フレッシャーズ編集部

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社会保険制度は一種のセーフティーネットとして生きていく上で必要なものです。社会保険では、「健康保険」「厚生年金」と並んで大事なのが「雇用保険」です。給与明細を見ると雇用保険料の欄があって、毎月お給料から天引きされていますね。この雇用保険がどのような仕組みになっているのかみなさんはご存じですか? そこで今回は、雇用保険料とはどういうものか、またお給料からどれくらい天引きされるのかを解説します。

■「雇用保険」とはなんのためにあるの?

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人はいつ失業するかわかりません。企業が事業を継続できなくなって急に解雇された、といったことは誰にでも起こり得ます。次の仕事が見つかるまでは無収入で生活に困りますね。そんなときには「雇用保険」が助けてくれます。次の仕事が見つかるまでの間「求職者給付」(いわゆる失業保険)を受ければ、それで暮らすことができますね。

このような労働者の失業対策を含めて、雇用保険は「労働者の雇用環境・就業状態を安定させるため」にあります。

厚生労働省は雇用保険の制度について、

1.労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給

2.失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施する

としています。

⇒データ出典:『ハローワークインターネットサービス』「雇用保険制度の概要」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_summary.html

■雇用保険とはどんな仕組み?

ハローワークの説明するとおり、雇用保険は「政府が管掌する『強制保険制度』」です。強制保険であるので、加入は義務になっています。事業主(企業・事業所など)に雇用される人は全員加入して雇用保険料を支払わなければなりません。また、事業主側も人を雇用したら雇用保険料を支払うのが義務です。

※アルバイトであっても週の労働時間が20時間以上の場合は雇用保険に加入しなければなりません。

国が労働者と企業(事業主)から徴収した雇用保険料は以下のようなものに使われます。

●「基本手当」の給付
いわゆる「失業保険」で、失業した際に労働者にお金を給付します。
※給付を受けるための条件については以下の厚生労働省のサイトを参照してください。
⇒参考:『ハローワークインターネットサービス』「基本手当について」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

●「雇用継続給付」を行う
労働者が高齢・育児・介護などを理由に失業したり、生活苦に陥ったりしないように設けられており、条件を満たせばお金が給付されます。「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」があります。

●「就職促進給付」を行う
失業した労働者が次の仕事に就くことを促すために設けられており、条件を満たせばお金が給付されます。「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」「常用就職支度手当」「移転費」「広域求職活動費」「短期訓練受講費」「求職活動関係役務利用費」があります。

●「教育訓練給付制度」
中長期的なキャリアを築くための教育訓練を労働者が受講した際に、支払った費用の一部を支給する、などの制度です。

他にも、雇用保険料は上記の2のとおり、
・雇用安定事業
・能力開発事業
という厚生労働省が所管する2つの事業にも使われています。

⇒データ出典:『厚生労働省』「雇用保険二事業について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1204-5c_0009.pdf

■雇用保険料は労働者と事業主で分け合います

雇用保険料は「労働者」と「事業主」で分け合って負担します。健康保険、厚生年金の場合には、労働者と事業主で折半ですが、雇用保険の場合は事業主負担の方が大きくなっています。平成29年度の雇用保険料率は以下のようになっています。

●一般の事業における「雇用保険料率」
・労働者負担:3/1,000
・事業主負担:6/1,000

●農林水産・清酒製造の事業における「雇用保険料率」
・労働者負担:4/1,000
・事業主負担:7/1,000

●建設の事業における「雇用保険料率」
・労働者負担:4/1,000
・事業主負担:8/1,000

⇒データ出典:『厚生労働省』「平成29年度の雇用保険料率」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000159618.pdf

みなさんのお給料からはこの「労働者負担」分だけが天引きされているはずです。ただし、実際の雇用保険料率は、労働者負担分と事業主負担分を足したものですので、例えば一般の事業の場合には、「3/1,000」 + 「6/1,000」で「9/1,000」になります。

雇用保険料の計算は、

●賃金総額 × 雇用保険料率 = 雇用保険料
※1円未満の端数が発生したら、50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げます。

となっています。対象となる賃金総額の中には「通勤手当」「住宅手当」などの各種手当も全て含みます(雇用保険料の対象となる賃金の詳細は以下のサイトを参照してください)。

⇒『厚生労働省』「雇用保険料の対象となる賃金」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h23/dl/koyou-05.pdf

あなたの勤務しているのが「一般的な事業」を行う企業で、賃金総額が25万5,000円の場合には、

25万5,000円 × 3/1,000 = 765円

となります。

雇用保険料とはどういったものかについてご紹介しました。雇用保険料の負担はそれほど大きなものではないので、給与明細を見てもあまり気にしないかもしれません。しかし、人はいつ失業するかわかりませんから、雇用保険は雇用の安定のために重要なものです。自分のいざというときのためにも、しっかり働いて雇用保険料を納めるようにしましょう。

(高橋モータース@dcp)