生活保護の扶養義務が叫ばれるなか、家族の貧困を描いた漫画作品『家族の約束 〜あなたを支えたい〜』を読んでみたい。家族の助け合いによって困窮が倍加していくストーリーは、現実に起き得る事態だ(写真はイメージです)

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助け合うほどに深まっていく
家族の困窮を描き出した漫画

 レディース・コミック誌『フォアミセス』(秋田書店)に連載されていた、漫画家・さいきまこ氏の連載『家族の約束〜あなたを支えたい〜』(以下『家族の約束』)が、現在発売中の同誌8月号で完結した。

 全5回の連載は、家族への愛情に溢れた70代の夫妻と40代の娘・息子が、互いに支え合いたいと思うあまり、不安と苦しみをかえって拡げていくことになるメカニズムを余すところなく描き出す。個々のエピソードは、貧困状況に陥る家族の「あるある」話だ。

 典型的な中流サラリーマンとその妻という70代の夫妻は、子どもたちに可能な限りの教育を与えつつ、郊外の団地の4階に「終の棲家」を購入していた。娘は結婚し、夫と1人娘とともに幸せな生活を送っている。息子も結婚して1人息子に恵まれていたが、妻と息子に去られ、1人暮らしをしていた。

 ところが、夫が病に倒れて半身不随となったところから状況が一変していく。退院後は妻の懸命な自宅介護が始まり、ついで息子が介護を手伝うために両親のもとに身を寄せる。後に、息子はうつ病で失職し、アパートを家賃滞納で追い出されていたと判明するが、そんなときだからこそ息子を守りたいと願う両親だった。しかし一家の状況は、深い家族愛があるにもかかわらず、悪化するばかり。影響は、結婚している娘の一家にも及んでいく。

 家族の状況は、夫の病気を機に一変する。「一変したかのように見える」というのが正確なところだろう。というのは、たまたま同じタイミングで起こったかのような出来事、あるいはいきなり表面化したかのように見える出来事のそれぞれに、一家や家族のメンバーそれぞれの努力ではどうにもならない背景の数々があるからだ。

 物語後半、妻と息子は他の家族と支え合うことを断念せざるを得ない状況に陥り、生活保護で暮らし始めるのだが、そこから物語は光明が指す方向へと展開してゆく。さらに、息子の別れた妻子を含む孫世代の未来への歩みも重なり、感動的な結末へ至る。

 感動を語る私に、作者・さいきまこ氏は、「フィクションですからね、希望のある結末にしなくては」と冷静に答える。

「『家族は互いに助け合わなくてはならない』ということになったとき、本当に助け合ったらどうなるのか、シミュレーションで示したいと思ったんです」(さいき氏)

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