「奈良 西大寺展」(7月29日から9月24日まで、あべのハルカス美術館)では、7月29日から8月6日までの8日間、京都・浄瑠璃寺の秘仏「吉祥天立像」を特別公開!吉祥天立像は、ふだん本堂厨子のなかに安置されていて、寺内の公開は年3回のみ。寺外での公開は大変珍しいうえに、今回は寺内で見ることができない背面や横の角度から、360度ぐるっと観覧できるまたとない機会です。
 仏像フリークとして知られるみうらじゅんさんは、吉祥天立像を一番好きな仏像として、“心の恋人”と呼んでいます。みうらさんの吉祥天への熱い思いを、貴重な背面からのカラー写真とともにお届けします。


天平美人を彷彿とさせる美しい容姿 ©三好和義

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 仏像ファンのみうらじゅんと申します。

 僕は貴女のことを小学生の時、親に買ってもらった豪華箱入りの写真集で知りました。撮影されたのは土門拳。

 それまでにも色々、仏像写真は見ていたのですが2Pブチ抜きで貴女のお顔だけがドーンと写ったものは初めてで、とても胸の騒(ざわ)めきを覚えました。その頃、クラスに初恋のコはいたのですが、それに似た感情。仏像界広しと言えど、僕の初恋仏は吉祥天、貴女なのです。

 それ以来、学校から帰るとすぐに貴女のページを広げるのが日課となり、いつしか御本体にお逢い出来ることを夢見るようになりました。

 “秘仏”なんて言葉も知らず京都府の端の方、浄瑠璃寺に親といっしょに行った時、逢えない時間が愛育てるのさ、とても悔しい思いをしました。ようやくお逢い出来たのはそれから数年後。貴女は御厨子の中で“やっと逢えたね”と微笑んでいらっしゃるように見えました。今回、なんと『西大寺展』の御厚意で近キョリ恋愛の機会を得て2ショット。撮って頂いたのは現代の土門拳、三好和義さんです。


©三好和義


手のしわ(手相)まで描かれた細密な表現 ©三好和義


ふくよかな容姿、繧繝(うんげん)彩色の文様を施された衣、風をはらんだ袖は薬師寺所蔵の吉祥天画像(8世紀)に通じる ©三好和義


本堂厨子のなかに秘仏として安置されてきたため、美しい彩色を今に伝えている ©三好和義

(みうら じゅん)