今日7月28日は6回目のプレミアムフライデーだ。実施している企業はごく僅かで、多くの人にとって縁の無いイベントになっていることはご存知の通りだが、そうした「プレ金は失敗した」という世論に異を唱えているのが経済評論家の平野和之さんだ。「失敗したのではなく、成功する要因が最初から無かった」と述べる。

増加した「海外旅行」は区分上、GDP底上げには効果無し

平野さんは昨年から一貫して「プレミアムフライデーはうまくいくわけがない」と主張してきた。日程設定の無理と、「働き方改革と個人消費の喚起を抱き合わせで行おうとしたせいで、目的がぼやけていること」がその根拠だ。

「忙しい月末金曜日を早上がりにすることで働き方改革を、加えて、早く帰るなら消費しようということで消費喚起を実現したかったのでしょうが、そもそもそんな多忙な日に、誰が早く帰れるというのか。それに、働き方改革を本当に必要としているのは、労働人口の7割を占めるサービス業の人達です。しかしこの政策で、サービス業の人達は帰れません。様々なところに矛盾が生じています」

過去5回のプレミアムフライデーを振り返ると、飲食店の売り上げは思ったように伸びていない。「早く帰って外食でお金を落としてもらう」という政府の目論見は外れた。収入が増えなければ、早上がり出来たとしても財布の紐は固いままだ。

旅行消費の拡大も、目標として掲げた段階で既に的外れだったと平野さんは指摘する。

「まず海外旅行。台湾など近場への渡航が増えたと言っていますが、GDPの旅行収支は、海外旅行はマイナス分として集計されます。GDPに限って言えば底上げにはまったく繋がらないのです」

国内旅行は、「プレミアムフライデー導入前から、金曜夜から土・日と2泊3日する人は比較的多くいた」ため、金曜日の宿泊需要が増えても恩恵は小さいのだという。空室が出るよりは良いが、「金・土・日以外の平日で需要を生み出さなければ旅行業は潤いません」と話す。

働き方改革は企業の減税とセットで「2兆円使って20兆円の経済効果が生めればいい」

消費喚起以上に進まなかったのが働き方改革だ。行政が、プレ金やテレワークデイといったイベントを多く開催している最近の様子を見て、「そもそもタダ同然で進めようとしているのが誤り」と指摘する。

「プレミアムフライデーの宣伝予算には2億円が確保されました。数字だけ見れば多額かもしれませんが、働き方改革には本来、3兆〜5兆円、最低でも2兆円の減税が必要と言われています。行政は、財政出動と規制緩和などの施策を打つべきであって、たった2億円のイベントで実現させようとするのは無理な話です」

例えば、テレワークの推進や時差出勤の導入をしている企業に対し、減税のインセンティブをつけることを提案する。「2兆円使って、20兆円の経済効果が生めればいい」と考える。

今でもプレ金には首を傾げるが、「100歩譲って仮に代替案を出すとすれば、同じ2億円を使うなら、せめて月初月曜、プレミアムファーストデーに変更を」と訴える。旅行業は空室が出がちな日曜夜から月曜にかけての宿泊需要を生み出すことができる上、会社員月末の忙しさを気にせず、出社を遅くすることも、早く退勤することも可能になるためだ。「プレミアムフライデーは、最初から『無かった』と言っていいのでは」と、厳しい意見も述べた。

7月19日には日本商工会議所の三村明夫会頭が、開始から半年経ったことを踏まえ、一度総括すべきと意見を表明したと、時事通信が伝えている。