エクアドル・リオバンバの店内に陳列されたプルハ族スタイルの手刺繍ブラウス。エクアドルでは、グローバルなファッショントレンドから離れ、独自の先住民ファッションが脚光を浴びている。(2017年7月1日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】長年西欧スタイルの二番手に甘んじていたが、エクアドルでは今、伝統衣装を捉え直す新世代のデザイナーたちの登場で、先住民ファッションが再び脚光を浴びている。

「素早くターンして!」。ケチュア語で「プリンスとクイーン」を意味するモデル事務所「Awkis y Nustas」創設者のフアナ・チカイザ(Juana Chicaiza)は声高に言った。彼女は若いモデルたちに、アンデスの伝統的なスカート、アナコをランウェイで一番良く見せる方法を教えていた。

 長い黒髪を持つ、元美人コンテスト優勝者のチカイザは、プルハ(Puruha)と呼ばれる先住民の一人だ。彼女の伝統的な身なりはコンテストで失笑された。この経験により32歳の彼女は、ランウェイにおいてプルハの「アイデンティティーを周知」させるためにも、自身の事務所を2013年にオープンさせた。今やランウェイでは、モデルたちが「西欧と先祖代々」のものをミックスした服で闊歩している。

 ラテンアメリカの事務所は一般的に、モデルたちに砂時計型のプロポーションと美しい容貌を求めるとデザイナーでもあるチカイザはAFPの取材に答えた。「我々はそれを求めてはいない。個性を持つ女性を求めているのです」と彼女は語る。

 エクアドルの先住民を代表する団体によると、エクアドルにおける先住民は人口1650万人のうち、30パーセントを占める。だが多くの住人は、自分が先住民と認識しておらず、国勢調査ではたったの7パーセントであるとされている。チカイザのように、ファッションデザイナーたちも、人々にその伝統に誇りを取り戻す活動をしている。

■少しエッジーさを加えて

 同じくプルハ民族であるLucia GuillinとFranklin Janetaは、それぞれ先住民ファッションブランド「Churandy」と「Vispu」を立ち上げた。「我々プルハの服は見かけなくなり、若い人たちは西欧のファッションを身に付けるようになった」と自身がデザインしたベアショルダーの服をまとったGuillinは語る。手刺繍の花があしらわれたトップスやスカートなどの価格帯は150〜800ドル(約1万7,000円〜9万円)。一番高価なアイテムは花嫁や美人コンテスト優勝者たちに向けられたジェムや刺繍などをあしらったものだ。

 デザイナーたちは花や太陽といった伝統的な装飾品やシンボルを用いる。だが今、デザイナーたちは斬新なカットなどで、より現代的なスタイルに作り変えている。「ローカットのネックラインやショートスリーブのものはなかった」とJanetaは言う。「もしそれを変えたらどうなるだろう?と私は自分自身に問いかけました。なぜなら若い女性たちはもう少しモダンなものを好むからです」

 またGuillinは服に少しエッジーさを加え、マーメイドカットやトレーン、フレアやサイドスリットなどを取り入れた。そうすることで女性たちに再びアナコのスカートを、誇りを持って着てもらえるようになったという。「我々は、先住民は閉鎖的だという考えを改めなければいけない」と彼女は言う。「そういった考えを持ち続けると、我々の文化を失う恐れもあるのです」

 Janetaらのブランドでは、毎月1万2000ドル(約135万円)の売上があるという。彼女によると、顧客たちはハンドメイドの服の価値を理解しつつあるという。「我々は異なる品質をどのように見分けるかを人々に教えた」と彼は語る。「以前は60ドル(約6700円)以上のブラウスを販売することは困難でしたが、もはやそうではない。彼らはコルセットに400ドル(約4万5000円)まで支払うでしょう」

 香水ブランド「Yuyary」(ケチュア語で記憶を意味する)を立ち上げたデザイナーのEsther Miranda、Jose Mullo、Jacqueline Tuquingaといった新時代の先住民事業家たちは、西欧人たちも潜在的な消費者ターゲットと見なしている。「ケチュアのブランドなので、人々は我々のコミュニティーだけのものと思いがちだ」とMirandaは言う。「しかし我々はそれを超えていきたい」。
【翻訳編集】AFPBB News