ミュージカル女優・笹本玲奈と映画評論家のグレゴリー・スターがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「スカパー! 日曜シネマテーク」。

7月23日(日)の放送では、動物行動学者の新宅広二さんが“動物行動学的に面白い動物パニック映画”ベスト3を選んでくれました。



新宅さんは動物園での勤務を経て、動物行動学を専門に大学などで教鞭を振るうほか、ネイチャードキュメンタリーの監修を手掛けるなど多岐にわたり活動をする中、「動物パニック映画ってどうやって作っているんだろう!?」と興味を持つようになったのだそうです。

そんな新宅さんがこれまで数多く観てきた動物パニック映画の中でも「特に面白い!」と思ったと話す作品のひとつ目は、「鳥」(1963年/アメリカ)。

アルフレッド・ヒッチコック監督による本作は、ある町で突然、鳥が人を襲い始めるという物語で、1970年代に量産された動物パニック映画の原点とも言っても過言ではない作品です。

ライオンや狼などいかにもどう猛な肉食動物が人を襲う怖さで恐怖心を煽る作品は「比較的作りやすいと思う」と新宅さんは話します。しかし、この映画で人を襲うのは、鳥。

新宅さん曰く「たとえ大型の猛禽類であっても、鳥には直接的に人を殺すほどのパワーも残虐性もない。大人が本気で戦えばまず負けることはないでしょう(笑)」と語る“鳥たち”で観るものをどう怖がらせるのか……。一部合成もありましたが、当時はCG技術などない時代とあって、劇中にはもちろん本物の野鳥たちもたくさん出てきます。それだけに「動物行動学をそれなりに知っていないと鳥を集められないし大変」だと言い、この日の放送ではカラスを呼び寄せることができる笛を実際に吹いて、その音色を聴かせてくれました。(吹くと空が黒くなるぐらい集まってくるのだとか!)

「鳥が人を襲うシンプルなストーリーですが、脚本や演出、映像はいま観ても非常に面白い。気がつくと鳥に囲まれている怖さがじわじわと伝わってくる。そんな怖さの持っていき方が見どころです」と新宅さんは絶賛していました。

続いて新宅さんが選んだのはスティーヴン・スピルバーグ監督による「ジュラシック・パーク」(1993年/アメリカ)。

本作は、バイオテクノロジーを駆使して絶滅した恐竜たちを蘇らせて、テーマパークにしようとしたことで巻き起こる惨劇を描いたもの。

新宅さんが一番好きなシーンを教えてくれたのですが、意外にもオープニングで謎のコンテナが搬入されるシーン(実はその中に恐竜が入っていて、その後の大惨事に……)。

その理由は「動物園に新しい動物が運ばれてきたときって、まだ環境に慣れていないので、猛獣などを放すときは特にそうですがスタッフは一番緊張するんです。まさにその緊張感がリアルに描かれていて、実際に仕事をしていた者として感心させられました」と、動物園での勤務経験がある新宅さんならではの感想も。

人気シリーズとして知られる本作ですが、回を重ねるごとにCG技術も進歩しており、化石からだけではなかなか検証しづらい恐竜の動きや新説が取り入れられていたりするなど、映像として視覚化できるので「実は科学者も結構注目しているんです」と話していました。

そして、3つめに挙げたのは、こちらもスピルバーグ監督作の「ジョーズ」(1975年/アメリカ)。

本作は田舎町の海水浴場に死体が打ち上がり、警察の捜査によるとサメの襲撃によるものと断定するも、ビーチを遊泳禁止にすると観光業に影響があるからと圧力がかかり、対応が遅れて被害が拡大。そこで警察署長と海洋学者、漁師の3人が名乗りを上げてサメ退治に向かうことになるというストーリー。

そもそも“JAW”という英語は「顎」という意味。「それがこの映画1本によって、誰もが“サメ”を指すようになってしまったぐらいとてつもないインパクトでした」と新宅さん。

劇中のサメはロボットで撮影されたそうですが、「『ジョーズ』以降もCGでサメを描いた映画はたくさん作られましたが、サメの生々しさという意味ではこの映画を越える作品はなかなかない」と話す新宅さん。その言葉通り、「もしCGだったらこんなにヒットしなかっただろう」とスピルバーグ監督はのちのインタビューで語っていたそうです。

さらには、新宅さんならではのこんな分析も。「猿が泳ぎが苦手なのと同じように、霊長類である我々人間も例外ではなく、ちゃんと練習しないと泳げません。水に対する恐怖心は人間の本能に刻み込まれていると思う。だから大海原の船にいるシーンを観ただけで不安な気持ちになったり、その船の下に人間を襲うサメがいるかもしれないと思うだけで想像力が掻き立てられて、サメの姿を映像で観せなくても本能的に恐怖を感じます。万人がこの映画を怖いと感じるのはそうした心理からだと思います」と、独自の観点から解説してくれました。

最後に新宅さんは「今回挙げた3つの映画は共通していて、とてもシンプルなストーリーなんだけど、人間のキャラクター設定がものすごくはっきりしている。動物に対峙する人の姿が動物の怖さをより引き立たせてくれるんです。つまり、動物パニック映画と言いつつ“人間模様”が見どころなんです」とその魅力を話してくれました。

なお、この日の番組の模様は『radikoタイムフリー』で聴くことができるので、ぜひチェックを(※1週間限定)。



----------------------------------------------------

【▷▷この記事の放送回をradikoタイムフリーで聴く◁◁】 http://www.tfm.co.jp/link.php?id=7072

聴取期限 2017年7月31日 AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ http://www.tfm.co.jp/timefree_pr/)

※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。

----------------------------------------------------



【番組概要】

番組名:「スカパー! 日曜シネマテーク」

放送日時:毎週日曜15:00〜15:25

パーソナリティ:笹本玲奈、グレゴリー・スター

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/movie/

Twitter:@cinematheque_fm https://twitter.com/cinematheque_fm