by ITU Pictures

SNSでの友人の数が多かったり、「いいね」や「お気に入り」をたくさん得ていたりする人は「人気者」であるかのように見えます。しかし、人気には2つの種類があり、SNS上で人気を集めようとするばかりに人は間違った方の人気を求めがちであると研究者が指摘。SNSでいいね!を得ようと躍起になるのか、感じよく友人を誘って食事にいくかで、のちの幸福や健康状態にも大きな影響を及ぼすとされています。

There are two kinds of popularity and we are choosing the wrong one - Quartz

https://qz.com/1027802/there-are-two-kinds-of-popularity-and-we-are-choosing-the-wrong-one/

Popularity Status Obsession Mitch Prinstein Interview

http://www.refinery29.com/2017/06/157560/mitch-prinstein-likability-popularity-book-interview

ノースカロライナ大学で「人気」について研究する心理学・神経科学の研究者Mitch Prinstein氏は、2017年6月に「Popular: The Power of Likability in a Status-Obsessed World」という本を出版しました。Prinstein氏によると、人気には「人物として好ましい」がゆえに友人に好かれるタイプの人気と、「何らかの方法で地位を得て、他人に対して影響力を有する」がゆえに得られる人気が存在するとのこと。そして、前者の人気を集める人は最終的に健康で、よりよい人間関係を築き、仕事に満足し、長生きする傾向にありますが、地位を求めるタイプの人は不安や憂うつといった症状に苦しみ、依存症になりやすいことがわかっています。Prinstein氏は「私たちの多くは2つのタイプの人気について混乱し、間違った方を追い求めます」と語っています。

InstagramなどのSNSを使っている若い世代の人は、特に間違った方の人気を求めやすいとのこと。テクノロジーの発達とともに少年少女たちは「気づいて欲しい」「認めて欲しい」「受け入れて欲しい」と思い詰めるようになり、「好ましい人間になる」という方法よりも地位を得るということの方が容易であるために、地位を求め出すわけです。



by Mike MacKenzie

大人になるにつれ、人は「ソーシャルキャピタルは人々のつながりによって得られる」ということに気づき、多くの人は「好ましい人物になることが大切」という考えに戻ってきます。しかし、現代では少年少女だけでなく、あらゆる世代の人々が自分の地位やステイタスを気にしており、まるで青春時代が永遠に続いているかのような状態になっています。「今の世界は永遠に続く高校生活です。注意しないと、高校生の時の思考のまま残りの人生を過ごすことになります」とPrinstein氏は警告しました。

「好ましい人物」と「地位」という2つのタイプの人気を両立する人もいます。しかし、これは男女差があり、男性の方が両立できる割合が高いとのこと。映画「ミーン・ガールズ」では高校のスクールカースト頂点に位置し、支配的にふるまう少女が主人公に嫌がらせを行います。この映画と同様に、現実世界でも美しく抜け目のない人気者の少女は、自分の力を保つために、故意に仲間との関係を操作して相手を傷つける「関係性攻撃」を使います。地位を得るために「関係性を築く」ということを行わず、他人を支配する方法は、「好ましい人物ではないが地位がある」タイプの人気の典型例です。

このような問題の端緒は、人々の子ども時代にまでさかのぼります。幼少期、少年たちは多くの場合、パフォーマンスをよくすることを応援されますが、少女たちは「よい」人間関係を築くように社会化されます。そのため、少年たちは自分が弱く受動的であるという気持ちになると傷つきますが、少女たちは社会的に不適合で締め出されていると感じた時に傷つくようになります。友情についてもめた時に少年よりも少女の方が悪い結果となるのは、このためです。また、このダブルスタンダードが続くため、男性に比べて、成功している女性の優しさは弱さだと受け入れられ、指図をすることが意地悪、親しみやすさの欠如が権威的だと捉えられることになります。



by Marina Spektr

Prinstein氏はさらに、「私が驚いたのは、嫌われたり除外されたりすることが、私たちのDNAを変え、炎症系の疾患やウイルス性の疾患にかかりやすくすることです」と語っています。そのため、両親は子どもを「好ましい人物」になるようにし、物の見方を変え、人気に関するバイアスを取り除く必要があるとのこと。スウェーデンの子どもたち1万人を対象にした40年間にわたる調査では、好ましい人物であることは将来的な収入や幸福と結びつきやすいとわかっており、「地位に基づく人気によって一時は気分の良さを味わえるかもしれないが、人生の後期における憂うつや不健康を招きやすい」ということを子どもに教えなけれなりません。

また、別の研究では両親が子どもの「人気」にどう関わっていくのかが調べられたところ、人気のある母親の子どもは人気を得やすく、人気のない母親の子どもは人気がない傾向にあることも判明しています。一方で興味深いのは、特に不安が多い子ども時代を過ごした母親の子どもも、人気を得やすいということ。これは、親が子どもに同じ目に遭わせないように手助けするためだと見られています。これこそが、「子どもが本物の人間関係を築けるように親は手助けできる」という考え方の根本にあるものです。

子どもに対してよりよい人気の得方を教えるためにも、大人は「人気」に対する自分の見方にバイアスがかかっていると認識する必要があり、Instagramなどによって「地位」が「人気」のように見えたとしても、社会のヒエラルキーに縛られないようにする必要があると、Prinstein氏は示唆しています。