「おいしいアイスコーヒー」の約束事6

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教えてくれる人:オオヤミノル
焙煎家。自家焙煎コーヒー店、京都「FACTORY KAFE工船」、岡山「カフェゲバ」のオーナー。自称ロリータ好き。アイドルの歴史は、キャンディーズのミキちゃん→伊藤つかさ→シャルロット・ゲンズブール。オオヤさんにとっての“天国みたいな喫茶店”は東京・浅草「アロマ」。

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■1. 酸っぱいのがお好き? それとも苦いの?

オオヤさんは言う。「アイスコーヒーだから深煎りが合うとか、この豆がいいとかはない。どんな豆でもアイスコーヒーはできるんです」と。だから、自分が飲みたい味、好きな味は何だろうと考えよう。コーヒーの味を決めるのは、産地や銘柄ではなくて焙煎の度合い。酸味のあるコーヒーが好きならば浅煎りの豆を、焦げた苦味のあるコーヒーが好きならば深煎りを飲んでみる。まずは好みの焙煎度を知ることが、おいしいアイスコーヒーへの近道。

■2. コーヒージュースと出がらしの関係

「コーヒーのおいしさは、いかに甘く香ばしいジュースを搾り出すかで決まります」とオオヤさん。だから一滴一滴祈るような気持ちで湯を落とし、“搾る”感覚で淹れよう。だいたい10gの豆から、色の濃いピュアなコーヒージュースが約30mlは搾れる。あとは出がらしになる。淹れていると、出がらしになった瞬間に甘い香りが消えていくから、鼻は最大限に活用すること。この2つの割合で、コーヒーの味が深まる。アイスコーヒーの場合、ピュアなコーヒージュースだけでもおいしいが、味にエッジを加えるためにも出がらしで濃度調整。でも、量は少なめに。一口味見して、きつくて飲むのがしんどいぐらいがベスト。スムーズに飲めたら、アイスコーヒー用としてはNG。氷で薄まることを考えて、全体量が100mlを目安に。

■3. 豆の量はケチらない

「豆の量は多めがいいでしょう。多分」とオオヤさんは言う。「温かいコーヒーなら量が少なめでも、きちんと“蒸らし”と“搾り”ができる人は、おいしいコーヒーを淹れることができるはずです」。ただ、アイスコーヒーは濃厚でピュアなコーヒージュースが必須。氷で薄まる分も頭に入れ、ここはケチらずに1人分約30gを用意しよう。

■4. どっちつかずの“ちょっと細かめ”に挽く

オオヤさんは言う。「アイスコーヒーには、冷たさに負けない味と刺激が必要。だから、ちょっと細かめに挽くのがコツ」と。注意すべき点はその加減。細かすぎると豆の雑味が出やすくなり、逆に粗いと出なさすぎる。挽きすぎず、挽かなさすぎずのいつもより細かめを目指そう。ただ、牛乳やアイスクリームと合わせるときは、乳脂肪に負けない刺激的な味にするためにさらに細かく挽く。そして挽くタイミングは、必ず淹れる直前に。

■5. 熱しすぎず、冷ましすぎずの温度

「70〜90℃の範囲で」とオオヤさんは言う。温度が高いほど短時間に味のバリエーションは出るが、コーヒー由来以外の雑味も出やすい。逆にぬるすぎると、味のバリエーションが出揃うのに時間がかかる。アイスコーヒーの場合は、きりっと味のエッジが立つように、温度も高すぎず、ぬるすぎずのいつもよりちょっと温かめ。温かさを維持するためにポットの蓋は閉めよう。湯の温度をいちいち計らなくてOK。沸騰したやかんから小鍋、さらにポットへと移す。1回移動するだけで約10℃は下がっているはずだから、2回移せば、ほぼ理想の温度に近づいている。

■6. 氷は必ず洗う

「冷凍庫のにおいを纏った氷でアイスコーヒーをつくると、せっかく香り高く搾り出したコーヒージュースにダメージを与えます」とオオヤさんは言う。だからコーヒーを注ぐ前に、必ず流水で氷を洗うこと。サッと洗い流すこのひと手間で、仕上がりが格段によくなる。そして、クラッシュや自家製の氷ではなく、できれば板氷を贅沢に砕いて使おう。クリアなアイスコーヒーは、氷から生まれると心得てほしい。

(羽鳥 靖子 文・羽鳥靖子 撮影・伊藤菜々子 教えてくれる人:オオヤミノル)