コンピュータ教育を受ける北朝鮮の軍人たち(参考写真)

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北朝鮮が、仮想通貨ビットコインの採掘に乗り出していたことがわかった。

最先端の人工知能(AI)を駆使し、ウェブ上の情報を分析してサイバーテロや国際紛争を予測するレコーデッド・フューチャー社(本社:米マサチューセッツ州)が報告書で明らかにした。同社は、ロシアへのウクライナへの軍事介入を的中させたことで知られる。

「ワナクライ」と同時期

同社は、インターネットの監視を行う非営利団体「チーム・カムリ」と共同で、4月1日から6月6日まで北朝鮮からと思われるインターネットへのアクセス動向についてモニタリングを行った。

すると、北朝鮮の複数のユーザーが5月17日からビットコインの採掘を始めた状況が把握できた。それ以前に、北朝鮮にはビットコイン関連の動きは認められなかったが、この日以降、関連の活動は数百倍に達した。これは、「Wannacry(ワナクライ)」と呼ばれるランサムウェアによる攻撃が始まった時期とほぼ重なる。

ランサムウェアは感染したパソコンをブロックし、解除に「身代金」としてビットコインを要求するものだが、報告書は北朝鮮のビットコイン採掘と「ワナクライ」の関連はわからないとしている。一方で、これだけ大規模な動きは国の承認なしにはできないだろうとしている。つまり、ビットコインの採掘は北朝鮮の国家の方針として行われているということだ。

北朝鮮は、これ以前にもビットコイン関連の動きを見せていた。

韓国のネットセキュリティ企業、ハウリのチェ・サンミョン氏は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、北朝鮮は2013年に開城工業団地を閉鎖して以降、ビットコインを奪うために様々なサイバー攻撃を行うようになった。

2015年以降はビットコイン目的のハッキングを行った形跡はないが、それまでは1カ月当たり8万7400ドル(約971万円)の利益を毎月得ていた。

昨年5月、韓国のネット書店大手、インターパークがサイバー攻撃を受け1030万人の顧客情報が盗まれる事件が起きたが、犯人はその見返りに30億ウォン(約2億9700万円)相当のビットコインを要求した。韓国警察当局は、北朝鮮の偵察総局の犯行で、北朝鮮が違法な外貨稼ぎにサイバー攻撃の技術を使ったことが確認された初のケースとしている。