中国のインターネットメディアで今日よく読まれている記事をお届けします。
 
 今月26日に深セン市の皇崗税関が明らかにしたところによると、近日、福田口岸において、計4名の旅行客がDNA検査のための血液を隠し持って香港へ越境しようする事案が発生した。押収された血液サンプルは全部で262本、既に出入境検験検疫機構に引き渡されているという。25日の午後には、203本をリュックサックに入れて一人で運ぼうと試みた女性もいた。中国新聞網が報じた。
 
 調査によると、彼らは胎児の性別の検査を希望する妊婦の血液を預かり、香港へ代理で持ち込むことで、100元から300元(約1600円から5000円)程度の運搬費を受け取っていたという。
 
 皇崗税関の責任者によれば、2015年10月に全面施行された「二胎政策」(2人目の出産を許容する一人っ子政策の緩和)以降、仲介機構を通して香港や国外に血液を送り、胎児の性別や遺伝子の検査を行い、その結果によって生むかどうかを決める夫婦が増えているという。
 
 現在中国においては、これは違法行為であり、国家衛生計画生育委員会ら14部門が公布した、『血液検査で胎児の性別を調べる行為の予防とコントロールの強化に関する通知』において、血液サンプルを持参、郵送、運送することを明確に禁止している。
 
 禁止の背景には堕胎の問題がある。先日も、男児を希望する夫から年に4度の堕胎を強要され、体調を崩して亡くなった女性の事件が報じられた。
 
 この「男重女軽」という傾向について、ネットユーザーからは、「21世紀にもなって、まだそんな発想があるのか。命を尊重しないなんて親になる資格はない」「一体いつの時代の話だ。性別はそんなに重要か? いずれにしても自分の子どもではないか」「跡継ぎが必要な皇族でもないのに・・・」と、時代にそぐわない考え方だとして非難が集まっている。
 
 しかし一方で、近年は決して男児ばかりが望まれているわけではないようで、「単に男女1人ずつ欲しいと思う家庭だって多い」「今は女の子が欲しい人が多いんじゃないの?」「1人目が男の子だった友人たちは、育てるのが大変だから2人目を持つ勇気がないと言っているよ。」「性別を事前に知りたいと思って何が悪いんだろう。(性別が早くわかったほうが)赤ちゃん用品を早めに準備できるのに。」といったコメントも見られた。
 
 福田口岸は、皇崗税関が管轄する出入国検査場の一つ。広東省深セン市と香港特別行政区の間には6つの出入国検査場があり、福田口岸は、羅湖口岸と皇崗口岸についで通行者の多い、中国で最大規模の出入国検査場。深セン市側は深セン地下鉄4号線の福田口岸駅に、香港側は港鉄東鉄支線の落馬洲駅に接続している。(イメージ写真提供:123RF)