写真撮影/明日陽樹

写真拡大

普段の生活に欠かせない「トイレットペーパー」。メーカーや値段など、“選ぶ基準”はさまざま考えられるが、あなたはダブル派だろうか? はたまた、シングル派だろうか? 筆者はもっぱらダブル派なのだが、そもそもダブルとシングルでは何が違うのだろうか? 『エリエール』でおなじみ、大王製紙のホーム&パーソナルケア事業部の石川繁夫さんと冨田亜沙美さんに話を聞いた。

トイレットペーパーのダブルとシングル、違いは「長さ」だけじゃない!?

「ダブルとシングルの違いは?」と聞かれたら、真っ先に思い浮かぶのは「長さ」だろう。そのほかに何か違いはないものか聞いてみたところ、「紙の原料はダブルもシングルも一緒ですが、実はつくり方は若干異なります」と、石川さん。

【画像1】左:石川繁夫さん、ダブル派。右:冨田亜沙美さん、シングル派(写真撮影/明日陽樹)

【画像1】左:石川繁夫さん、ダブル派。右:冨田亜沙美さん、シングル派(写真撮影/明日陽樹)

「詳しい製法まではお話しできませんが、シングル、ダブルともに柔軟剤を入れています。柔軟剤というと、洋服のイメージがあるかもしれませんが、洋服同様、紙も繊維でできています。柔軟剤を入れることで、繊維がほぐれて柔らかくなり、また、紙と紙の間に空気層ができるので、1枚(シングル)よりも2枚(ダブル)のほうがふんわりと仕上がるんですよ」(石川さん)

言われてみれば、洋服も紙も繊維でできている。とはいえ、まさかトイレットペーパーに柔軟剤が使われていたとは!

また、冨田さんいわく、「トイレットペーパーを快適にお使いいただくには、紙の裏表も関係しています」とのこと。

「あまり気にしていないかもしれませんが、紙にも裏表があるんです。表面はツルツルしていて、裏面は少しザラザラしています。ダブルの場合は、表面が外側にくるようにそれぞれの裏面同士を貼り付けていますが、シングルの場合は1枚の紙ですので、肌触りが違ってきます。もちろん、どちらが正解ということはありませんが、表面でお使いになることをオススメします」(冨田さん)

シングルユーザーの多くは、裏面でゴシゴシしてしまっている可能性大。表面を使うためには、以下のような巻き方をすればOK。

【画像2】写真左:一般的に多いとされる、手前から奥に手に巻きつけていく巻き方。写真右:シングルの場合は、手前に引くように表が上になるよう意識して巻かないと裏面が肌に触れることになる(写真撮影/明日陽樹)

【画像2】写真左:一般的に多いとされる、手前から奥に手に巻きつけていく巻き方。写真右:シングルの場合は、手前に引くように表が上になるよう意識して巻かないと裏面が肌に触れることになる(写真撮影/明日陽樹)

関西では「経済合理性」重視のシングル派多数、関東では「品質」重視のダブル派多数!?

ダブルとシングルそれぞれの特徴が分かったところで、最も気になる「どちらがお得か」を聞いてみたのだが、お2人とも「個人差があるので……」と口をそろえる。予想どおりの回答ではあるのだが、どうしても知りたい! と食い下がってみたところ、「では、実際にやってみてください」と、サンプルを用意してくれた。

先に説明しておくが、トイレットペーパーの1ピッチは24cmとのこと。

【画像3】点線から点線までを「1ピッチ」というらしい。1ピッチは24cm(写真撮影/明日陽樹)

【画像3】点線から点線までを「1ピッチ」というらしい。1ピッチは24cm(写真撮影/明日陽樹)

人に見られながらトイレットペーパーを巻くという、なんだか恥ずかしいシチュエーションではあったが、平常心&ポーカーフェイスで挑戦。その結果、ダブルは5ピッチ、シングルは7ピッチ。ダブルの場合は単純に2倍になるので、10:7でシングルのほうが使用量は少ないことが分かった。

1ピッチ=24cm。つまり筆者の場合は、一度に1.2m分使っていることになる。エリエールのダブルは1ロール=30mなので、25回で1ロールのペースで消費する。一方、シングルは1ロール=60m。今回一度に使っている量は約1.7mで、約35回分で1ロール消費することになるので、その差は10回分。“筆者調べ”ではあるが、シングルのほうがお得といえそうだ。

石川さんいわく、生活者調査でも、1日の使用量はシングル0.39ロール/日、ダブル0.42ロール/日でダブルのほうが若干使用量が多いことが分かっている(使用量シングル:ダブル=9.3:10)とのこと。シングル、ダブルで1回に取り出す長さは異なるが、慣れた量(ボリューム)に合わせるように無意識に使用する長さを変えており、同等の使用量になっていると考えられる。

また、子ども(主に小学生以下)は大人と比べると取り出す長さはとても長く、トイレットペーパーの減りが早いため、経済合理性を考えてシングルを購入している傾向が高いことも分かっている。

さらに、冨田さんいわく、「過去のデータを見ると、一度に使うトイレットペーパーの長さは、1〜1.5m分くらいが一般的です」とのこと。また、「関東圏と関西圏では、好みも違います」とも。

筆者は以前、「関西ではシングルを使う人が多い」という噂を聞いたことがある。住むエリアによって好みや売り上げは実際違ったりするのだろうか?

「関東圏では、シングル:ダブルの比率は4:6で、一方の関西圏では、6:4です。おそらくですが、関西圏では経済合理性を重視する方が多く、シングルのほうがお得だという認識が強いのだと思います。例えば、子どもがたくさん使ってしまうなどです。関東圏では、どちらかというと『お肌に良いものを』といったように、品質重視の方が多い印象です」(冨田さん)

意外と僅差ではあるが、「関西ではシングル派が多い」という噂は、売り上げの面でも証明された。実際、SUUMOジャーナル編集部員も、大阪から東京へやってきて、「(ダブルを使う)東京の人は、なんて贅沢な!」と思ったとか……。

ちなみに東北まではダブル派が多いそうだが、北海道ではシングル派が多いという説も。北海道はご存じのとおり寒い地域。冬は石油などの燃料費にかかる出費が大きくなるため、節約志向の人が多いと考えられている。

紙ではなく芯に香りがついていた!? 意外と知らないトイレットペーパーのこと

ここまで、ダブルとシングルの特徴やどちらがお得かということを聞いてきたが、せっかくなので「中の人」だからこそ分かる“トリビア”的な話やオススメの製品も聞いてみた。

―― トイレットペーパーは物によって使い心地が全然違うけど、どうして?
「品質の違いは、紙の原料で大きく異なります。弊社では、木材を材料にして製造した新しいパルプ、バージンパルプ100%で製品づくりをしていて、柔らかな品質を目指しています。たまに見かけるリサイクルパルプ(再生紙)を使った製品の場合、価格は安くはなりますが、一度印刷したものを水でパルプ状に戻すため繊維が短くなって絡みが強くなり、紙が硬くなってしまいます」(石川さん)

―― 香りつきのトイレットペーパーがあるけど、どうやって紙に香りがつくの?
「香りつきの製品については、勘違いしている方が多いようです。多くの方は、紙そのものに香りがついていると思っているようですが、実は紙そのものには何もしていません。中央にある“芯”に香りがついています」(石川さん)

【画像4】この商品は、フローラルの香りと花柄デザインで、トイレをかわいく使いたいという人にオススメ。ちなみに、男性でも使いやすいグリーン系の香り+リーフデザインのものもあるとか(写真撮影/明日陽樹)

【画像4】この商品は、フローラルの香りと花柄デザインで、トイレをかわいく使いたいという人にオススメ。ちなみに、男性でも使いやすいグリーン系の香り+リーフデザインのものもあるとか(写真撮影/明日陽樹)

―― オススメの製品は何ですか?
「『消臭プラス』という、芯の部分に消臭剤と香料が入っていて、セットするだけで尿臭や便臭などのトイレのイヤなニオイを和らげてくれる製品です。消臭プラスは、消臭効果と香りのよさがイチオシポイント。物流段階で香りが弱まってしまわないよう、気密性の高いフィルムで閉じ込める、特殊な包装をしています」(冨田さん)

【画像5】芯の部分で消臭と芳香、2つの機能をもつ、ハイテクトイレットペーパー『消臭プラス』(写真撮影/明日陽樹)

【画像5】芯の部分で消臭と芳香、2つの機能をもつ、ハイテクトイレットペーパー『消臭プラス』(写真撮影/明日陽樹)

物心ついたころから使い慣れているはずのものでも、実際にメーカーに話を聞いてみると、まだまだ知らない情報がたくさんある。これまでは、なんとなく選んでいたトイレットペーパー。ダブルやシングル、柄つき、香りつきなど、それぞれの特徴を知り自分に合ったものをみつければ、より快適なトイレライフが待っているはずだ。

●取材協力
大王製紙株式会社
(明日 陽樹 (考務店))