場所や時間にとらわれずに働く「テレワーク」を導入する企業も増加している。しかし「テレワークだとコミュニケーションが取れないのでは」と心配に思っている人もいるだろう。

遠隔操作型ロボットの開発・提供を行っているオリィ研究所は21日、ロボットテレワーク推進プロジェクト「働くTECH LAB」を開始することを発表した。

同プロジェクトでは、さまざまな理由で働くことができない人たちがテレワークで仕事を続けられる可能性を追求。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者や家族が在宅で働ける環境を作ることを目指す団体「WITH ALS」と共同で進める。

寝たきり青年の採用がきっかけでテレワークに活用

「ロボットテレワーク」では、分身ロボット"OriHime"が代理出社し、自身は在宅で仕事を行う。OriHimeにはカメラ、マイク、スピーカーが内臓されており、遠隔からの操作が可能だ。周囲を見回す、腕を動かすことができる他、「拍手」「ハグ」などの感情も豊かに表現できる。オフィスで勤務する人にとって、在宅ワーカーとテレビ電話でパソコン画面に向かって話すより違和感なく会話できるという。

元々同ロボットは、入院や単身赴任などで家族や友人などと離れていても日常生活をともにできる福祉デバイスとして開発された。

きっかけは、脊椎損傷で寝たきりとなった青年を在宅ワークのインターンとして採用したときのこと。当初はパソコンでの文字ベースを用いたコミュニケーションを行っていたが、チームの結束感やモチベーション維持などに課題があった。そこで試しにOriHimeを使ってみた。同社広報担当者は、

「2014年頃からOriHimeを使用しはじめ、朝9時の朝礼から終業時間までオフィスに常時接続するようにしました。するとお互いの仕事の進捗や社内の雰囲気を掴みやすくなり、まるで本人がそこで勤務しているような環境になりました」

と話す。密なコミュニーションが取れるため、在宅ワーカーとオフィスワーカーともに作業効率があがった。また両者が自然と「おはようございます」などの言葉をかけられるようになり、信頼感が増したという。

自宅の様子は映らないため在宅ワーカーのプライバシー保護にも

現在同社ではOriHimeを利用して、脊椎損傷と筋ジストロフィーの患者2人と子育て中の主婦1人が働いている。また他の社員も子どもが体調を崩したときなど積極的に利用している。テレワークデイも社員全員がOriHimeで出社した。同担当者は、

「朝礼、情報共有、議論などはスムーズに進められました。しかしOriHime単体ですべてのテレワークツールを包括しているわけではないので、今後は電話転送システムなども導入してスムーズに電話を担当者に回せるようにしようと思っています」

と話していた。

OriHimeのテレワーク活用は、プロトタイプをリリースした2015年にNTT東日本ほか1社で導入され、現在では約60社が利用している。些細な質問を気軽に行えたり、在宅勤務にも関わらず部下と雑談ができチームの活気を保てたりと評判は上々ようだ。

またテレワーカー側の映像は転送されないため、テレビ電話のように部屋の中が見えてしまうこともなくプライバシー保護やストレス軽減にも役立っているという。

費用の目安は1台あたり月3〜5万円。テレワーク用ではないが、OriHimeを通じて結婚式に参加してもらう「ブライダルプラン」は10万円から提供している。