[土持幸三の映像制作101]Vol.24 新しい才能を発見するプロジェクト「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」での短編映画制作

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txt:土持幸三 構成:編集部

短編映画上映に向けたオーディションと3本の制作を受け持つ

6月から、おもしろい演技ワークショップに演技指導と短編映画の監督として参加している。「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」という新しい才能を発見することを目的とするプロジェクトで、僕は4月から有名映画監督の演技指導を受けた約50名の俳優の演技指導を引き継ぎ、9月に渋谷の映画館ユーロライブでの上映に向けてオーディションと、5本制作される短編映画のうち3本の制作を受け持つ。

ワークショップ初日、俳優一人一人と数分の面談をおこなった。顔見知りの俳優も何人かいたが多くが初対面だったし、どういうバックグランドを持っているか、何を目標としてるかを聞いてみたかったのと、今回の短編映画はワークショップを受けた彼らの成長も見せなければならないうえ、10分から15分程度の脚本も書かねばならないので、一人一人と話すことでそれぞれの個性も知っておきたいと思ったからだ。

カメラの前での演技は決まりごとがある

意外だったのは目標とする俳優がいない、自分の個性を活かした役を演じたいと話した俳優が多かったことだ。そこはやはり目標とする俳優の演技が初めの頃とどう変わっていったのかなど、自分と比べてみることが重要だということを話した。

俳優自身が決めた個性は多くの場合、そのまま認められることは少なく、多くの俳優がたくさんの役を演じて「あたり役」のような作品に出会い、その作品がヒットして注目され、はじめてそれが個性と呼べるものになると思っているからだ。個性に関しては所属事務所の思惑もあったりで、俳優には選択肢が少ないのが現実だと思う。

引き画と寄り画と同じ演技をする

ワークショップでは、演技初心者も数名いたので小学校の映像授業でも行っている、わかりやすい映像は引き画と寄り画の組み合わせでできていることを説明した。引き画と寄り画では情報の質が違うことは説明すれば皆がわかるのだが、俳優は演技をすると、それを忘れて演じてしまうことが多い。結果、引き画と寄り画で違う演技をしてしまう俳優も多く出てきてしまう。これは実際に演じてもらって編集ソフトで編集してみせたので理解してくれたと思う。

さらに俳優は撮影や編集作業に関わる経験が極端に少ない。学生映画や自主制作映画があまりオープンな世界ではないからかもしれないが、いきなりプロの撮影現場に来ると、カメラに触ったりレンズを確認したりすることは当然なく編集スタジオに出向くこともあまりない。俳優であっても映像制作の基本的なプロセスや技術的なことは知っておくべきで、Jリーガーになりたいのにサッカーのルールを知らないのと同じではないかと思う。

甲府の街は良いロケ地になりそうだ

現在オーディションが終わり、ある程度それぞれの俳優の特長をつかんだ段階で3本の脚本を書いている。短編は、当然だが短いのでテーマをしぼる必要があるが、1本につき約10人の俳優を出演させなければならないのが非常に難しい。もちろん、主役・脇役と役によってセリフの多い少ないはあっても、出演者はそれぞれが物語に必要なキャラクターであるようにしたい。幸い1本は山梨県の甲府市で撮影することが決定しているので、甲府の街並みや自然、歴史、文化をあわせてロケーション自体の力を借りることでどうにか良い作品に仕上げたいと思う。

カフェでジュエリーを売っているのには驚いた

次の講義の時に配役と短編の内容を俳優たちに知らせるつもりだ。一部の俳優にはつらい告知になるだろうが(主役に拘りたい!と宣言していた俳優もいたので)、オーディションの結果で決まったことなので受け入れてもらうしかない。経験不足からくる緊張でオーディション中、まともにセリフをしゃべれなかった俳優も大勢いた。今回のワークショップ、短編映画製作を通じて映像制作を体験してもらい、ほかの俳優の演技も間近で見て自分の演技に取り込み、少しでも得るものがあったと思ってほしい。