はたき込みで豪栄道を破って1049勝目 ©共同通信社

「名古屋の皆さん、サン・キュー」

 大相撲名古屋場所で、通算勝利数記録を更新する1050勝を挙げると共に、歴代最多39度目の優勝も果たした白鵬(32)。「(表彰式のサン・キューは)突然出ちゃいました。天才だな」と、本人は口も滑らかだったが、角界関係者の表情は冴えない。

「大記録達成は、よくも悪くも“勝ち”にこだわった結果です」とベテラン記者。

「巡業でも出稽古先でも必ず、四股、摺り足、てっぽうという基礎をしっかりやってから土俵に上がる。さらに研究熱心。中継を必ず録画して見て、相手に如何に勝つかを考えてます。ただ、それが行き過ぎると……」(同前)

 8日目の宇良戦。勢いにのる小兵の人気力士との初対戦で、白鵬は立ち合いに変化。その後も組み合うのを避けた何とも妙な相撲を展開した。

「研究しているからこそ宇良を懐に入れたくなかったんでしょう。逃げるが勝ちで、“横綱相撲”とは、とてもいえなかった」(同前)

 12日目の玉鷲戦に眉をひそめた向きも多い。

「立ち合いで張り、さらにかち上げ、とどめとばかりにボクシングのワンツーばりの張り手をかまして、玉鷲を流血させた。最近の白鵬はインチキみたいな立ち合いがほとんどで、ドンと受けることをしません。張り差しもかち上げも、横綱の相撲じゃない。それを師匠の宮城野親方が指導できないのも問題です」

 こう語るスポーツ紙デスクは、こんな懸念まで口にした。

「朝青龍といい白鵬といい、モンゴル生まれの横綱の何でもありの勝ち方を見慣れてしまい、現場の若い記者も含めて、最近の相撲ファンの中では“横綱相撲”という価値観自体が薄れているのかも」

 一方で、今場所中、スポーツ紙などは「関係者によると」という表現で、白鵬が近い将来に日本国籍取得の意向をもっていると報じた。

「白鵬本人がそう語っていたのですが、『俺から出たという形にしないで』と言ってきた。アドバルーンをあげて、モンゴルでの反応を見ている。2020年の東京五輪で横綱として土俵入りを披露したいそうで、それまでに日本国籍を得たい、と思っているようです」(相撲担当記者)

 横綱として、身につけるべきは、国籍より品格では?

(「週刊文春」編集部)