18日、聖路加国際病院名誉院長で“生活習慣病”という言葉を生み出した日野原重明さんが、呼吸不全のため亡くなった。105歳だった。

 今、世界は"人生100年時代"を迎えようとしている。100年時代の人生戦略を記した『ライフシフト』(東洋経済新聞社)という本が発行部数16万部を超える大ヒットを記録。その内容は私たちの生き方や働き方を根底から考え直さないといけないと主張するものだ。

 コミュニティセンターで、腕を押したり引いたりするマダムたち。平均年齢65歳以上の女性アイドルグループ「ツクバあさん47」だ。YOSAKOIソーランの練習を通じて、健康で元気な体づくりを行い、誰もが元気でアクティブに、仲間と笑顔で過ごす生き方の実現を目指している。リーダーで、69歳の佐藤恵美子さんは「80歳くらいまで踊れたらいいですね。幸せですね」と話す。

 佐藤さんたちのように人生を謳歌している高齢者がいる一方、老後に不安を覚える人は少なくない。長生きすることについて、東京海上日動あんしん生命保険の「"長生き"に関する意識調査」(2010年)では、「非常に不安を感じる」が25.1%、少し不安を感じるが60.6%と、実に7割以上の人が不安を感じているという結果が出ている。また、不安を抱く理由については、1位=お金(77.7%)、2位=病気・入院(77.4%)、3位=介護(62.6%)となっている。

 街行く人に聞いてみると「貯蓄が持つのかなという心配はある」という若者や、「もう早く死にたいと思っている。世の中が嫌だもん。年金はたくさんもらっているならいいけど。それで暮らせたらいいけど、私はまだシルバーで働いている。そうしなきゃ、やってこれないもん」と話す87歳の女性もいた。

 厚生労働省によると、生活保護を受給している65歳以上の高齢者は約83万世帯以上にのぼり、全体(約164万世帯)の半数以上となっている。

 東京・足立区にある集合住宅を、住民の芝宮忠美さん(73)が案内してくれた。午後8時の時点ですでに真っ暗な部屋が多い。「寝ているわけですよね。電気節約でクーラーもまずかけませんし」。芝宮さんによると、住民の平均年齢は81歳で、大半が低所得者。生活保護世帯は60%くらいになるという。

 住民の山本みさきさん(仮名、76)は、夫・健二さん(仮名、81)と2人暮らしだ。日中は電気をつけないため、薄暗い部屋ですごしているという。生活費は、夫婦で月6万円の年金。現役時代、夫の仕事で24年間アメリカで生活していたため、日本の年金に加入していなかったためだという。長男が毎月8万円の仕送りをしてくれるため、なんとか生活ができているそうだ。

 ベランダに置かれた、水が溜まったバケツは支出を抑えるための節約術の一つ。よく見ると濁っているが、「お洗濯の時に2回目のすすぎの水を取っておき、次に洗濯するときに使うようにしている」。風呂の水はトイレの洗浄に利用したり、冷房を極力使わないようにしている。壁に貼られたメモには、毎月の水道光熱費が1円単位で書き込まれている。

 さらに負担になっているのは、夫・健二さんの認知症だ。最近は原因不明のめまいも起こすようになり目が離せない。1割負担の医療費も重荷に感じられるという。「長生きしたいよりも、少しでも生きている限りは元気でいるように努力しないと。食べるものもちゃんと食べられて。だからね、幸せですよ」(山本さん)。

 メディアに「下流老人」「老後破産」といった言葉が溢れ、苦しい老後をイメージしがちな風潮があることについて、高齢者問題に精通するノンフィクション作家の新郷由起氏は「"印象操作"的なものが多い」と指摘する。

 新郷氏は「マスコミは極端な例を取り上げがち。また、それがウケるからまた報道されてしまう。実際は2人以上の世帯の高齢者の平均貯蓄額は2400万円を超えている。若い世代が働いて納めたお金がそういう高齢者にも振り分けられていて、元気に豪華列車の旅に出ているという現状もある。一概に高齢者=貧しい・かわいそうというふうに結びつけるべきではない」と話す。

 また、"未成年以上に高齢者の万引きが多い"といった報道についても、「未成年者は逃げ足が速いので検挙されにくく、高齢者は捕まりやすいというベースも踏まえて欲しい。また、認知症などの病気によるものや、老後の楽しみとして行っているケースもある」として、「全ての人が貧しいから万引きをしているというわけではない」とした。

 さらに、東京23区内でいわゆる"孤独死"が増えてきているという統計についても、「孤独死・孤立死のボリュームゾーンは50・60代の単身男性。高齢者は年齢が上がるほど入院していたり、施設に入る確率が高くなるので、他の世代とくらべて突出して大きいというわけではない」と話した。

 その一方、「社会的接点は大事。会社を勤め上げてお金の面でも悠々自適だけど、人付き合いが上手じゃなくて地域社会でも孤立。仕事人間だったのでやることがない、という人が何かのきっかけで爆発してしまう社会でもある」とした。

 漫画家の峰なゆかは「年金もあまりもらえないだろうし、自営業なので暗い未来しか浮かばない。病気になったら、お金がなくなったらと思うと怖い」と話し、「これからは安楽死できる権利も認めていく必要があるのではないか。将来を不安に思って長く生きていくよりも、お金がなくなったり、病気になったりしたら死ぬこともできると思えば、少しは楽になるのではないか」と問題提起した。

 新郷氏によると「高齢者もよく同じことを言う。寿命が20年伸びるなら、40代頭くらいの時代が伸びて、65歳からは5年くらいで終わると幸せな人生なのに」と、高齢者たちの言葉を紹介した。

 ララクリニック総院長の青木晃医師は「アンチエイジング医学の3本柱は食事、運動、生きがい。100歳以上の元気なお年寄りを調べると、名刺を持っている人もいる。つまり、趣味や、何かをやっているということ」と話す。

 「人間の性の本能も関係があるんじゃないかと考えられている。子孫を残すことが生物が生きている目的で、生殖年齢が過ぎれば生物学的には生きている意味がないんじゃないかという見方もある。人間の場合、たとえば女性は50歳くらい閉経するが、昔はそれが寿命という感じだった。それが医学の進歩で、女性は80歳以上にまで平均寿命は延びた。このプラス30年をいかに健康で長生きするか」(青木医師)

 果たして、長生きは幸せなのだろうか。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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