大島薫

写真拡大

 見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?

 少し前から海外で流行しているネタ画像があるのをご存じだろうか?

 日常で我々が感じる男女の違いを比較して、思わず「あるある」と頷くと同時にユーモラスなオチに持っていくという、大喜利的なネタなのだが、簡単に一例紹介してみよう。

⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1369120

 こちらの画像は「朝起きたときの様子」を男女で比較して紹介している。一枚目のコマは6時30分のアラームを知らせる時計の写真。男女ともに「起きる時間だ」と目覚める。そこから女子はシャワーを浴びて、髪の毛をセットし、お化粧に食事と大忙し、その後「お母さん行ってきます!」と出かけて行く。

 一方男性は、「起きる時間だ」と言ったにも関わらず、二度寝でグッスリ。髪型も変わらずそのまま出かけて行く……という、思わず男女ともに「わかる、わかる」と思ってしまうようなわかりやすい男女の違いを表現している。

 ボクはこの画像で言うところの、男女の例の両方を体験しているわけだが、たしかに考えてみれば、いまの見た目になって男性のときより起きる時間が1時間早くなったことを思い出した。

 これをお読みの男性で、よくこんなことを言ってしまう人はいないだろうか?

「女は準備に時間がかかるよな」

 まー、そりゃ、ボクも男性の見た目しかしていないときはそう思ったものだ(笑)。正直なんら悪いことはない。なぜなら、ボクら男性は女性の生活を知らないだけなのだから。

◆女性の「髪の毛を乾かす手間」を甘く見てはいけない

 ボクはどちらかというと、男性の格好で生活をしていたときでも、わりと見た目には気をつかっていたほうだと思う。髪の毛のセットなども結構時間をかけていた。いわゆる朝シャン派なので、シャワーの時間とセットの時間を合わせて1時間くらい準備にかけていただろうか。

 いまの女性の見た目だとメイクの時間が当然あるわけだが、仮にそれを除いた、同じ「髪の毛」と「シャワーの時間」だけを比べたとしよう。それでもいまの見た目だと1時間半は時間をさくことになる。どうして同じ作業なのに、女性の見た目のほうが時間がかかるのだろうか?

 髪の毛が乾かないからだ。男性の髪型ももちろんさまざまだが、概ね女性より短い人が多いだろう。もう、なんだったら、髪の毛を乾かすのと、メイクの間に一回休憩を挟みたいくらい、ロングの髪の毛を乾かすのは面倒な作業だと思う。

 その後もメイクが待っているわけで、ちなみにボクの場合はメイクの時間がだいたい15分くらいだから、この時点で1時間45分を必要とする。それとボクの場合はその日の服装を考えなければいけないので、迷うとさらに時間がかかる。女性の服の種類は膨大だ。パンツなのかスカートなのかですでに男性の2倍の選択肢が存在する。

「そんなに面倒ならショートヘアにスッピンで生活すれば?」

 そんな風に思った男性がいるのではないだろうか? まあ、たしかに髪の毛を切ってメイクを落とせば男に戻れるボクに対してはそうだろう。しかし、これが女性を取り巻く社会の難しいところなのだ。

◆学校では禁止されていたことが社会人だと求められる

 ボクが男子中学生のころ、こんな校則があった。

「整髪料の使用禁止」

 みんな次第にオシャレに興味を持ち始める時期に、ワックスで髪の毛をセットして登校すると先生に注意され、その場で髪の毛を洗わされる学生がよくいた。

 そして、数年後、ボクは社会人になり、就職をし、新入社員研修のとき今度はこう言われたのだ。

「社会人なんだから、髪の毛くらい整髪料でセットしてくるように」

 学生のころは整髪料を禁止され、社会人になると今度はセットしろと言われてしまう。なんとも不思議な世の中だなぁと思ったものだ。だったら、学生のころから髪の毛の整え方くらい自分で学ばせてほしい。

 そして、ボクら男子が社会に出たころに手の平を返されたのに対し、女子は同じくこう言われる。

「社会人なんだからメイクはちゃんとして来てね」

 学校の校則で女子にメイク禁止を言い渡すところは多い。そんな女子は女子で、社会に出ると突然メイクを強要される。それが身だしなみだ、当然のマナーだ、と。

 たしかに、女性の準備は時間がかかる。それはほぼ紛れもない事実だろう。しかし、好き好んで準備に時間をかけてる女性ばかりではない。そりゃ、ノーメイクにスッピンで外を出歩いて問題ない社会なら、どれだけ楽かと考えている女性もたくさんいる。

 もしかしたら、女性の準備に時間をかけさせているのは、女性たちだけでない、我々男性たちもそうだといえるかもしれない。ふと、こんなことを考える。

 この世の中が突然、男性が髪の毛を伸ばしメイクをして、女性が髪の毛を短く刈り上げ、メイクをしない世界になったとしたら、女性たちは「男は準備に時間がかかるわね」と言うのだろうか? なんてことを。

【大島薫】
作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru