圧迫面接をしてはいけない2つの理由

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面接で候補者に冷や汗をかかせれば本性が分かる、という根拠のない考え方は、昔から存在してきた。候補者同士を激しく競わせるグループ面接を受けた、面接室に30分放置された、複数の面接官から矢継ぎ早に質問された──こうした話を人から聞いたり、自身が経験したりしたことは、誰にでもあるだろう。

私は過去に、営業志望者の反応を観察するという目的だけのために、面接で怒鳴りながら机の物を蹴り落とした営業マネジャーを見たことがある。

残念だが、候補者を不安にさせれば面接で本当の姿を見ることができるという考えは危険だし、完全にばかげている。理由は2つある。

1. 候補者から情報を引き出せない

強い不安を感じている候補者は口をつぐんでしまうので、学べる情報は増えるどころか減ってしまう。

候補者に「個人としてリーダーシップを発揮した経験を教えてください」という質問をしたとしよう。幅が広く深い質問なので、簡潔な答えではなく、しっかりと肉付けした答えが欲しいはずだ。

しかし、候補者がとても緊張していて尋問を受けているように感じていると、「私は一歩前に出て自分のチームを支援できる機会をできるかぎり探すようにしています」などというありがちな回答が返ってくる可能性が高い。

間違った答えではないためすぐ不合格にはならないが、これでは個性が全く感じられず、面接官は何の情報も得られない。

候補者を緊張させ過ぎると、残念ながらこうした答えしか期待できない。候補者を安心させて心地よく開放的な気分にしていれば、型にはまった回答だけでなく、具体例についても話し続けてくれるだろう。

リーダーシップに関するトレーニング・調査を提供する国際企業リーダーシップIQ(Leadership IQ)が3年にわたり実施した調査によると、新入社員の採用が失敗する原因はスキルよりも勤務態度であることが多い。そのため、面接では候補者の仕事に対する姿勢を見極めるのが大切だ。

2. 候補者に悪い印象を与えてしまう

優秀な人材は、複数の企業を志望していたり、既に内定をもらっていたりすることが多い。スター級の候補に圧迫面接をすると、非常に悪い印象を与えてしまう。

成績優秀な従業員は、求める企業の基準も高く、ただの仕事ではなく自分に合った仕事を探している。面接で自分の希望がかなわないと感じてしまえば、入社を辞退してしまうかもしれない。その場合、多額の給与を提示してもすぐに断られる可能性が高い。

面接で良い印象を残すためには、相手の候補者について詳しく知れる機会が持ててうれしい気持ちを伝えることだ。例えば「履歴書を読んで、あなたの今までの職歴と経験について詳しく伺うことをとても楽しみにしていました」と言えば良いだろう。

私はここで、面接が簡単に進みますよと言っているわけではなく、候補者についていろいろ知りたいと言っているだけだ。そうすることで「話をたくさん聞かせてほしい」という期待を伝えることができる。温かくフレンドリーな言い方でこちらの期待を伝え、信頼関係を構築することで、候補者はよりリラックスし、開放的な気持ちになる。

人というものは、話し相手が本心から興味を持ってくれていると感じると、いくらでも自分のことについて話してしまうものだ。人は誰かが何かをしてくれると、心理的にその親切に報いる義務を感じる。古代ローマの雄弁家キケロの格言のように「親切心に報いることほど無視できない義務はない」のだ。