『セシルのもくろみ』が描く、トップモデルの心情 吉瀬美智子が険しい道を選ぶ理由とは

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 真木よう子主演のフジテレビ木曜ドラマ『セシルのもくろみ』の第3話が7月27日に放送され、登場人物たちのそれぞれの“女性としての生き方”が描かれた。

(参考:真木よう子 VS 伊藤歩、ぶつかり合う女の本音 『セシルのもくろみ』見どころは演技合戦か

 同作は、ファッション誌『STORY』で2008年から2010年にかけて連載された唯川恵の同名小説を原作とした、ファッション雑誌業界を舞台に専業主婦・独身・共働き・シングルマザーなど様々な立場の女性たちが、ぶつかり合いながらも幸せを探していく物語。運命のいたずらで読者モデルとなった真木演じる主人公・宮地奈央が、一流のモデルを目指し、奮闘していく模様を描く。

 第1、2話では、体育会系出身の宮地が、初めてファション業界に足を踏み入れ、戸惑いながらもモデルとして着実に一歩ずつステップアップしていく姿が映し出されていた。しかし、第3話では大きな事件が起こり、ドラマは急展開を迎える。その中で描かれたのが、登場人物たちがそれぞれに選んだ今の“生き方”だった。

 女性ファッション誌『ヴァニティ』のトップに君臨するのは、吉瀬美智子演じる浜口由華子。通称“ハマユカ”と呼ばれ、『ヴァニティ』の立ち上げ当初からカバーモデルを務めている。しかし、彼女が秘密にしていたことーー小説家の夫・浜口和真(神谷佑)がアルコール依存症で書けなくなっていることを週刊誌にリークされてしまう。夫によるDVで、浜口がケガをしたことを知った宮地は、警察に行くべきだと主張するが、浜口はそれを断る。その後、撮影に復帰した浜口と再会した宮地は「我慢してるんじゃないですか。本当は別れたいのに『ヴァニティ』のために別れられないとか。みんなの憧れのハマユカっていうブランドを守るためですか?」と思いをぶつける。すると浜口は「ハマユカは私だけのものじゃないの」と答え、「“ハマユカ=『ヴァニティ』”であること」を力強い目線で強調した。浜口は17歳の頃からモデルを始め、息子の出産での4年のブランクを含めて、21年間、人生の半分をモデルとして生きてきた。「私がこの人生を選んだ。真実がどうであれ、幸せで完璧な女性として憧れられる存在であることが私が選んだ道なの」。これまでキラキラした浜口の姿だけを見て憧れてきた宮地にとって、浜口のモデルとしての覚悟を見せつけられた瞬間だった。

 宮地を一流モデルにするためにタッグを組む、伊藤歩演じる沖田江里も、浜口の一件で自身のファッションライターとしてのスタンスと向き合っていく。宮地と沖田は、ぶつかりあいながらも互いを理解し合う、最高のコンビだ。沖田はかつて、ファッションブランドのPRとして働いていたものの職を失い、ファッションライターとして一日も早く大成しようと、ぎりぎりの生活の中で必死で頑張っている。沖田は「私が上目指すなら別の人と組んだ方が早いんじゃないかって思うこともある」と話す。ファッションに無頓着な宮地が一流モデルを目指すのは、0からのスタート。他のライターが抱える読者モデルたちのように、元からオシャレに気を使っている、セレブなモデル候補はたくさんいる。しかし、沖田は「でも、私はミヤジと一緒に上に行きたいな」と打ち明けていた。モデルとしては、嘘も虚栄も飲み込み、完璧に見せるハマユカが正しい。それを沖田は、「宮地とともに価値観ごと変えていきたい」と自ら険しい道を選ぶ。

 本作に登場する人物たちは皆、野望を持っている。モデルとして、ファッションライターとして、編集者として、同じものを目指す人もたくさんいて、その道は1つではない。どんな方法を選ぶ際にも、強い覚悟が必要だ。沖田のようにその思いが夢への背中を後押ししてくれることもあるし、浜口のように自身を縛り付けてしまうこともある。だが、その強い信念を持って生きている彼女たちの姿には、失敗か成功かという二元論だけでは語れない、人生の深みが感じられ、何より当人たちが楽しんでいるように見える。第3話までを見ていて、純粋に夢を追いかけることの醍醐味を堪能させてくれるのが、本作の一番の魅力だと感じた。

 次週の予告では、「鬼女たちの修羅場がー幕を開ける」と大きな文字が画面いっぱいに映ったのち、モデル同士が「あんたがチクったんだろこのブス!」「黙れよエセセレブ!」と暴言を浴びせ合い、壮絶な取っ組み合いをする模様が映し出されていた。『ヴァニティ』の副編集長・石田信也(眞島秀和)と坂下葵(佐藤江梨子)の不倫が明るみになり、モデル同士の格付け、編集部内での地位に大きな変動が起きていく模様だ。この事態を宮地がどうチャンスと変えていくのか、浜口や沖田のようなブレない意地を見せてもらいたい。

(大和田茉椰)