『限界』はこうしてやって来た――夫婦愛の破壊と再生その5【第43話マンガ連載:鈴木さんちの子育て通信】

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皆さんこんにちは、Chaccoです!

「夫婦愛の破壊と再生」編を漫画で読む

新生児育児がスタートすると、

今までの生活では当たり前にできていたこと、
妊娠中も少なからず可能だったこと、
それがことごとく育児に邪魔されてできなくなります。

もちろん個人差があるとは思いますが、
まず寝れない、休めない、のはデフォルトとして、
一日中いつ赤ちゃんにギャン泣きされるかわからないので、
食事中も抱っこで立ち揺らし、温かいご飯を食べることも出来ません。

当然、お風呂に5分とつかる時間もなく、洗顔・歯磨は1日1回出来たらいいほう。

美容院にボサボサ頭を切りに行く暇もなければ、スーパーに買い物に行って栄養満点の料理を作るなんてことも夢の話。

妊娠中にはしょっちゅう見ていたネットやテレビも赤ちゃんが起きるから無理。

毎日が寝不足のためマンガや音楽を楽しむ体力もナシ。

誰とも会えないのに、我が子とは1日中べったりとくっついている状態……。


“やっと可愛い赤ちゃんのお世話ができるんだからこんな事で弱音吐いてちゃダメなんだ!”

――そう気合を入れたいところですが、想像をはるかに超えた子育ての壮絶さと有り余るストレスに、私は思いました。

「なんなのこの“地獄”は」

と…。

何かと不安がりな私は、なんとか息子が眠ってくれた後もなかなか眠れず、連日、睡眠は2時間。

1週間程度であれば何とか気丈に持ちこたえれたかもしれませんが、この状況で1ヶ月以上が経過しました。

誰とも会わず、泣いてばかりの赤ちゃんを抱き、狭い家の中にひらすた閉じこもってたら、段々と錯覚してくるんですよね。

『この苦しみが一生続くんだ』って。

もう自由な時間なんかない。
絵を描くこともできない。
一人でゆっくり本屋にも行くけない。
赤ちゃんのペースで自分の1日がすべて決定されてしまう。

不育症のあの辛さに耐えてまで望んだ赤ちゃんのはずなのに、この子のせいで自分の人生がどんどん犠牲にされる…。

ムスコの存在が自分を苦しめてる元凶なんだと思い始め、『事務的』にイヤイヤ育児をこなすようになっていきました。


そう、ワタシは、自分が完全に“産後うつ”になっているなんて全く思っていなかったのです。


一方で、頼もしい旦那は、そんなワタシを見て『かわりに俺がちゃんとやらなきゃ…!』と、
平日の仕事から帰ってきた後も、休日の仕事が無い日にも、率先して家事・育児を手伝ってくれました。

しかし、旦那の頑張る姿はワタシにとって逆効果で、

“母親なんだから、子どもを愛して日々努力してくれよ、この俺のように!!”
――というメッセージだと勝手に感じてしまっていました。

「同僚の子持ちママは生後1ヵ月を過ぎたら外気浴とかさせてたってさ」
と旦那に言われれば、その言葉の裏を勝手に想像して
“育児書にも書いてあることなのに面倒くさがってまだやってないのか!”
と言いたいんだろうと受け取ってしまったり、

「ウチの母親は弟を産んだ時、けっこう産後スグ動きまわってた気がするなぁ〜…」
と旦那が言えば
“それに比べてウチの嫁は『育児疲れ』を理由にダラダラしてばかりで頼りないな!”
という意味なんだと感じたり…。

今思えば、ただの被害妄想だったと気付けるのですが、
母親としての自信を完全に無くしていた当時のワタシには、旦那が発する一言ひと言が、自分を責めているようにしか聞こえなくなってしまっていました。


そしてやはり、こんな状況にそう長く耐えられるはずもなくーー。

ある日遂に、夫婦ともに限界を迎える日がきてしまったのです。


朝からあわただしく洗濯ものや皿洗い、昼食と夕食の仕込みなどに奔走していた旦那。
なかなか泣きやまないムスコをただただボーっと見てるだけのワタシに気づき、苛立ち声を荒げました。


「頼むよ!いい加減しっかりしてよ母親なんだから!!」


精根尽き果てていたワタシは、その瞬間、プツンと何かが切れ…。


「そっちこそいい加減にしてよ!
アタシはあなたが望むような完璧な母親にはなれないんだよっ!!」


あまりの大声に驚いたムスコは一層泣きじゃくり、
すぐさま旦那が駆けつけてあやすものの、
タガが外れてしまったワタシは、今まで押し殺してきた感情がどっと流れでて、止める事ができませんでした。


「ワタシはあなたの同僚でもなければ、ばぁばのようなタフな女性でもない!

どうしてワタシを他の母親と比較するの?!自分なりに出来ることはやってるのに!

あなたは仕事で子どもと離れられるから、可愛がる余裕があるだけでしょ!

あなたも、それにこの子だって、ワタシの味方なんかじゃないんだよ。

ワタシなんか、居ない方がイイんでしょ!」


イッキにまくしたてるワタシの姿を見て、
旦那はムスコを抱きながら唖然とした顔で固まっていました。

ワタシはただ、理想と現実がかけ違うのを誰かのせいにしたかった。

そして、そこには旦那しかいなかった。

旦那の方も限界になっている事になど全く気付かなかったんです。

つづく