抗レトロウイルス薬「ツルバダ」。米ワシントンで(2014年5月15日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】1990年代には、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染予防の「ABC」として、「禁欲、貞操、コンドームの使用」(Abstain, Be faithful, Condomise)が奨励された。だが、25日に仏パリ(Paris)で開かれた国際エイズ学会(International AIDS Society、IAS)の会議で科学者らは、人々が安全なセックスをしたいだけできる新たな予防法を報告した。

 昔の「ABC」とは全く違う現代の予防法とは、膣リング、包皮切除、抗レトロウイルス療法(ART)などだという。

 1980年初頭以降、7600万人以上がHIVウイルスに感染し、3500万人が死亡したが、35年にわたる研究ではいまだ治療法もワクチンも発見されていない。

 つまり「絶対的に重要」なのは予防策だと、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・フォーシ(Anthony Fauci)所長はIAS会議で力説した。以下に最近の予防法の進展を挙げる。

■包皮切除

 世界保健機関(WHO)は男性の包皮切除について、異性愛男性の性行為を通じたHIV感染リスクを低減する「強力な証拠」があるとしている。また研究者らは25日、包皮切除は異性愛男性のパートナーの女性を守ることにもなると報告した。

 南アフリカの1万人近くを対象者にした研究では、直近のセックスパートナーの男性が包皮切除を行っていたと報告した女性は、相手がそうではなかった女性と比べて、HIVの感染率が22%低かった。また、性器ヘルペスの感染率も15%低かった。

 理由ははっきりしていないが、南アフリカ・エイズ研究プログラムセンター(CAPRISA)のアイシャ・カーサニー(Ayesha Kharsany)氏は「女性にとって、包皮切除を行ったパートナーを持つことは一定、HIVに対する防御になることは確かだ」と報道陣に述べた。

■ARTのウイルス抑制による防御効果

 パートナーのうち一方がHIVに感染している男性の同性カップルに関する研究で、感染しているパートナーがARTでウイルス抑制に成功している場合は、同時に未感染のパートナーを守っていることが示されている。

 この研究チームの1人、豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)のアンドリュー・グルリッチ(Andrew Grulich)氏は「こうしたカップルのパートナー間ではHIV感染はゼロだった」と述べた。

 同氏と研究チームは約1年半をかけてカップル330組を追跡研究した。その間に参加者が報告したコンドームなしの肛門性交は延べ1万7000回だった。他の性感染症の感染率は高かったにもかかわらず、HIV感染はなかったことをチームは発見した。

■膣リング

 米国で15〜17歳の少女96人を対象に2年間行った調査では、ARV薬(dapivirine)を含んだ膣リングは安全で装着しやすいことが示された。膣リングは常に着けておくことができ、月に1回交換するだけでよい。

 この研究チームによれば、成人女性を対象とした過去の研究では、膣リングがHIV感染リスクを約30%低減させることが分かっている。同様に少女らにも有効かどうかを調べるには、さらなるテストが必要だ。

 同論文の著者らによれば、2015年に新たに診断された大人のHIV感染者のうち、5分の1を占めたのは15〜24歳の女性だった。この割合は、1日1000人が感染しているサハラ以南アフリカでは、4人に1人に上昇している。

■「防御」を接種

 HIV治療薬「カボテグラビル(cabotegravir)」などの注射剤については、経口ARVに代わる長期作用型曝露前予防(PrEP)としての研究が進められている。これまでの臨床試験では、2か月ごとの接種でも効果があることが示唆されている。

 今後の試験では、薬剤の持つウイルス抑制効果について調べられる予定となっているという。
【翻訳編集】AFPBB News