというが、はたしてそれがチームにとってウィークポイントを補う的確な補強なのかという議論はないがしろにされている。初夏にあんなに紙面を賑わせたマルコ・ヴェラッティ獲得の話題はどこへやら。バルセロナはネイマールに振り回されており、そのブラジル代表がアメリカでのこれまでの2試合でチーム唯一の得点者だというのだからクレも苦笑するしかない。

 レアル・マドリードは、初夏にあったクリスティアーノ・ロナウドの退団騒動は嘘のように誰も話題にしなくなった。ハメス・ロドリゲスがバイエルンに、アルバロ・モラタがチェルシーに移籍したが、それは昨シーズンが終わった直後から予想されていたことであり、予定どおりだった。

 今話題の中心はモナコでブレイクした18歳のストライカー、キリアン・ムバペであり、ウェールズ代表のギャレス・ベイルだ。後にモナコは否定したが、ムバペの移籍に関してレアル・マドリードが最大1億8000万ユーロ(約230億円)の移籍金を支払うことで合意したとスペイン紙が次々に報じた。またムバペの加入により、BBC(カリム・ベンゼマ、ベイル、C・ロナウド)のスリートップの誰かが出て行かなければならず、その候補としてベイルの名前が浮上。レアル・マドリードで万全のコンディションでフルシーズン活躍したことのない男の獲得を、マンチェスター・Uが狙っているという。

「わずか5カ月前にモナコでレギュラーになった18歳の選手にこの額を支払うのか」、「まだ重圧がかかるゲームで活躍できるのかわからないが、この投資は正しいのか」

 地元メディアからはムバッペに対して疑問の声が挙がるが、マドリディスタも含めて、ベイル退団に関しては反対の声は挙がらない。昨シーズン終盤の調子なら、ファーストチョイスはスペイン代表MFイスコになるだろうし、ベイル自身も認めるように今、彼はジネディーヌ・ジダン監督の下で絶対的なレギュラーではない。マドリード寄りのメディアは、期待の若手を獲得でき、かつ不要な戦力を整理できると歓迎している節がある。

 移籍市場が閉まるまで、まだ約1カ月もある。多くの名前と噂がまだまだ飛び交うに違いない。今夏が例年と違うのは、“エル・クラシコ”が3回行われることだ。7月29日にマイアミで行われるゲーム(ICC)の勝敗は(よほど一方的なスコアにならなければ)重要視されないだろうが、8月13日と16日に予定されているスペイン・スーパーカップの結果は、両クラブの補強に大きな影響を及ぼすかもしれない。特に昨シーズン、コパ・デル・レイしか勝ち取れなかったバルセロナは、最大のライバルとの対戦結果によっては首脳陣が大型補強を敢行しなければならない状況に追い込まれる可能性もある。

文=座間健司